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 核実験を強行した北朝鮮への制裁をめぐり、国連総会を舞台にした外交交渉が激しさを増している。安倍晋三首相は、国連安全保障理事会決議の採択による制裁強化の必要性を、演説や首脳会談で繰り返し強調。オバマ米大統領は、北朝鮮の後ろ盾となってきた中国に協力を要請した。だが、制裁の内容では中国と温度差も見られるなど、国際社会が一致して包囲網を作れるかどうかは見通せない。

 「北朝鮮は今や、平和に対する公然たる脅威として我々の正面に現れた。今まさに国連の存在意義が問われている」。安倍首相は21日午後(日本時間22日未明)、国連総会の一般討論演説の冒頭で、核実験や弾道ミサイルの発射を強行する北朝鮮を批判し、国際社会の一致した対応を求めた。

 首相は2013年から毎年、一般討論演説に登壇してきた。過去3回は北朝鮮問題は一部で触れるに過ぎなかったが、今回は15分の演説の3分の1強をあてて危機感を前面に打ち出した。「安保理は新次元の脅威に明確な態度を示す時だ」「国連が北朝鮮の野心をくじけるか」と、強い口調で国連の対応を促した。

 背景には、米国、韓国など数カ国を除くと、北朝鮮問題に対する国際社会の認識が深まっていないとの危機感がある。国連安全保障理事会では来週以降、制裁決議をめぐる議論が本格化するが、拒否権を持つ中国、ロシアの態度も煮え切らない。北朝鮮への非難では一致しても、核ミサイル開発を止めるだけの強い制裁決議を出せるか見通せないのが現実だ。

 首相と岸田文雄外相は今回の訪…

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