【取材日記】「ハイソウル」が何か間違っているのか=韓国

【取材日記】「ハイソウル」が何か間違っているのか=韓国

2016年09月23日09時48分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  「ハイソウルフェスティバル」が消える。ソウル文化財団(チュ・チョルホァン代表)は21日に記者懇談会を開いて「28日から5日間開かれる『ハイソウルフェスティバル』が今年からは『ソウルストリートアートフェスティバル』に名称を変更して新たにスタートする」と明らかにした。

  2002年韓日ワールドカップ当時に広場と道路をいっぱいに埋め尽くした市民の熱気を祭りに昇華させようということで翌年5月に始まったのが「ハイソウルフェスティバル」だ。2008年に大韓民国公共行政「文化祭部門」大賞を受賞するなど「ハイソウルフェスティバル」は今年で14回目を迎えソウルを代表するイベントとして位置づけられた。ユ・ギョンスク世界フェスティバル研究所長は「ミュンヘンのオクトバーフェスト、札幌の雪祭りのように都市のお祭りをマーケティング手段として活用するのは世界的傾向」として「ハイソウルフェスティバルは名称が持つ明るく楽しそうなイメージによってある程度のブランド化に成功した」と診断した。

  それでもあえて看板を変える理由は何なのか。フェスティバルのキム・ジョンソク芸術監督は「3年前からストリートアートに特化したプログラムを主に披露してきたが、そのアイデンティティを確かなものにしようと(名称を)変えることになった」としながら「いかなる政治的意図もない」と強調した。だが、これをそのまま受け止める人がどれほどいるだろうか。「ソウル市が昨年『ハイソウル(HI!SEOUL)』を用途廃棄して『アイ・ソウル・ユー(I SEOUL U)』を新たな都市ブランドとして発表した時から予告されていた手順」というのが専門家たちの大まかな見解だ。ソ・グウォン漢陽(ハニャン)サイバー大学教授は「前任の李明博(イ・ミョンバク)-呉世勲(オ・セフン)市長の痕跡を徹底的に消すという意味ではないのか」と反問した。

  公共ブランドが議論になったのは最近もあった。7月に文化体育観光部が「クリエーティブコリア」を国家ブランドとして発表した時もひとしきり騒動になった。盗作の是非だけでなく「何の問題もない『ダイナミックコリア』をさし置いて、なぜ突然『クリエーティブ』?」として「朴槿恵(パク・クネ)政権の創造経済を後押しするために無理やり組み入れて合わせたのではないのか。次の政権でずっと続くのか疑問」という指摘が少なくなかった。

  誰かは「ハイソウル」を気に入らないのかもしれない。感覚が洗練された人なら無色無臭なネーミングがやぼったく感じられるのかもしれない。だが、すでに10年を超える歳月を持ちこたえてソウル市民の誰でも知っているようなものになったとすれば、その親しみと認知度だけでもそれなりに意味があるのではないだろうか。ブランド1つを広めて育てるためにいかに多くのお金と時間を注ぎ込むことか。権力が変わるたびに、大統領・市長が変わるたびに公共ブランドのような非政治的な要素まですべて耕し返していたら果たして大韓民国に何が残るのか疑問だ。ソ・グウォン教授は「世界的ブランドならばたいてい100年を超える歴史を持つ。象徴性・斬新性よりも重要なブランドの本質はまさに持続性」と伝えた。

  チェ・ミンウ文化部記者
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