はじめに
何か意見を言うとき、提案をするときに、その裏付けとしてデータがあると、その主張はかなり説得力を増す。
例を挙げてみよう。二つの主張を見て欲しい。
(何でもいいがたまたまスターバックスにいたので、スターバックスの例で。)
「うちの会社では、こぞって休み時間になると社員がスターバックスコーヒーに向かいます。日本ではスターバックスコーヒーはとても人気です。」
「日本人に一番好きなカフェのアンケートを取ったところ、10000人中3585人がスターバックスコーヒーと答え、これは選択されたカフェの中で最も多く、日本ではスターバックスコーヒーの人気があると結論づけることができます。」
二つ目の例は実際のデータを用いて主張を論拠付けているのが分かるだろう。
このように、データを用いると意見は途端に説得力を獲得する。
データは凶悪な武器にもなる
人を説得したり、何かを提案するときにはデータが武器になるということは少しわかっていただけただろう。
この武器を正しく使えば、データはあなたのプレゼンテーションをより価値のあるものにするに違いない。
しかし、便利なものや有用なもの、威力を発揮するものはその使い方を誤れば途端に武器から凶器となる。
また一つの例を見て欲しい。
ある危険な食べ物についての記述だ。
・犯罪者の98%はそれを食べている。
・暴力的犯罪の90%は、それを食べてから24時間以内に起きている。
・それは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はそれと水を与え、後に水だけを与える実験をすると、2日もしないうちにそれを異常にほしがる。
・18世紀、どの家も各自でそれを焼いていた頃、平均寿命は50歳だった。
おぞましい食べ物だ。
もしかしたらこの食べ物を日本では禁止にすべきかもしれない。
このように、一見それらしいデータを用いて説得を論拠づけることができる。
なぜ「それらしい」と言ったかというと、気づいた方も多いかもしれないが、これはパンに関する記述だからだ。
(この手のジョークは、DHMOとかで検索するとわんさか出てくる。)
因果関係とパーセンテージに注意する
今朝のニュースで以下の記述を見つけた。
歩行者が夜間に道路を横断中、車にはねられた昨年1年間の全国の死亡事故625件のうち、96%の車のライトがロービームだったことが警察庁の調査でわかった。
同庁はハイビームを使っていれば防げた事故もあるとみており、21日から始まる秋の全国交通安全運動の重点項目としてハイビーム使用を呼びかける。
ハイビーム使用を…横断死亡96%が「下向き」 (読売新聞) - Yahoo!ニュース より
情報を整理しよう。
主張
事故防止のためにハイビーム利用を推奨すべき。
データ
事故を起こした車のうち、96%がハイビームをつけていなかった。
これを読んで、確かにハイビームは事故防止に必要だ!と結論付けたとしたらちょっと焦りすぎかもしれない。
わかりやすい例を挙げてみよう。
あるオーガニック野菜を使った飲食店では、顧客の90%が女性客だ。この場合この店は女性に人気だと言えるか??
ただし、条件があって、この国は、男女比が男1:女99の国だとする。(おっ)
この場合って、むしろ男性に人気だと言えそうだよね???
ここでも整理すると、
データ
顧客のうち、90%が女性客
結論
この店は女性に人気
この因果関係は成り立っていないことがわかると思う。
つまり、ここで言いたいのは、何かの結果だけデータをとったとしても、それを原因と結びつけることは難しいということである。
ここでは女性に人気だと結論付けられず、むしろ男性に人気があると言えそうだと思ってきたと思うが、では以下のデータが加わったらどうだろう。
新データ
この国では、外食する女性は1000人に1にである。
よって、実際に外食している男女比は、男10:女1である。
また結論が怪しくなってきた。
この場合だと、確かに女性に人気の店だと言えそうだ。
このように、因果関係をデータから結論づけるのは難しい。
本題に戻ろう。
データ
事故を起こした車のうち4%しかハイビームを付けていない
このデータだけ見ても、ハイビームが事故の原因になるかどうかは判断できない。
ハイビームが事故防止に有効であるかどうかをデータを用いて比較するならば、
データA
ハイビームを付けていない車の事故率
データB
ハイビームを付けている車の事故率
この二つを比較し、データAとデータBに有意な差があったときに初めてハイビームが事故防止に対して効果がある可能性がある、と言えるかもしれないということだ。
なぜここで結論をぼやかしたかというと、
結論を明確に出すためには、いわゆる対象実験が必要だから、である。
つまり、ハイビーム以外の条件を揃えて比較したときに、初めてハイビームがデータに及ぼした原因となり得ると結論付けられるということだ。
もっと分かりやすく言うと、これで条件が揃っているように見えたとしても、
ハイビームをつける人って多分つけない人よりも用心深い性格だろうし、事故率が仮に低かったとしてもそれがハイビームのせいなのか、性格のせいなのか判断することは難しい。
確率とか、因果関係には注意しなければ、いとも簡単に騙されてしまう。
僕らはさりげなく騙されている
デジラアプリって知ってるだろうか??
auの人はダウンロードできると思うけど、デジラアプリを使うと、その月にあとどれだけデータ通信が可能かがすぐにわかる。
(はぁ、あと0.97Gしか使えないのか、、、10日もあるのに。。。)
残データ量が多い時は上の写真のオレンジの部分が多くて、残データ量が少なくなるにつれてオレンジが下がってくるのね。
朝思ったのは、
0.97Gって全体の1/5なのに、この表示だけ見ると半分くらい残っているように見えるな。。。
au側の目線で考えると、どんどんデータを使ってほしくて、無くなったら高速データ通信枠を購入してほしい、ってことだと思う。
そのために必要なのは、
- 残データが少ないのでデータ使用を節約するという思考に至らせない
- 無くなってきたらなんとかして買ってもらう
っていう二つ。
先ほどの写真のデジラは、
「まだまだデータあるぜ〜」みたいな顔して直感的にまだ残データあるよ感をぼくらに伝えようとしているというau側の戦略なのかな?と思った。
僕らはこうしてちょっとずつ気付かない間にデータに騙されている。。
気をつけないと。。。