郷富佐子@シドニー
2016年9月20日17時00分
■南十字星の下で
オーストラリアではいま、同性婚の合法化をめぐる議論がピークに達しつつある。ターンブル首相が今月13日、「来年2月11日に、同性婚合法化にイエスかノーかの住民投票を行う」と表明した。議会ではしばらく、実施の是非をめぐって熱い論争が繰り広げられそうだ。
この勢いに乗って同性婚は合法化されるのか。乗れずに、最低でも何年間かは棚上げになるのか。このブログでも何度か取り上げてきた議論だが、いま、まさに節目を迎えているといっていいだろう。
今回はちょっと視点を変えて、同性婚をめぐる議論で気になった「言葉遣い」を取り上げてみたい。といっても、それが日本語と英語の違いなのか、レトリックなのか、私にもはっきりわからないのだが……。
まず、与党・保守連合が目指している「住民投票」は、「referendum(レファレンダム)」ではなく、「plebiscite(プレビサイト)」だ。プレビサイトは、朝日新聞のデータベースをみると、仏語からの言葉として「プレビシット」と記され、「人民投票」と訳している。
では、「住民投票」と「国民投票」と「人民投票」の違いは何だろう?
日本で「国民投票」を行うのは、テーマが憲法改正にかかわる場合に限られている。「住民投票」は地方レベルで行われることが多い。
英語ではどちらも「レファレンダム」だが、住民投票は「ローカル・レファレンダム」と呼ばれることもあるようだ。そして、「プレビサイト」は、憲法とは無関係のテーマをめぐって国民が行う投票を指す。
一方で、朝日新聞の過去の記事…
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