ハロウィン、年々、盛り上がりを見せていますね。
昨年は、仮装した人たちが渋谷をはじめとした繁華街に大挙押しかけ、いい意味でも悪い意味でも大きな話題となりました。
ハロウィンって何?
そもそもハロウィンとは、毎年11月1日に行われる「万聖節」の前夜祭のこと。
秋の収穫を祈願して、霊を招かないようにする儀式です。
かぼちゃをくり抜いた「ジャック・オー・ランタン」を飾り、子供たちがお化けや魔女に扮して、家々を周り、戸口でお菓子をもらって返されるのが定番。
意味合い的には、日本の秋の収穫祭と節分がガッチャンコしたようなもの、ですね。
ハロウィンは10月31日に行われる子どもが主役のお祭りですが、これが日本では10月の半ばあたりから11月上旬にかけて、大人が仮装して街を歩いたりパーティーを楽しむものとなっています。
ハロウィン用の衣装やグッズがバカ売れで、その経済効果はクリスマスを抜いたとか、抜かないとか。それくらいの大イベントです。
以前は、正直申し上げて、
「いい大人が、調子に乗ってはしゃぎまくって、馬鹿じゃないの?」
って思っていました。
が、自分もハロウィンで仮装を経験したところ、こんなに楽しいものはない、って思えたのです。
ま、現金なものですね・・・(笑)。
気合い満点のハロウィン・パーティー
今から数年前、とあるNPO団体のボランティアスタッフをしていました。
活動のメインは夏のキャンプですが、それ以外にも、サバイバル・バーベキューや染物などの活動を行っていました。
その一環として実施されたのが、「ハロウィン・パーティー」
かなり広い敷地にあるいくつかの建物や部屋で様々なアトラクションを準備し、子ども(小学生)たちが、巡回するという企画。
子どもたちは、みんなハロウィンらしく着飾って集まってきます。
子ども本人というよりは、母親たちの気合いが感じられました。
「老婆の部屋」や「占いの館」、「処刑室」、「亡霊の間」などなど、お化け屋敷さながらの演出がなされています。
ガチです。
劇団に所属している人も多数参加し、超本格的に子どもたちをビビらせるのです。
「死霊の墓場」に棲む「地獄の死刑執行人」
私も、子どもを怖がらせる役をやらせてもらいました。
初めての年、私が仰せつかった役は、「死霊の墓場」に棲む「地獄の死刑執行人」。
そもそも、死霊の墓場に何で地獄の死刑執行人がいるのか・・・、もう、めちゃくちゃな設定ですね(笑)。
やるのは、照明を暗くした室内で、迷い込んできた子どもたちを追いかけまわすことです。
子どもたちは、わーわー、きゃーきゃー、叫びながら、逃げ惑います。
それはそれは、本当に楽しかったですね。
でも・・・、若干、満ち足りないものがありました。
「なんでだろう?」と考えたところ、それは「変身」の仕方のせいではないか、と思ったのです。
「地獄の死刑執行人」という役柄上、私の格好は頭の先から足元までを、すっぽりと覆う黒マント姿でした。(衣装は自前で調達したもの)
この格好だと、「自分がやっている感」が、どうも足りないのです・・・。
端から見ても、誰が中に入っているのか分からない状態。
そういう意味でも、「変身はしているけど、自分にはその実感が無い」といったところだと思います。
亡霊に守られた悪魔城に眠るドラキュラ
翌年の「ハロウィン・パーティー」では、違う役をやらせていただきました。
「亡霊に守られた悪魔城に眠るドラキュラ」役。
劇団の方に舞台用のメイクをバッチリしてもらいました。
準備した衣装も完璧です。(これまた自前で調達しました)
悪魔城に迷い込んだ子どもたちを、亡霊が捕まえる。
その騒ぎに目覚めたドラキュラが、怒って子どもたちを責め上げる。
最後は、ちょっとしたゲームをさせ、それに成功した子どもたちは脱出できる。
そんなストーリーです。
アドリブOKのセリフ回しもあります。
迷い込んだ子どもたちに、
「私の眠りの邪魔をするのは・・・、オマエか!!」
と言って、ビビらせます。
それまで、半分ニヤけていた子も、瞬時に真顔になります。いや、蒼白になります。
そして、素直に言うことを聞くのです。
「オマエか!! 喰ってやろうか!!」
「・・・ボクじゃない・・・」
こう言って、泣き出す子どもも・・・。
主催者に、「何人か泣いちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」と報告したら、一瞬、真顔になったあと、笑いながら「大丈夫、大丈夫、何とかなるって」といわれました。
- 参加するにあたって、「本当に怖いから覚悟してね」の案内と承諾書の提出してもらっていましたが・・・、やはり、クレームは来ただろう、と。
変身願望とハロウィンが楽しい理由
見る人が見れば「私」だと分かる中、全く別の役割を演じる・・・。
違う自分になる開放感、そして、普段は出来ないことが出来てしまう快感。
一方で、どこかに「本来の自分」を残している安心感。
そして、知り合い同士、互いの「変身」度合いにチャチャをいれて楽しむ。
「変身願望」とは、こういうことなのかなぁ、と思いました。
そして、ハロウィンでは、こんな「変身願望」を、負い目を感じずに充たせられるから楽しいのでしょうね。
(一人だけで、時期を考えずに仮装するのは、とても勇気がいるでしょうから)
ボランティアを退いて以降、ハロウィンで自分が仮装することはなくなりました。
が、仮装している人を見るのは、楽しみになってきました。
唯一、血だらけメイクで外を出歩くのだけはやめて欲しいですが(笑)。
では、また。