租税回避地の企業役員に元副委員長の名前 EU 厳正に対処へ

租税回避地の企業役員に元副委員長の名前 EU 厳正に対処へ
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租税回避地として知られるバハマの企業の役員の中にEU=ヨーロッパ連合の元副委員長が含まれていたことが明らかになり、EUは本人に経緯の報告を求める書簡を送り、厳正に対処する方針を示しました。
ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合は、租税回避地として知られるバハマに設立された企業に関する文書を公開し、この中で、EUの元副委員長でオランダ出身のクルス氏が2000年から2009年までバハマの投資会社の役員として記載されていたことを明らかにしました。
EUの規定では、委員に対して、報酬の有無にかかわらず兼職を禁じているほか、過去10年間に関わった企業活動をすべて報告するよう義務づけています。
EUの報道官は22日の記者会見で、ユンケル委員長がこの日、クルス氏に経緯の報告を求める書簡を送ったことを明らかにし、「事実関係が明らかになった段階で次の対応を決める」と述べて、裁判所に司法判断を求める可能性も含め、厳正に対処する方針を示しました。
クルス氏は、副委員長に就任する前の2004年から6年間、EUで企業の租税回避の調査や公平な競争の監視を担当する委員を務めていました。
EUをめぐっては、おととし退任したバローゾ前委員長がこの夏、アメリカの大手投資銀行の顧問に就任したことに道義的責任を問う声が上がるなど、委員と企業の関係の透明性の確保が課題になっています。