読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

父と子とゲームと

一児の父。ゆるゲーマー。子育てと仕事をしっかりこなしつつ、ゲームライフの充実を日々考えています。懐古話多めです。

金曜連載 〜子供にプレイして欲しいゲームを語る ゲームセッション〜  第4回「学校であった怖い話S」

連載企画 〜子供にプレイして欲しいゲームを語る ゲームセッション〜

金曜日はこの連載、

まだ0歳のうちの息子に将来やらせてみたいゲームをやらせてみたい時期、理由を含めて紹介していく企画です。勉強になったゲーム、親子関係の描かれているゲームなどを親子の視点から改めて考えます。

 

今回は学校にまつわる都市伝説を扱ったこのゲームです。

 

学校であった怖い話S

f:id:amehurimogura:20160923102149j:plain

機種:ゲームアーカイブスPS3/PS Vita/PSP

価格:617円(税込)

プレイして欲しい時期:12歳頃

 

 私のサウンドノベルとの出会いは「かまいたちの夜」が最初だった気がします。ドラクエのようなファンタジーではない現実世界で起きる密室殺人、その犯人を自分で探すという体験はとても刺激的でした。従来のゲームと比べてストーリーの分岐の数はトップレベルで、シチュエーションの変化もサイキック編や暗号探しなどバラエティに富んでいて、とても面白かった記憶があります。現在までのゲーム史を振り返ってもこれほど印象ある分岐シナリオが展開されるゲームは珍しいでしょう。

 

前作、「弟切草」はサウンドノベルというジャンルを世に送り出した作品です。

新たなジャンルを作り出した最初の作品というものは「モンハン」の狩りゲーや「真三國無双」の無双ゲー等、どれも革新的で、それ故に後発の作品が氾濫してオリジナルよりも良いものになっていくのが普通ですが、サウンドノベルはその性質上マシンスペックを殆ど必要としないために現在でも初期作品が今でも高い完成度を保っております。

かまいたち」では弟切草をさらに洗練させたシナリオ展開が楽しめました。

 

そして、かまいたちの夜の数カ月後に発売されたサウンドノベルが「学校であった怖い話」です。(今回は追加シナリオがあり、現在でも入手しやすいPS版で紹介しております。当然の事ですがPS版はオリジナルのSFC版よりも後に発売されました)

 このゲームの分岐はかまいたちと同等か、それ以上に豊富であり、少なくともプレイ当時の私には無限の分岐があるようにすら感じました。

 

 

仮想と現実の間

小学生の間にはいつの時代でも怖い話、都市伝説が流行します。ある時代では口裂け女であったり、人面犬であったり、ツチノコであったり、私の時には人面魚なんてのも流行っていました。人面魚なんかは鯉の顔の模様がたまたま人の顔っぽく見えるだけで、どう考えてもただの鯉でした。恐らく全国、どこにでも人面魚は存在していたと思われますし、今も存在していると思います。口裂け女は私はリアルタイム世代では無いので分からないのですが、おそらく発端は人面魚のような何か些細な妄想だったのでは無いでしょうか。

 

私は今でもオカルトや怖い話の類が好きですが、どうしても「信じているふり」がベースになってしまっている感があります。小学生から成長して一度は信じられなくなり、そこからさらに大人になって、信じているという演技を続ける事で楽しんでいるんだと思うんです。

でも、小学校低学年頃の私は「矢追純一のUFO番組」を見て、ヒトラーが南極で生存して地球製のUFOを量産して反撃を目論んでいる話やエリア51の地下で宇宙人による秘密の人体実験が行われている話をかなりまじめに信じていました。夢の中には赤い宇宙人の司令官が出てきて、毎晩のように地元の町を侵略しないで欲しいという話をしていた程です。

この年代の妄想は本当に現実と仮想の世界があいまいで、とても面白かったです。今、私が見たもの聞いたものに対してイマジネーションを働かせられるのも、この頃の妄想がベースになっているのは間違いありません。

 

この妄想を一番楽しめる年代が小学校中学年から高学年程度だと考えたので、今回のプレイして欲しい時期は12歳に設定しました。

一応、対象年齢は15才以上とされているようですが、私のプレイ当時はゲームの対象年齢表示は存在しなかった事と、あくまで仮定の話であり、本当にプレイを強要するような事はしないという事は念のために記しておきます。

 

 

膨大な分岐とシナリオの秀逸さ

学校であった怖い話」は新聞部の主人公が学校新聞を作るために、心霊体験をした7人の学生に話を聞いて回るというのが主なストーリーです。主人公は男女の選択があり、これによっても少し話が変化します。タイトルがこれ以上ないくらいにストレートなので、どういうゲームかはとても想像し易いかと思います。

 

最初は7人目は来ておらず、集まってくれた個性豊かな怪しい6人に順番に話をしてもらう事になります。7人目はそれまでの6人を選ぶ順番とその選択肢によって変化します。7人目はとうとう現れずに解散というルートもあります。また、特殊な選択による隠しルートも存在します。

単純に大枠のシナリオ数で言えばおよそ50くらいだと思いますが、さらに各シナリオが分岐をするので、組み合わせはかなりのものになります。今考えても無限に分岐があるような気にすらなってきますね。

 

この最初に集まる六人がなかなか曲者で、ヤンキー気味な新堂、不思議系の風間、とにかく暗い荒井、トイレオタク細田、陰険そうな美人の岩下、和ませ役っぽいがどこか狂気を感じる福沢という構成になっています。ホラー映画に出てくるアイコン的なキャラを凝縮したような構成ですね。これだけで既に面白さは保証されたようなものですが、何といっても秀逸なのはシナリオです。

サウンドノベルはシナリオが命。この核の部分がどのシナリオも本当に面白く、ライターさんの力量には感服するばかりです。この膨大な分量を破たん無く一つのゲームとしてまとめあげるには大変な労力がかかっているであろう事は容易に想像できます。

 

ひとつ例を挙げると新堂を二人目に選んだ場合に「飴玉をくれるおばあさん」の話が始まります。

下校の時間、一人で家に帰ろうとすると飴玉をくれるおばあさんが時々現れる。そして、一度その飴を舐めれば正確が明るくなり夢が叶うというのがこの話の概要。

このシナリオが選択肢次第で、ダイエットを望んだ女学生が飴をもらってダイエットには成功するがそれは寄生虫に栄養を奪われていたためで、衰弱死してしまう展開や、欲張って2つの飴玉を強奪した学生が代償に目玉を奪われてしまう展開、言いつけを守らず飴を噛んだために何を食べても飴の味しかしなくなり、無差別に他の学生の舌を切り取り自分の舌と取り替える展開など、いくつにも分岐していくのです。

 

 これが各シナリオで行われるわけですから、まるでゲームのタイトル通り、ほぼすべての「学校であった怖い話」を網羅しているのでは無いかと思えるほどです。膨大な展開の広がりは、自分がゲームの世界に干渉していく没入感があり、PSVRとは違った形での仮想現実を見せてくれるかもしれません。携帯の登場など、ツールの変化はありますが現在でも十分身近に感じる事が出来ると思います。

 ホラーの基礎教養として「学校であった怖い話」、プレイしてみてはいかがでしょうか?

 

 

次回はこのコーナーも少しだけ変化を付けたいと考えております。

最近、寒くなってきたのでみなさま、体調管理にはお気を付けください。

うちは子供が風邪をひいてしまい、なかなか大変な状況になっております。

 

 

学校であった怖い話S

学校であった怖い話S