シリア 米ロが平行線で支援物資搬入が実現せず

シリア 米ロが平行線で支援物資搬入が実現せず
内戦が続くシリアで、停戦が発効したあとも危機的な状況にある地域への支援物資の搬入が実現していない問題で、ロシアとアメリカは、互いにそれぞれの支援するアサド政権と反政府勢力が搬入に協力するよう、影響力を行使することを求めていますが、双方の主張は平行線をたどっています。
シリアではアサド政権と反政府勢力の停戦が12日に発効したあと、小規模な戦闘は散発的に起きていますが、停戦はおおむね守られています。しかし、食料などが不足し、危機的な状況が続く北部アレッポへの支援物資を積んだトラックは、シリア政府の許可が得られず、国境付近で足止めされた状況が続いています。

この問題について、アメリカのケリー国務長官は16日、ロシアのラブロフ外相と電話で会談し、ロシアがアサド政権に対して物資の搬入を許可するよう働きかけることを求めました。そのうえで、ケリー長官は、支援物資の搬入が滞っているかぎり、対テロ作戦での両国の軍事協力は行えないと強調し、ロシアに対応を迫りました。一方、ロシア側は物資の搬入が実現していないのは、反政府勢力の部隊がアレッポに続く幹線道路から撤収しないためだとして、アメリカが反政府勢力に部隊の撤収を働きかけるよう求めています。

問題をめぐり、停戦を仲介したアメリカとロシアの主張が平行線をたどる中、アレッポに支援物資が届けられる見通しは立たず、深刻な人道危機が続いています。