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「盛り土の上に、高床式の建物」元市場長が認識

【左】専門家会議の提言に沿った計画(閉鎖高床式)【右】実際の水産仲卸売場棟と水産卸売場棟

 東京都の豊洲市場(江東区)の主要建物下に盛り土がされなかった問題で、2011年6月の時点で都幹部らは「盛り土をした上に高床式の建物を建てる」との認識を持っていたことが分かった。09年7月〜11年7月に担当部局の中央卸売市場トップの市場長を務めた岡田至氏が証言した。【円谷美晶、川畑さおり】

 担当職員から「盛り土計画」を変更したとの説明はなかったという。豊洲市場整備の根幹をなす土壌汚染対策について、都庁内で情報が共有されていなかった実態が改めて浮き彫りになった。

 岡田氏によると、09年7月に市場長に就任した際、建築工法について盛り土をした上で地表より床を高くする「閉鎖高床式」とするとの説明を受けた。閉鎖高床式は1階の床の高さを地表から約1メートル高くする工法で、岡田氏は業界関係者らに「閉鎖高床式は地面から離れているため、衛生的で温度管理もできる」と説明していた。

 中央卸売市場の担当者は11年3月、土壌汚染工事を請け負う業者に対し工法などの条件を示す「指示書」を作製し、更に同年6月には詳しい工法を記した「特記仕様書」を作った。特記仕様書では建物下が空洞になっていたが、岡田氏は気付かないまま決裁した。この際、担当者から「盛り土をやめる」との説明はなかった。

 岡田氏は「盛り土をし、閉鎖高床式で進められていると思っていた」と話す。岡田氏を含め、07年7月以降の歴代5人の市場長は、「建物下に空洞があることは知らなかった」と説明しているという。

 実際に建設された水産仲卸売場棟と水産卸売場棟は1階の床が従来の地表より約1メートル高く、閉鎖高床式が採用されているものの、床下が空洞になっている。青果棟は高床になっていない。

 一方、土壌汚染対策工事の完了が報告された14年11月の専門家による技術会議で、委員から「削除した土より埋め戻した土の量が少ないのでは」との質問が出ていたことも判明した。

 都の担当者は「A.P.+2m(地下2メートルまで掘削されたことを示す)建築敷地、それ以外のところが盛り土ということ」と建物下に盛り土がないことを逆説的に示していたが、委員は「要するに4.5メートルはきれいな盛り土が積んであるということですね」と納得して、議論が終わっていた。

豊洲市場の盛り土を巡る経緯

2007年 5月19日 専門家会議の第1回会合。地下構造物に懸念を示す

2008年 5月30日 石原慎太郎知事(当時)が地下にコンクリートの箱を埋める案に言及

      7月26日 専門家会議が盛り土を提案

      8月15日 技術会議で盛り土の工法の検討開始

2009年 7月時点  幹部は盛り土をする工法と認識

2010年 7月まで  「盛り土案」を変更するも幹部に伝えられず

2011年 6月30日 設計業者が建物下が空洞になった基本設計書を都に提出

      8月30日 都が建物下を空洞とする土壌汚染対策工事の契約を締結

2014年 2月    豊洲市場着工

     11月27日 都が技術会議に全ての盛り土工事の完了を報告

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