木箱地雷を使った挑発行為で南北の緊張が高まった昨年8月、北朝鮮の小型無人機が江原道華川郡で軍事境界線を韓国側に5回にわたり越境し、韓国軍基地上空を飛行したが、それを撃墜できなかったことが明るみに出た。
与党セヌリ党の李鍾明(イ・ジョンミョン)国会議員が21日、韓国軍合同参謀本部から提出を受けた資料によると、北朝鮮の無人機は昨年8月22日から24日にかけ5回にわたり、華川郡上空へと越境してきた。韓国軍は軍事境界線を約3キロメートル越境してきた無人機が韓国軍の施設を撮影していった事実を認知していたが、特別な措置を取らなかったという。韓国軍の警戒哨所(GOP)は一般的に軍事境界線の南側2キロメートルに設置されている。それを越えたということは、GOPだけでなく、後方部隊や指揮部まで偵察した可能性が高いことになる。
北朝鮮の無人機が韓国軍の頭上を飛行した当時は、非武装地帯での木箱地雷による挑発(8月4日)で北朝鮮との緊張が高まっていた。韓国側が拡声器による放送を再開(10日)すると、北朝鮮軍は西部前線の京畿道漣川郡の拡声器に向け高射砲と直射砲を発射(20日)し、韓国軍は直ちに対応射撃を行った。また、北朝鮮の潜水艦の70%が基地を離れ、在韓米軍は多連装ロケット(MLRS)を前方へと移動した。韓米は対北朝鮮情報監視体制である「ウォッチコン」のレベルを3から2に引き上げた。南北は当時、事態を打開するため、22日に南北高官級協議を開始し、25日になって劇的に対立状態の解消で合意した。