こうした認知症の人の声をいかした町づくり。
あなたの町でも始めてみませんか。
(君子)小さな幸せっていうのかしら…。
その積み重ねで今の幸せがあるのね。
本当にありがとう。
あなたたちは私の自慢の娘よ。
君子は73年の生涯を閉じました
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」
(常子)では頂きます。
(一同)頂きます。
(美子)真由美お口拭いて。
ベタベタよ。
(真由美)うん。
回想
(君子)どうかしら?
(南)きれいですね。
(真由美)すご〜い!見た目も楽しい方がいいと思って。
(真由美)うんと…両端を合わせて…。
こっちとこっちを合わせて…。
こっち?そうよ。
ちゃんと角合わせて。
できた!
(君子)小さな幸せっていうのかしら…。
その積み重ねで今の幸せがあるのね。
葬儀ではお世話になりました。
ありがとうございました。
(花山)うん…さみしくなるね。
ええ。
花山さん先日私に何か書いてみないかとおっしゃいましたよね。
ああ。
見つかったんです。
書いてみたい事。
母と過ごした時間の中で何気ない日常の愛おしさに改めて気付かされました。
それを心に留めておくためにもごく普通の暮らしについてつづってはどうかと思ったんです。
誰の周りにも起きていてでも誰も取り立てて話さないような事の一つ一つに心を向けて言葉にする。
決して押しつけがましくならないようにそっとお知らせするような雰囲気で。
お知らせか…。
私は母から教わった事を自分の子どもに伝える事はできません。
ですが記事にすれば多くの読者に伝えられます。
母が私たちにしてくれたように人生に僅かでも彩りや安らぎを添えられるような言葉や知恵を読者に伝えたいんです。
常子さん。
はい。
何をしている。
すぐに行きなさい。
えっ?すぐに1行目を書き始めなさい。
何より私がすぐに読みたいんだ!はい!失礼します。
この常子の企画は「小さなしあわせ」と題されたエッセーとなり読者の支持を集めていきました
君子が亡くなって8年が過ぎた頃には単行本として発売されていました
(本木)どうも。
はい。
お釣りですね。
お釣り要ります?もちろんですよね。
申し訳ございません。
お釣り!
昭和48年。
東洋の奇跡といわれる未曽有の高度経済成長を成し遂げた日本は世界第2位の経済大国になりました
ちとせ180度。
このころになるとあなたの暮し出版で働く女性の割合は7割を超え男性と同様に女性が活躍できる職場になっていました
(寿美子)常子さん。
はい。
スチームアイロンの試験の…。
寿美子さんお子さん熱出したんじゃ…。
近所の方に見て頂ける事になりました。
ご迷惑をおかけしてすみません。
迷惑だなんて事ないわ。
でも少し早く上がらせて頂きたいのですが…。
私交代しますよ。
すみません。
いいんですよ。
ありがとうございます成田さん。
あ〜いえいえ。
常子さん。
はい。
ちょっといいかしら。
すごい!でしょ?だから買ったのよ。
似合わないわね〜。
似合うわよ。
かけてみる?いいわよ。
かける?似合うわよね。
あっすみません。
ああいいのよ。
休憩中でしょ。
それより何?盛り上がってるわね。
あ〜実はこの雑誌で紹介されているサングラスを買ったんです。
あ〜これ最近創刊された…。
そうですそうです。
取り上げられているお洋服や小物がどれもおしゃれなんですよ。
へえ〜ここに載ってるの?そうなんです。
1970年を過ぎた頃から既製品の洋服を取り上げる女性誌が次々と創刊され若い女性の間で人気を博しておりました
(緑)婦人雑誌の様相も随分変わりましたね。
そうですね。
服なんて既製品の紹介ばかり。
小物だってどこどこの何々がおしゃれだから買いましょうって自分で作る事を基本にしたうちとはまるで趣が違いますよ。
豊かな暮らしの表れなんですかね。
(緑)物がなくてもったいない精神が染みついた我々の世代からは考えられませんね。
…ですね。
フフフ…いいのよ別に。
今日一日かけといたら?
