88歳入院男性が中毒死 点滴に異物混入 横浜
横浜市神奈川区の大口病院で今月20日、入院患者の男性が死亡し、点滴袋などの状況に不審な点があったことから神奈川県警が司法解剖した結果、死因は点滴に異物が混入したことによる中毒死だったと判明した。県警は23日、何者かが男性の点滴に故意に異物を混入させた疑いがあるとみて神奈川署に捜査本部を設置、殺人事件として捜査を始めた。
県警によると、死亡したのは横浜市港北区、無職、八巻信雄さん(88)。20日午前4時過ぎ、病室にいた八巻さんの心拍数が低下していることを告げるアラームで30代の看護師が異変に気付き、医師を呼び出して救命処置をしたが、同55分に死亡が確認された。その後、点滴袋に異常が見つかり、病院が「点滴に異物が混入された可能性がある」と県警に通報。司法解剖の結果、八巻さんの体内と点滴袋から異物が見つかった。
八巻さんはほぼ寝たきりで、息子と2人暮らし。今月14日に同病院に入院し、4階の8人部屋の病室に入っていた。栄養補給のために点滴を受けており、担当の看護師が最後に点滴を交換した19日午後10時ごろには異常はみられなかったという。当時、病室には八巻さんを含む6人が入院していた。
同病院は午後5時から夜間の当直体制に入り、夜間は警備員が常駐する。午後9時までに施錠し、原則として関係者以外の出入りができないようにしている。八巻さんの異常が見つかった20日午前4時過ぎ、病院には警備員1人、看護師4人、ヘルパー1人の計6人の職員がいた。県警は当時の院内の状況について職員から事情を聴くとともに、不審な人物の出入りがなかったかなどを調べている。
同病院では18日以降、他に80〜90代の男女3人が死亡。病死と診断されたが、遺体が残っており、県警は司法解剖して死因を詳しく調べている。
同病院は5階建てで、病床数は85床。内科や整形外科などがあり、当時、52人の患者が入院していた。病院はJR横浜線大口駅近くの住宅街にある。【国本愛、木下翔太郎】