もんじゅ 専門家も存続・廃止意見分かれる

政府が高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を含め抜本的な見直しを行う方針を確認したことについて、原子力の専門家の間でも「廃炉はやむを得ない」という意見や「廃炉にせず開発を進めるべきだ」という意見があり、賛否が分かれています。
国の原子力委員会の元委員で長崎大学の鈴木達治郎教授は、「廃炉はしかたない。20年間運転していない原子炉を動かすだけでもかなりのリスクを伴う。原発事故以降、日本の原子力政策の優先順位は福島第一原発の廃炉などが先で核燃料サイクルの優先度は低くなっている。もんじゅのミッションはすでに終わっていると言っていい」と述べました。
そのうえで、政府が、核燃料サイクル政策は堅持し、高速炉の開発を推進する方針を示していることについては、「もんじゅを廃炉にすれば、その後の開発は進まず、核燃料サイクルの実用化の見通しはなくなる。なんのために高速炉の研究開発が必要なのかを改めて議論し、原子力政策全体の見直しが必要だ」と話しました。

一方、日本原子力学会の会長で、東京大学の上坂充教授は「50年後や100年後の日本のエネルギーを見据えると高速増殖炉という選択肢は保持すべきで、もんじゅを動かしながら開発を進めることが若い世代へ高速増殖炉の技術を伝承し、実用炉を実現することにつながる」と述べ、廃炉に否定的な考えを示しました。
そのうえで、「原子力の科学者や技術者、それに住民など多くの関係者を含めた総合的な議論が不十分なまま、政治的決定が行われているように感じられ、強い懸念を覚える」と話しています。