「君の名は。」興行収入100億円突破…非ジブリアニメで初の大ヒット3つの要因

2016年9月24日6時0分  スポーツ報知
  • 興収100億円を突破した映画「君の名は。」(c)2016「君の名は。」製作委員会
  • 日本映画の歴代興収ランキング

 東宝は23日、アニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)の興行収入が100億円を突破したと発表した。日本映画では「風立ちぬ」(宮崎駿監督、13年)以来、約3年ぶりの大台到達。スタジオジブリ製作以外のアニメでは初めてで、日本映画の歴代興収9位にランクインした。観客動員は770万人を突破し、社会現象となっている同作の大ヒットの要因に迫った。

 「君の名は。」は、不思議な力で体が入れ替わる高校生の男女の青春ファンタジー。映画に登場する場所を“聖地巡礼”するファンが殺到するなど社会現象となっている。公開から28日間での大台突破は、日本歴代3位の254・8億円を記録した「アナと雪の女王」の37日間を上回るハイペースだ。東宝関係者によると、ヒットの要因は3点ある。

 〈1〉斬新で奥行きある物語

 漫画や小説の映像化ではなくオリジナル。「男女の距離感を描くことに定評のある新海監督と小説家としても活躍する(東宝の)川村元気プロデューサーが試行錯誤して練り上げた」と関係者。伏線を張り巡らせ、奥行きのある物語に仕上げたことで、リピーターの獲得につながった。

 〈2〉実写と見間違う映像美

 東京駅や新宿駅、岐阜県の飛騨地方など、実写と見間違うほどの繊細なタッチで世界観を作り上げた。物語の鍵を握る彗星(すいせい)の描写は特に美しく、強烈な印象を残す。別の関係者は「いわゆるアニメオタクではない、一般のファンも楽しめるキャラクターデザインが特徴的」とも指摘。作画監督を務めたジブリ出身の安藤雅司氏、キャラクターデザインを担当した田中将賀氏の手腕も大きいという。

 〈3〉世界観ぴったり声優陣

 男子高校生・立花瀧役の神木隆之介(23)と女子高校生・宮水三葉役の上白石萌音(18)の声が好評だ。「千と千尋の神隠し」などジブリ作品も経験している神木の演技は「圧巻の一言」と新海監督。オーディションで役を勝ち取った上白石にも「僕が想像していた三葉そのもの。存在自体が作品の世界観にぴったり」と賛辞を贈る。特に男女の入れ替わりを声だけで見事に表現して観客を引きつけた。

 ジブリやディズニー作品は親子連れを主なファン層としているが「10代後半から20代の男女に強く支持されている。カップルはもちろん、部活やサークルなど大人数のグループで劇場を訪れ、感動を共有するケースが目立つ」と関係者。若者たちがSNSで前向きな感想を拡散させたことで、さらに世代を超えてクチコミが爆発している。新海監督の前作「言の葉の庭」(13年)は1・5億円。当初は10倍の15億円を目標としていたが、100倍の150億円も射程内に入ってきた。

 ◆あらすじ 東京で暮らす男子高校生の瀧(たき=神木)と山奥の田舎町に住む女子高校生の三葉(みつは=上白石)。1000年ぶりの彗星来訪を1か月後に控えたある日、夢の中で入れ替わり、相手の人生を生きていることに気付く。2人は反発しながらも特別な存在として意識し始め、会いに行こうと決心するが、意外な運命が待ち受けている―。

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