漫画文化、2人の役割迫る 京都で「小寺鳩甫と酒井七馬」展
戦前戦後に関西の漫画界で活躍した師弟に焦点を当てた「小寺鳩甫(きゅうほ)と酒井七馬(しちま)-『大阪パック』から『新寶島(たからじま)』まで」が、京都市中京区の京都国際マンガミュージアムで開催されている。東京を中心に語られることの多い漫画文化の中で、2人が果たした役割に迫っている。
小寺鳩甫(1889~1962年)は、40年以上にわたって続いた時事漫画誌「大阪パック」の主筆として活躍した。酒井七馬(1905~69年)は同誌の編集部に入って鳩甫に師事し、後に手塚治虫の「新寶島」の原作と構成を担当したことで知られる。
鳩甫関連では、昨年に兵庫県伊丹市の自宅から見つかった漫画のスクラップなどの資料が展示されている。他には主筆時代(大正、昭和初期)の大阪パックの表紙や戦後に民主主義の啓発目的で描いたポスターが並ぶ。七馬については、戦時中に軍需工場などを慰問した際の資料をはじめ、七馬が中心となって発行し、手塚らが参加した雑誌、手掛けた紙芝居がある。
同ミュージアムの伊藤遊研究員は「2人は漫画家としてだけではなく、編集者としての能力もあった。あまり知られていないが、漫画の礎を築いた人物だといえる」と話す。
10月23日午後2時からは、トークイベント「酒井七馬というマンガ家が大阪にいた。」を開く。9月25日と10月2、23日の午後1時と3時には2人の作品を含む紙芝居の実演を行う。
11月8日まで。要入場料。
【 2016年09月23日 12時30分 】