DHAとEPAは、オメガ3脂肪酸と呼ばれる必須脂肪酸です。
人のからだに必要なものですが、体内では合成することができないため、毎日の食事を通じて摂取する必要があります。
和食中心の昔ながらの食生活では十分足りていたのですが、欧米化した現代日本の食事では不足しがちで、そのことが日本人の肥満を増加させた要因のひとつともいわれています。
近年では、DHAとEPAを毎日きちんと摂ることでダイエットにも効果があることが科学的に解明されてきました。
この記事で、DHAとEPAには実際にどのようなダイエット効果があるのかを詳しく見ていきましょう。
Contents
DHAはダイエット効果だけじゃなかった!
1.脂肪燃焼効果
出典:http://start-diet.com/
じつは私たちの体脂肪は、そのままではエネルギーとして利用することができません。脂肪を燃焼するためには、脂肪分解酵素リパーゼの働きが必要となります。
このリパーゼの働きによって、脂肪細胞は「脂肪酸」と「グリセロール」とに分解されます。そして脂肪酸が全身の筋肉へと運ばれて燃焼され、エネルギーとして消費されます。
これがいわゆる「脂肪燃焼作用」といわれるダイエット効果です。
DHAには、この脂肪分解酵素リパーゼを活性化させる作用があります。
また、DHAには血液の粘性(ドロドロ)を高めるコレステロールを減らして、血液をサラサラにする働きがあります。
同時に、血管をしなやかにし、赤血球を柔らかくして自由に形を変えられるようにする作用があります。赤血球が柔らかくなると、細い毛細血管の中も形を変えてスムーズに血液が流れるようになり、血液の粘度(ドロドロ)が低下します。
このようにDHAで血流が改善されて血行がよくなると、細胞へ新鮮な酸素をたっぷり供給できるので燃焼効率が高まります。同時に血液の流れが良いと体温も上昇するので、基礎代謝も上がります。このことがダイエットに大きく貢献するわけです。
ちなみに、DHAにはダイエット効果の他にも次のような働きがあります。
2.脳内の血流改善効果など
DHAには、脳内の血流をよくすることと、脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きがあるため、脳血管性の痴呆の予防や改善の効果が期待されており、薬の開発など研究が進められているところです。さらに、記憶と学習能力の向上にも効果があるとされています。
また、DHAは血液脳関門を通過すると同時に、網膜へも到達できるため、網膜の機能を高めて視力の維持・回復にも効果があると言われています。
脳の血流と神経伝達をスムーズにするので、ストレスを緩和して攻撃性を減少させ、精神的に安定させる作用も確認されています。
ちなみに、EPAは血液脳関門を通過することはできません。
出典:http://www.tartcherry.jp/senior/
血液脳関門(けつえきのうかんもん)とは、血液と脳の組織液との間の物質交換を制限する機構である。
これは実質的に「血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構」=血液脳髄液関門でもあることになる。
出典:Wikipedia
つまり、血液脳関門とは、もっとも重要な臓器である脳に有害な物質が侵入するのを防ぐためのバリア機能のことです。
3.がん・生理痛に対する効果
DHAは、すでにがん化してしまった細胞を治すことはできませんが、前がん状態の細胞ががんへ進行するのを抑制することができるので、がんの予防効果も期待されています。
ちなみに、膵臓(すいぞう)がんは早期発見がもっとも難しく、見つかった時には5年生存率7%以下と、がんの中でワースト1です。DHAは、サイレントキラーとも呼ばれるこの膵臓(すいぞう)がんのリスクを30%低減すると言われています。
魚に多く含まれる脂の一種、DHA(ドコサヘキサエン酸)の摂取が多い人は、少ない人に比べて膵臓(すいぞう)がんを発症するリスクが3割低いとの調査結果を、国立がん研究センターの研究チームが8日、発表した。
45~74歳の男女約8万2千人を最長で15年間追跡した。期間中に膵臓がんを発症した378人と、食べた魚の中に含まれる脂の摂取量との関係を分析した。
DHAの摂取量を四つのグループに分けると、最も多いグループ(1日あたり1グラム前後)は、最も少ないグループ(同0・3グラム前後)に比べ、膵臓がんの発症率が約3割低かった。
出典:2015.12.8 朝日新聞デジタル
また、抗がん剤のシスプラチンは白金製剤で抗腫瘍耐性(効かなくなってくる)があるため、使用量に制限があります。ところが、DHAにはその耐性を3倍低下させる効果があり、将来的にはDHAと抗がん剤を併用することによる副作用軽減や相乗効果が期待されています。
(出典:JAFR 日本食品機能研究会)
がんの発症は、後述するプロスタグランジンを主体とするエイコサノイドのバランスが崩れたために生じる場合があります。このようなプロスタグランジンの合成をDHAが抑えて、一部のがんを抑制する作用も注目されています。
出典:http://kawasechiro.sakura.ne.jp/
DHAは、子宮を収縮させるホルモンのプロスタグランジンを体内で合成するために必要な酵素の働きを抑制する効果があるので、生理痛を緩和する作用もあります。
4.その他の効果
DHAは抗アレルギー作用、抗炎症作用が強力です。このことから、花粉症やアトピー性皮膚炎にも効果があるとされています。これは、DHAを摂取することで作られるプロスタグランジンE3がIgE抗体(アレルゲンに過剰反応する抗体)の生成を抑制するためです。
さらに、DHAのもっともよく知られている効果として抗動脈硬化作用があります。EPAよりも強力に作用します。
またDHAには、血栓の形成を予防して血圧を下げる効果もあります。
参考:博士が教えるオメガ3脂肪酸なるほどガイド
参考:食品の機能性 学術報告
EPAのダイエット効果はここがスゴイ!
