中国のメディアやネットでは、日本に対する愛憎が入り混じっている。政治的な分野では憎しみを持つ一方で、品質管理や技術研究の面では「日本に学べ」と訴えている。ところで、今の日本に「中国から学ぶ」ことは、あるのだろうか。中国メディア・中国国際放送局は19日、日本の小都市が「中国によるメイド・イン・ジャパン」という概念を打ち出そうとしていることを伝える記事を掲載した。

 記事は、人口わずか4万7000人の静岡県牧之原市が「メイド・イン・ジャパン・バイ・チャイナ」(MIJBC)を声高に叫んでいると紹介。先日、多くの中国メディアが招待を受けて同市を訪問、そこで西原茂樹市長から「中国の資金と販路、日本の製品や技術、サービスを結合させ、製品の研究開発から生産、製造までをすべて日中合作で完成させる」との説明があったと伝えた。

 そのうえで、中国人の「爆買い」が日本社会を震撼させ、日本人に中国の経済力を再認識せしめたことが、MIJBCに拍車をかける要素の1つとなったとの見方を示した。そして、同市長の「参謀役」が「15-20年前には誰も中国経済がこんなに発展すると思わなかった。しかも、今もなお多くの中小企業が中国に対する理解不足によって中国を『世界の工場』と認識している」、「われわれのプロジェクトを通じて、日中両国の企業や日本政府が次の時代に向けてしっかりと準備するようになることを望んでいる」と語ったとしている。

 さらに、日本には老舗企業が多いのに対して、中国では企業の寿命が3-5年と短く、長期的に安定した発展が経営者にとって課題であると同市長が説明したことを紹介。技術や環境保護、品質、経営といった面で、日本企業の経験が中国企業の問題を解決するのに役立つとの見方を示す一方で、「これまで、日本が一方的に中国に投資をして、中国の人から学んだことはなかった。今、中国の人を呼んで、彼らから学びたいと思っている」とし、互いに学び合おうとする姿勢も見せたことを併せて伝えた。

 その昔、日本は当たり前のように中国からさまざまな事物を学習してきた。それが近代以降はストップし、現代では逆に中国が日本から学ぼうとする姿勢を見せてきた。そして今、日本国内から再び「中国に学べ」という言葉が出てきたことに対して、中国側はどのような感想を抱いただろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)