花山は5年前に心筋梗塞で倒れ職場にベッドを持ち込んで休みながら仕事を続けておりました
(花山)若い子たちがねえ…。
ええ。
みんな目を輝かせて読んでいました。
時代が変わってきている証拠じゃないか?私もそう思います。
でも感覚の違いもすごく感じてしまって。
しかたないさ。
今の若い世代はあの戦争を知らないのだから。
(水田)新しく入ってきた社員たちは戦後に生まれた子ですからね。
感覚に違いが生じるのは当然ですよ。
戦後生まれか…。
私たちも年を取る訳だ。
ハハ。
フフフ。
失礼します。
トーチクのスチームアイロンをお持ちしました。
ご苦労さん。
寿美子さんは戦後生まれじゃないよね?若くなくてすみません。
いやいや違う違う。
君は最近のどんどん服や物を買う風潮をどう思ってる?私は…。
便利だとは感じています。
働きながらですと服や小物を作る時間がとれないですから。
(水田)そうだよな…。
(寿美子)それと子どものためにも…。
子どものため?ええ。
働く女性が増えてきたといってもまだまだ世間の目は厳しくて。
うちの子「貧乏だから母ちゃんも働いているんだろう」ってからかわれているんです。
近所の人にも「旦那の収入が低いから共働きしてる」ってうわさされて。
私はお金のためだけではなくこの仕事にやりがいを感じて働いているんです。
女性が働く理由を貧しいからとしか思えんのだね。
そもそも働く理由が金だとしても揶揄されるいわれはないさ。
(水田)そういう訳ですか…。
(康恵)そんなの寿美子さんだけじゃないよ。
私だって子どもほったらかしてパートタイマーで小銭稼いでるってこそこそ言われてさ。
(綾)私も。
働いている上に片親じゃない?息子にろくにごはんも食べさせてないってうわさされた事もあったわ。
いくら時代が移り変わっても働く女性に対する偏見はいまだに強いままなんですね。
常子は自分に何ができるのかを考え始めました
たくさんの方にですね買って頂いているんですよ。
どうもありがとうございます。
昼過ぎ一人のお客さんが訪ねてきました
本木さんお待たせしました。
たまき。
何だお父さんか。
(水田)何だって言い方はないだろう。
大学は?授業は午前中だけだったの。
あら。
どうしたの?常子おばさんに用があって。
忘れ物。
お母さんからです。
あ…わざわざありがとう。
これ午後の打ち合わせに必要だったのよ。
お役に立てて光栄です。
今日もいろいろと試験してるんですね。
ええ。
スチームアイロンの試験がそろそろ佳境でね。
・おいおいおいおい…。
・よし間違いない。
ちょっと失礼。
・えらい事になったな。
・常子さん!常子さん。
花山さんに報告しましょう!よし!行きましょう。
行きましょう。
とりあえず行きましょう。
どうしたんだろう…。
2016/09/22(木) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(148)「常子、大きな家を建てる」[解][字][デ][再]
君子(木村多江)が亡くなって8年。常子(高畑充希)が発案した「小さなしあわせ」が人気を博し本となっていた。同じ頃、「あなたの暮し出版」を一人の若い女性が訪れ…。
詳細情報
番組内容
昭和48年。君子(木村多江)が亡くなって8年、常子(高畑充希)は、君子から教わった言葉や知恵を次世代の読者に伝える「小さなしあわせ」を企画し、単行本が発売されるほどの人気連載となっていた。時代は随分と変わり、戦争を知らない社員も増え、その価値観に驚かされることもしばしば。常子たちは女性たちが働くことについて世間の目が厳しいことに着目していた。同じ頃、「あなたの暮し出版」を一人の若い女性が訪れて…。
出演者
【出演】高畑充希,相楽樹,杉咲花,上杉柊平,阿部純子,伊藤淳史,唐沢寿明,佐藤仁美,吉本実憂,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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