EPAのダイエット効果は、経験的にわかってはいても科学的な根拠がないといわれていました。しかし、科学の進歩とともにゲノム解析研究の成果から徐々にそのダイエット効果の実態が明らかにされています。
EPAを摂取すると腸から吸収されてGPR120という脂肪酸感受性細胞を刺激します。
GRP120は別名脂肪センサーと呼ばれていますが、2012年2月20日に京都大学の研究チームが「食事性肥満の原因遺伝子である」ことを発表しました。
出典:脂肪センサーGPR120が食事性肥満の原因遺伝子であることの発見|京都大学
このように、GPR120に異常のある人が、高脂質・高カロリー食という生活習慣で食事性肥満が起こるというメカニズムが解明されています。
EPAに刺激された正常なGPR120は、通称「痩せホルモン」ともいわれているGLP-1を放出します。
このGLP-1には、次のような作用があります。
- 胃の消化を遅くして満腹感を持続させる(過食の防止、食事摂取量の減少)
- 血糖値の急激な上昇を抑える(太るホルモンであるインスリンの大量分泌を抑える)
- 血糖を安定させる(あまり空腹を感じない)
- 体脂肪の増加を抑制する(脂肪をつきにくくする)
出典:「GLP-1の多様な作用」糖尿病サイト
また、EPAは、脂質異常(高脂血症)の治療薬としても使われています。EPAには血液の粘度(ドロドロ)を上げる中性脂肪(トリグリセライド=TG)を減らす作用があるからです。イコサペント酸エチル(EPA-E)という成分で、商品名は『エパデール』などがあります。
これは、通常のサプリメントに含まれるEPAよりも高純度に魚油から精製された薬剤で、日本国内で開発されたものです。
さらに2012年9月28日には、オメガ-3脂肪酸エチル(商品名:ロトリガ粒状カプセル2g)が高脂血症の治療薬として新たに認可されています。この薬は、EPA-Eとドコサヘキサエン酸エチル(DHA-E)の両方を含んでいます。
参考:「ロトリガ:TG低下作用を持つEPA・DHA製剤」日経メディカル
参考:「GLP-1とは?」糖尿病サイト
上図のように様々な効果があり、血流が良くなって血圧が下がると心臓の負担が軽減します。心臓の調子が良くなると、疲れにくくなり持久力も上がります。
運動などによる筋肉のダメージも少なくなるので、運動によるダイエット効果も高くなり疲労の回復も早くなります。
DHA・EPAの摂り方とダイエット効果が出るまでの期間
DHAとEPAを食物などから意識的に必要量を毎日摂取して、ダイエットの効果が出るまでには最低でも3ヵ月はかかるといわれています。できれば4ヵ月~半年間は続けた方がよいでしょう。
FDA(米国食品医薬局)がオメガ3脂肪酸の摂取を推奨しています。オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸で、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、αリノレン酸(ALA)などがあります。
EFSA(欧州食品安全機関)は、DHAやEPAなどの摂取量基準量1日5gを提案しています。FDA(米国食品痛く安全局)は、1日3gの摂取で問題ないとしています。厚生労働省も、1日1g以上の摂取を推奨しています。
魚類に多く含まれるDHAとEPAは、焼く・煮るなどの調理法よりも「生」で食べるか、調理で落ちた油も全部食べられるような献立が無駄なく摂取できるので良いとされています。
また、DHAとEPAは、摂取後に体内で酸化しやすいという特徴があります。酸化して錆びたDHAとEPAは、本来の働きを十分に発揮できません。ですから、毎日コンスタントに新鮮なDHAとEPAを補充する必要があります。
「毎日の魚料理も飽きてしまって続かない」あるいは、「後片付けが面倒くさい」「三角コーナが臭うのが嫌…」という問題も起きてくるかもしれません。そのような場合には、サプリメントを有効活用するのも賢い方法ではないでしょうか。
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DHAとEPAのさらなるダイエット効果
科学の進歩に伴って、肥満のメカニズムが明らかになってきています。
長期間、高脂肪食を摂り続けると、腸内にはLPSという炎症を起こす物質が発生します。すると、腸に軽い炎症が慢性的に続いている状態になります。
腸の慢性炎症が長期間続いていると、やがて腸管のバリア機能が破壊され、LSPが血流にのって全身へ拡散されます。そして、からだ全体の脂肪細胞の炎症を引き起こし、肥大化させることで肥満になるのです。
出典:公益社団法人 日本生化学会 「生化学」学会誌 第80巻 第11号
このように、オメガ3脂肪酸であるDHAやEPAの抗炎症作用が解明されており、肥満の原因のひとつである「腸の炎症」を抑えることで、ダイエットにも大きな効果が期待されています。
まとめ
DHAとEPAの摂取で注意が必要なのは、EPAの過剰摂取です。
動脈硬化や梗塞などで抗凝固剤を服用中の方は、相乗効果で過度に血が固まりにくくなる場合があります。健康な人でも、通常の食品以外のもので過剰に摂取することは控えましょう。
その点だけ気をつければ、DHAとEPAはダイエット効果をはじめ、うれしい効果の多い安全な成分なので、ぜひ毎日の生活に取り入れるようにしたいものです。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。