京町家解体を届け出制に 京都市骨子案、早期把握で保全図る
京都市は21日、京町家を解体する際に、所有者に事前の届け出を行ってもらう制度の骨子案を明らかにした。取り壊しによって京町家の数が年々減少する中、早期に解体の動きを把握し、保全や活用につなげたい考えだ。
この日、中京区で開かれた市京町家保全・活用委員会で説明した。
市などが2008~09年度に実施した調査では、市内の京町家は約4万8千軒確認されているが、毎年700軒ほどが取り壊されているとみられる。京町家の維持修繕費や相続税などの負担が重く、取り壊しになるケースが多いという。
一方、現在は地域住民や事業者から、解体の動きが進んだ段階の情報しか入ってこず、取り壊しの流れを止めることはほとんどできていない。
骨子案では、大型の町家や、文化的・景観的に価値が高いと認められる京町家については市が指定し、所有者に市への届け出を義務化する。その他の京町家は指定を行わず、届け出は努力義務とする。
市は届け出を受けると所有者と話し合い、保全や活用に関する支援策などを説明し、解体以外の方法を探る。所有者の意向に沿って、事業者や市民団体につなげ、活用方法を考える。
今後、市は所有者への新たな経済的支援策を創設し、事業者への情報提供も徹底する方針。市まち再生・創造推進室は「届け出は最終段階と考えている。届け出が出るまでに市としてできる支援をやり尽くしたい」としている。
この日の委員会では、委員から「どの段階で届け出てもらうのか」「指定の範囲をどこまで広げるのか」などの指摘が相次いだ。
市は今後、届け出の時期や指定の範囲などを具体化する。さらに、委員会から答申を受けて制度の内容を確定し、来年の5月市会に提案予定の京町家の保全や活用を推進する条例案に盛り込む方針。
【 2016年09月22日 13時18分 】