タックスヘイブン(租税回避地)として知られるカリブ海のバハマに設立された企業の役員に、欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のクルス元副委員長の名が登録されていたことが22日、分かった。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が同日、バハマに設立された法人約17万5千社の情報公開と合わせて同氏の関与を指摘した。
ICIJのホームページによると、南ドイツ新聞がバハマの金融サービス会社の内部資料を入手。ICIJなどが分析した。
クルス氏はオランダ出身。2004年から10年にかけて、欧州委で競争政策を担当、その後、デジタル戦略担当の副委員長に就任した。米紙フォーブスの「世界で最も影響力のある女性100人」にも選ばれた。ICIJのHPによると、クルス氏は00年から09年にかけてバハマに設立された企業の役員となっていた。クルス氏の弁護士は同氏の名前が記載されたのは「事務的なミス」としている。
ICIJはその他、中国、ロシア、カナダ、フィリピン、タイ、パキスタン、アゼルバイジャンの政府幹部やその家族が、租税回避地でのペーパーカンパニー設立に関与していたと指摘している。
ICIJは今年4月、パナマの法律事務所の内部資料「パナマ文書」について公表。ペーパーカンパニー設立に関連して、ロシアのプーチン大統領の友人や中国の習近平国家主席の親族の名前が挙がり、アイスランドのグンロイグソン前首相が辞任に追い込まれるなど国際的なスキャンダルに発展した。