韓国製機動ヘリ「スリオン」(KUH1)の納品停止(9月23日付本紙既報)という事態を引き起こした機体結氷テストの「不合格」判定は、スリオンが2012年6月に韓国国内で「戦闘用適合」判定を受けてから4年も経った今年7月に、米国でなされた判定だった。
この4年間、韓国軍はスリオンの開発完了を宣言し、13年5月には戦力化の記念式典を開いて朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の試乗も行われた。スリオンを作っている韓国航空宇宙産業(KAI)は、これまでに54機を韓国軍へ納入した。今後さらに200機ほどを追加納入し、輸出にも乗り出そうとしていたところで、納品停止という事態が発生したのだ。これまでスリオンの開発・量産に投じられた資金だけでも2兆5000億ウォン(現在のレートで約2282億円)に上る。
4年間もスリオンの問題を発見できなかったたのは、12年の戦闘用適合判定の際、「結氷試験は追って海外で実施する」という但し書きを付けていたからだ。韓国国内には結氷試験を行う施設・装置がない、というのが理由だった。これについて防衛事業庁(防事庁)は23日、同庁の立場を説明する資料で「ヘリコプター先進国でも、開発後の量産過程で別途に結氷試験を行うのが一般的」とコメントした。
しかし、戦闘用適合判定を受けて40カ月も経ってから結氷試験が始まるというのは遅すぎる、という指摘もある。韓国軍の元関係者は「兵器開発では欠点を補完していくプロセスが必要だが、韓国軍が3-4年にわたり『名品兵器』と宣伝してきたスリオンが、米国で『不合格』判定を受けたのには当惑してしまう」と語った。