少し前の記事に続いて、懲りずに今回もるろ剣の話をします。
伝説の最期編
僕の好きな実写映画に「るろうに剣心 伝説の最期編」があります。内容としては、「るろうに剣心」の十本刀との闘いの後半を描いた作品にあたるのですが、大胆なアレンジが多すぎて、完全に別物となっています。
例えば、十本刀は殆どバックボーンなどが省略され、何故志々雄に仕えているのかよく分からない人たちになっています。それは、今回の記事の主役である宇水さんも例外ではなく、志々雄といつでも闘えるという理由や、心眼の説明もなく、ただ何故か常に目隠ししている変人状態です。
更に、御庭番衆編をやらなかった分、無理矢理蒼紫の話もねじ込んだために、志々雄と関係ない蒼紫が何度も襲ってくるおじゃまキャラと化しています。こういった大胆な纏め方ながら、きっちり面白く、アクションがド派手で爽快な点は、まさしく僕が好きな「るろうに剣心」そのものです。
人物紹介
折角ですので、宇水さん以外にも、原作と同じなようでどこかズレている登場人物たちを紹介していきます。
緋村剣心:本作の主人公です。主に宗次郎や志々雄と闘いますが、宗次郎戦では、縮地を使い跳ね回る宗次郎に対して、やたら下半身だけを狙って攻める、格ゲーで友達を無くしそうな戦法を使って勝利したりします。前編では、役者的に「良太郎対アンク」という平成ライダーファン歓喜の戦闘シーンを見せます。
左之助:原作に比べてチンピラ度マシマシです。蒼紫に喧嘩売っては負けたり、特に二重の極みを覚えないまま安慈を倒したり、特に志々雄との因縁もないので、最終戦で一人だけ志々雄から「誰だお前!?」と怒られたりします。
実写映画版の左之は一見ずっと煩いだけの邪魔者に見えるんですけど、実は二重の極みも覚えない上に蒼紫にボコボコにされるので本当に煩くて邪魔な役立たずなんだよな……
— にゃるら (@nyalra) 2015年10月30日
蒼紫:前述の通り、本筋とは余り関係のないおじゃまキャラ。前編の方の扱いが悲惨。しかし、イケメンキャラなだけに、スタイリッシュな剣術は、観ていて小気味良いです。
るろ剣観てきたんですけど、志々雄篇に本筋と全く関係のない蒼紫をねじ込んできたのに、前篇だと剣心と対峙しないので、今回の蒼紫が「コミケで東京に来たけど、どうしていいのかわからず、何も買わずに京都に帰ってきたオタク」みたいな状態になってたのが一番面白かったです
— にゃるら (@nyalra) 2014年8月14日
宗次郎:縮地の速さを映像で再現しづらかったのか、戦闘中にやたらぴょんぴょん跳ね回って可愛いです。剣心にやたら下半身を狙われて押されたり、特に過去が描写されないため、本編を知らなければ、突然発狂し始める感情の起伏が激しい人にしか見えなかったりします。
宇水:何故か常に目隠しをしている謎の人物。まともなセリフがないため、本当に何なのか分からない人。今回の記事では、この宇水さんの活躍を中心に紹介します。これでも、他の十本刀(飛翔の蝙也あたり)よりはマシな扱いです。
斎藤:一作目では、やたらふわっと浮き上がる牙突を披露したため、「ゆるふわ牙突」と呼ばれてしまった宇水さんのライバル。
改めて見ると、最早牙突でもなんでもない謎の浮遊技ですね。格ゲーだと昇竜コマンドで出るクソ技っぽさがあります。これがあったからこそ、今作のまともな牙突が映えたという見方もできます。
志々雄:第二の主人公のような存在のために、過去もしっかり描かれますし、特にラストの人体発火の演技は圧巻。志々雄戦の殺陣だけでも映画代の価値は十分あります。今作では、最終決戦の舞台も煉獄なため、原作と違って左之助が友達から貰ってきた爆弾数発で沈む船は買わなかったようです。
伝説の最期編の志々雄が理想的だったお陰で、新京都編の頭ばっくり割れるやつの事が忘れられて嬉しいです。
伝説の最期編での宇水
・原作での宇水さん
「伝説の最期編」での宇水さんの活躍ぶりを紹介する前に、軽く原作での宇水さんの話をします。
宇水さんといえば、「ティンベーとローチン」という、読者の9割が知らないであろう武器でチクチク突いてくるイメージが強いでしょう。
ここにきて突然出身地が琉球と、絶対この武器を使わせたかったからだけの設定が飛び出します。
奇しくも僕も同じ琉球出身なので、子供の頃に友達の家でティンベーらしきモノを見た記憶があります。もしかするとただのデカい亀の甲羅だった可能性もありますが。
