ハバナ=石松恒
2016年9月23日12時14分
安倍晋三首相は22日午後(日本時間23日未明)、日本の首相として初めてキューバを訪問し、フィデル・カストロ前国家評議会議長、弟のラウル・カストロ国家評議会議長と相次いで会談した。安倍首相は両氏と経済協力や北朝鮮問題への対応などを話し合い、ラウル氏とは医療分野への約12億7千万円の無償資金協力を行うことで合意した。
フィデル氏との会談は、フィデル氏の私邸で約70分間行われた。首相は冒頭、フィデル氏の広島訪問を含む過去2回の訪日に触れ、「二国間関係は大きく進展した」と述べた。核実験や弾道ミサイル発射を強行する北朝鮮について「国際社会の平和と安定に対する従来と異なるレベルの脅威で、厳しく対応する必要がある」と主張。フィデル氏は「キューバでも、広島・長崎の悲劇が広く語られている。両国は核のない世界をつくることで一致している」と応じた。
ラウル氏との首脳会談はハバナ市内の国家評議会で行われ、両首脳はがん診療などの医療機材を提供するため、最大12億7300万円の無償資金協力について書面で合意した。昨年4月、岸田文雄外相によるキューバ訪問の際に合意した本格的な無償資金協力の「第1号」となる。
首相は、キューバの中長期債務1800億円のうち、延滞利子分に当たる1200億円を免除すると表明。日本からの投資促進に向けた官民合同会議を11月に東京で開くこと、キューバのインフラ整備にあたる日本企業の進出支援、国際協力機構(JICA)キューバ事務所の開設などでも合意する見通しだ。
首相は、北朝鮮問題も取り上げる。北朝鮮と友好関係にあるキューバに対し、国際社会が結束して制裁強化にあたる必要性を訴え、理解と協力を求める。
キューバは昨年7月、米国と54年ぶりに国交を回復した。今年3月にはオバマ米大統領がキューバを訪問。米国との関係改善で、欧米からの経済協力や民間投資が活発化している。日本政府も、投資や貿易の拡大によりキューバとの関係強化を図る考えだ。(ハバナ=石松恒)
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