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先行き見えず、迫る寒さ「限界」

イタリア中部アマトリーチェの中心部で被災者の荷物を運び出す女性。左奥は倒壊を免れた「赤いお屋敷」=2016年9月22日、福島良典撮影

 イタリア中部地震の発生(8月24日)から1カ月を前に、壊滅的な被害を受けた最大被災地アマトリーチェ中心部の「危険区域」に消防隊員の案内で入った。余震が絶えない中、被災者の荷物の搬出作業が続く。郊外では仮設学校での授業が始まり、当局は緊急避難用のテント村を早期に閉鎖したい考え。だが、被災者は「次の行き先が分からない」と不安げだ。【アマトリーチェ(イタリア中部)で福島良典】

 「この小道は危ないから足早に通り過ぎるように」。手渡されたヘルメットを着用してアマトリーチェの中心部に入ると、消防隊員から指示が飛んだ。余震による家屋崩落の危険があるためだ。

 地震による死者297人の8割近くがアマトリーチェに集中した。観光客が下敷きになった老舗宿泊施設「ホテル・ローマ」は捜索作業で解体されて、がれきの小山と化し、近くにマットレスや枕が積まれている。

 石造りの建物が倒壊し、がれきで埋まった目抜き通り。赤褐色の5階建て雑居ビルが1棟だけ残っている。1950年代の建造だが、堅固な構造だったために倒壊を免れ、地震後、「赤いお屋敷」として復興のシンボルになった。

 このビルに消防隊員がはしごを架け、アパートに残された被災者の所有物を運び出す。「今の主な活動は荷物の搬出。だが、がれきを取り去らないと作業ができない地区もあり、徐々に進めるしかない」と隊員が説明する。

 郊外では9月13日に幼稚園と小中学校の合同仮設学校が開校し、冬に備えて屋根の増築工事が進む。「10月中旬には高校も開校する。少なくとも来年1月まではここで授業が行われる」と現場責任者のブルーノ・ロレンゴさん(50)。

 当局の点検で被災地の建造物の約半数は「居住不可能」と判断され、点在するテント村では依然、計約3000人の被災者が暮らす。暖房器具はあるが、夜間の最低気温は5〜6度。ジノ・アレグリッティさん(36)は「これから寒くなるし、毎日、余震がある。あと数日が限界だ」と話す。

 伊メディアによると、アマトリーチェの郊外が村の再建候補地になる見通しで、ピロッツィ村長は「23日にテント村の解体に着手する」と宣言。レンツィ首相は23日に復興計画を発表する予定だ。

 しかし、被災者は将来への不安を抱えている。ロベルト・モレッティさん(49)は「自宅が『居住可能』と判断されても、当局の連絡がないので戻れない。テント村に残る人が多いのは『次にどうなるのか』分からないからだ」と語った。

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