世界遺産 ポンペイの壁画展
2016年7月23日〜9月25日
名古屋市博物館
社会アリクイ、好物食べられない 東山動植物園、アリが高価でアリを好んで食べることから、その名が付いたオオアリクイ。名古屋市千種区の東山動植物園には国内最多の5匹がいるが、実はアリをほとんど食べていない。飼育の舞台裏をのぞくと、やむにやまれぬ事情で好む餌にありつけない動物がいる。 「えっ、アリじゃないの?」。金網の隙間から長い舌を伸ばし、ペースト状の餌をなめるように食べるオオアリクイ。その姿を眺める来園者たちが、こぞって声を上げた。 ドロリとしたこの餌は、大豆や鶏肉でできた「ペレット」と呼ばれる粒を、水と一緒にミキサーで混ぜて作る。飼育員の武田梓さん(31)は「来園者から驚かれることはよくあります」と苦笑いする。 中南米原産のオオアリクイは本来、アリ塚を探し、1日に3万〜5万匹のアリを食べる。だが園にとって、これほど多数のアリを日々、確保するのは至難の業。餌用の冷凍アリも販売されているが、1キロ5千円前後の「高級食材」だ。 そこで飼育員が世界の動物園の事例研究を重ね、たどり着いたのが今の餌。ペレットは1キロ700円前後と安く、アリより栄養バランスがいいという。ペースト状にすることで、歯のないオオアリクイでも食べやすい。 とはいえ、園では週1回ほど、冷凍アリの塊のひとかけらを与えている。「ペットボトルに入れて差し出すと、舌を伸ばしておいしそうに食べる。たくさん与えられないのは申し訳ないですが」と武田さん。園内の林でアリがいそうな朽ち木を探して、木ごと与えることもある。 南アジアに生息し、魚を好むスナドリネコも、入手しやすい馬や鶏の肉を食べている。 水辺での魚捕りが得意で「漁(すなど)る」の言葉が名前の由来。かつては水を張った鉢を置き、生きたフナを泳がせて漁の様子を来園者に披露することもあった。しかし、なぜか鉢におしっこをする癖がついたため、衛生上の問題で2年ほど前に撤去。以来、魚とはすっかり疎遠だ。 本来は小動物の肉も食べるとされ、園にいる雄、雌の2匹とも餌を残さず平らげる。特に食欲旺盛な雄は最近、おなかのたるみが目立ってきた。飼育員の橋本徳二さん(50)は「餌を減らしてメタボ解消に努めている。運動がてら、また漁をしてもらったほうが良いかも」と話す。 (中日新聞社会部・河北彬光)
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