小池都知事が怒った!歴代5市場長は無責任体制…調査甘い職員にもイライラ
東京都の小池百合子知事(64)は23日、都庁で定例会見を行い、築地市場(中央区)からの移転を延期した豊洲市場(江東区)の主要建物下に盛り土がされなかった問題について、5人の歴代中央卸売市場長が知らなかったことについて、「無責任体制と言わざるをえない。責任を感じているのか」と痛烈に批判した。豊洲市場問題の解明へ、識者で構成された市場問題プロジェクトチーム(PT)の第1回会議を29日に開催すると発表した。
会見開始から28分。それまで冷静に話していた小池知事の声に怒気がこもった。「都中央卸売市場の歴代市場長が工法変更されたことを知らなかったことについてどう思うか」と問われた時だ。「これこそ(都庁の)縦割りの問題」と切り出し、「誰のお金でやっていて、誰の市場なのか」と顔をしかめた。さらに語気を強めて「無責任体制と言わざるをえない。5人の市場長がどこまで責任を感じているか」と名指しで批判した。
豊洲市場の主要棟の地下が「盛り土」から「コンクリート箱」に変更されたのは2009年7月から10年7月とみられる。当時、市場長を務めていた岡田至氏や、現在の岸本良一氏ら歴代市場長だった5人は、都の聞き取り調査に対して、いずれも「地下空間の話を知らなかった」と説明している。岡田氏は、盛り土がなかったことについて「報道で知った。(決裁の)はんこを押しといてなんだと言われるが、そこまで確認してなかった」と釈明するばかりだった。
小池氏は、こうした幹部の認識に加えて、都職員の調査の甘さにもいらだちを感じている。21日にリオデジャネイロから帰国した後、事務方から調査報告を受けたが、内容が不十分だとして突き返した。この日の会見で「より詳細な解明が必要。9月中に報告をまとめるように指示した」と述べた。それを最終調査報告とし、月内に公表するという。「あくまで犯人捜しが目的ではなく、誰が管理して、誰が決定したかという話」と組織のガバナンス(統治)の問題であることを強調。「報告書は都政全体の在り方の試金石になる」と力を込めた。
一方、小池氏の肝いりで設置した豊洲市場への移転の経緯などを検証する「市場問題プロジェクトチーム」の初会合を29日に開催することを発表した。環境問題などに詳しい青山学院大教授の小島敏郎座長を含む8人の識者で、現時点では明確になっていない地下の工法の変更を決めた時期や責任者などを追及する。
28日には就任後初の都議会開会が迫っている。築地市場は移転延期で済むのか。見通しが立たない中、所信表明をすることになりそうだ。(江畑 康二郎)