そんな宇水さんの戦法は牙突零式にあっけなく敗れてしまい、上半身のみの状態で「一片の淀み無く…己が道を…貫く… 簡単な様で…何と…難しい事…よ 斎藤…お前はこれから…近代化する明治で…どこまで刀に生き… 「悪・即・斬」…を貫ける…か…な…………?」と長々と捨てセリフを残したものの、斎藤に「無論、死ぬまで」とジャンプ史に残る名セリフで返され、見事なまでに完全敗北をします。最後まで負け惜しみを言った所為で、斎藤人気の踏み台にされる様が正しく宇水さんらしい。
宇水さんが上半身だけになった状態でも「お前はこれから悪即斬を貫けるかな……」と上から目線の負け惜しみ説教かけてくるところや、「無論死ぬまで」と超カッコよく論破されるシーンも含めて、志々雄相手にエアプを続けてきた自称最強勢の末路な感じが好き
— にゃるら (@nyalra) 2016年8月29日
・他媒体での宇水さん
アニメタルの「The 十本刀」では、宇水パートの歌詞もメロディも超カッコいいので、是非聴いて欲しいです。曲全体でも方治の「強し! 強し! 強し!」のセリフが挿入されていたりと、ファンのツボを抑えている名曲です。
「The 十本刀」の宇水パートの歌詞にある「息の乱れでわかる 胸の震えでわかる 心の眼が見る人の弱みも噓偽りも」の部分最高にカッコいいんですけど、「志々雄を殺す為に仲間に入った」と噓ついてただビビってるだけな上にその弱味を握られてるのも全部宇水さんの方だからね
— にゃるら (@nyalra) 2015年10月30日
宇水さん一の名言「何が可笑しい!!」は、LINEスタンプにもなりました。
るろ剣スタンプは和月先生の力強い文字をLINEスタンプのサイズで再現するのは難しいと考え、代わりにゴージャスな金色にするという方向を選んだので信頼ができる。 pic.twitter.com/QLXSmI7oVa
— 犬紳士 (@gentledog) 2016年8月31日
それでは、宇水さんの基本情報を共有したところで、「伝説の最期編」での宇水さんを振り返っていきます。
・伝説の最期編の宇水さん
伝説の最期編では、安慈・宗次郎・張・方治以外の十本刀はほぼいるだけ参戦です。恐らく誰も蝙也や才槌に尺を使うとは期待していないでしょうし、寂しいですが妥当な判断ではあります。
なので終盤の乱闘シーン以外では、特に誰も何もしません。宇水さんは中盤で軽く人を殺したりもしますが、別に宇水さんでなくても良いような1シーンなので飛ばします。
宇水さんと永遠のライバルである斎藤との出会いは、斎藤が一人で多数の雑魚相手にも押されず善戦している場面から始まります。
のそっと現れる宇水さん。ティンベーとローチンが実写だと頼りなさそうなのを除けば、貫禄を感じさせる一枚です。そもそも、この乱戦状態では絶対聴覚も役に立たない上に、当然前も見えないのでかなりのハンデ。煉獄に残って一対一に徹すれば良かったのに、この世界線での宇水さんは、余り志々雄から評価されていない雑魚の一人なのでしょうか。
ゆるふわ牙突の悲劇を繰り返さぬよう、今回はカッコよく牙突の構えを決める斎藤一。ギラリと光る眼光から緊張感が漂います。
対して宇水さんは、距離がある事もありますが、あれだけ原作では偉そうに語っていたティンベーとローチンの基本的戦法を感じさせない構えで対抗します。明らかに何も考えずに特攻する気満々です。
「ヴォオエェ!」と、知性の欠片も感じさせない雄叫びを上げ特攻する宇水さん。果たして原作のリベンジなるか……!?
当然ダメでした。そもそもあれだけ意味深に持っていたティンベーが、一切役に立ってないのが面白いです。完全に首狙ってきますからね、斎藤。ティンベーごと貫ぬくような見せ場すら作る気なしです。恐らく即死なので、原作のように捨てセリフもなし。本当にただ趣味で目隠ししている特攻役の人でしかない宇水さんでした。
が、宇水さんの出番はこれで終わりません!
なんと宇水さん、死体になった状態でエンディングでチラチラ映ります。恐らくティンベーが分かりやすいのが、目立つ原因でしょう。シリアスな終戦ムードに、画面端に何度か映り込む宇水さんの死体はズルいです。
映画版は十本刀の扱いが雑で、宇水さんはただ目が見えなくて突撃してきた猪プレイだし、宗次郎も説明がないのでニヤニヤしてたと思ったら突撃発狂する病気の人で、不二は特にデカくない上に、他は方治以外ほぼ居るだけですからね。この適当さ加減と気合い入った志々雄のバランス加減が癖になります
— にゃるら (@nyalra) 2015年11月6日
冒頭でも書いた通り、こういった部分も含めて大好きな映画ですので、是非縁との話も映画化して欲しいです。以上、宇水さんの話でした。