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宅野誠起(アニメ監督)×柴宏和(アニメーション・プロデューサー)(Rooftop2016年2月号)

 石膏4人を主役にしかもアイドルで、という誰も想像がつかない作品がまさかのアニメ化。このシュールで斜め上をいく作品はどのように作られているのか?アニメファンでなくとも気になるこの"石膏ボーイズ"の制作裏側を監督・プロデューサーに語っていただきました。
(interview:柏木 聡 / Asagaya/Loft A)

© ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会

全然想像できなかったんです

 
——まずはこの企画が動き始めた経緯を伺えますか。
柴(宏和):昨年2月頃に宅野(誠起)さんに新しく監督してもらう作品を決めたいなと思っていた時、いくつか魅力的な作品を頂いていたんです。その中にまだ企画書段階のものがあって、石膏像がアイドルをする話ですと書いてあったので、コレ面白いなと名乗りを上げたのが始まりです。ホルベイン画材という老舗画材メーカーが自社の商品を売る時に新しく立ち上げた企画をKADOKAWAさんとザリガニワークスさんと組んで知恵を絞って「アイドルにしちゃえばいいじゃん」と思いついたのが元々の企画だと伺っています。
——すごい発想の企画ですね(笑)。企画を持ってこられた時の第一印象はどうでした。
宅野:最初に聞いたときは全然想像できなかったんです(笑)。先方に最初お話を伺ったときもまだ企画段階ということもあってフワッとしていました。
——画材メーカーですとこういった経験がないですよね。
宅野:どういうものを求められているかがわからない中、我々ができるのは普通のアニメーションなのでその技術を使って進めていこうと決めました。
——石膏にはモデルとなる人物もいますし、よくある擬人化に寄せることも多いと思うんですけど、そうしなかったのはなぜなんですか。
柴:確かに石膏像をSDキャラにする案や擬人化も手段としてありました。
宅野:石膏だともとに戻す形ですから擬人化じゃないですけどね(笑)。ただ、石膏に一番馴染みがあるのは美大生だと思うんです。その馴染みある石膏から離れてしまうのは違うんじゃないかということで今の形になりました。そうやって企画を進めていく中でフックとなったのがマネージャーの石本(美希)が石膏に嫌気がさしてココに来たという部分だったんです。
——そこでフックを見つけるというのがすごいです。それでもアイドルは歌って踊って笑うという真逆の存在ですが、どのようにその点をクリアーされたんですか。
宅野:アニメは動いて色や表情があるものなのに石膏は動かしようがなく画面も活気づかないので、本当に難しかったです。ほかにできることといえば背景を漫画のようにイメージシーンで表現する方法です。そういう事をやっていく中で作品が見えてきたというのはあります。それでも動かないぶん声の力が大きいので、重要なのはキャストだろうと思いました。
——選ばれるときはどういった点を重視されましたか。
柴:昨今こんなとんがった作品がないからなのか、ありがたいことに多くの声優の方にオーディションへ来ていただけました。
宅野:そんな中で決め手になったのは、演技力とギャグセンスです。主役の杉田(智和)さん、立花(慎之介)さん、福山(潤)さん、小野(大輔)さんとは私と年が近いという事もあり、良いチーム感ができました。ほかにも上手い方にたくさん参加していただけたんですけど、大御所の方が入ると気を使ってしまうので、求めていたチーム感がなくなってしまうという事で、この4名にお願いすることになりました。
——実際にアフレコになるとキャラクターが石膏ですし演技力が相当必要だと思います。この世界で受け入れられているというのを表現する事にキャストの皆さんは悩まれたりとかはなかったんですか。
宅野:各キャラクターを掴むのに悩まれたというのを小野さんはおっしゃっていました。でも最初から面白かったんですよ、4名揃った時の相乗効果なのかもしれないですね。掛け合いによって出来上がっていく感じでした。キャストの皆さんが自分で作ってきてくれたものが、私たちの考えていたものから斜めの方向だったりしたんですがそれが逆に面白いくらいに転がっていきました。この作品はキャストのみなさんのおかげで出来上がっていっていると感じました。
 

Live info.

<放送>
TVアニメ「石膏ボーイズ」
TOKYO MX  BS11ほか
ウルトラスーパーアニメタイム内にて放送中
公式サイト<http://sekkoboys.com/
 
<イベント>
テレビアニメ『石膏ボーイズ』みんな、バレンタイン前日もジョルジョってるか~い? イベント
 
2/13(土)
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥3,000 (飲食代別)
 
【出演】
宅野誠起(アニメ監督)
古城門志帆(石本美希役)
牧野由依(花屋敷ミラ役)