障害者施設殺傷事件 知的障害者1000人が追悼集会

障害者施設殺傷事件 知的障害者1000人が追悼集会
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ことし7月、相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件を受けて、21日、全国の知的障害者およそ1000人が参加し、犠牲者を追悼する集会が開かれました。
この集会は、知的障害者でつくる団体「ピープルファースト」が開いたもので、横浜市の会場には、北海道から沖縄まで全国各地から知的障害者およそ1000人が集まりました。集会では、はじめに事件で犠牲になった19人に対して参加者全員で黙とうをささげました。

続いて、参加者の代表らが事件について意見を交換し、このうち、大阪から参加した中山千秋さんは「容疑者の『障害者はいらない』という言葉は、私たちに向けられています。私たちは障害者である前に1人の人間です」と訴えました。また、北海道から参加した土本秋夫さんは「障害者にも輝く人生があります。生まれてよかったと思える社会を作らなくてはいけません」と話しました。

集会を主催した団体では、今後、市民団体などとも連携して事件をテーマにした集会を各地で開催し、障害者に対する差別や偏見をなくすための活動を進めていくことにしています。
この追悼集会は、大阪・東大阪市に住む知的障害者の中山千秋さんが、事件の直後、全国の仲間に送った手紙がきっかけとなって開かれました。中山さんは、現在、自立支援施設で弁当の盛りつけなどの仕事をしながら、公営住宅で同じ知的障害がある男性と暮らしています。

事件にショックを受けた中山さんは、障害者への差別や偏見の問題を当事者どうしで考えようと手紙を書きました。手紙には、「障害者は生きていたらあかんのか、腹が立ちます。死んだ仲間たちがかわいそうで、悔しいです」などと記されています。手紙は、知的障害者でつくる団体「ピープルファースト」の全国の仲間に送られ、これがきっかけとなって21日の集会が開かれました。

中山さんは、先週、重い知的障害がある仲間と話し合い、この中で、「障害者はみんなうまく言葉にできなくても心や頭の中ではちゃんと考えています。このことを社会の人たちにわかってほしいです」と話していました。

著名人からもメッセージ

追悼集会を開いた団体は、プロ野球やJリーグの選手などに協力を呼びかけ、障害者への差別や偏見をなくそうという動画をインターネットで通じて発信していく活動を始めています。

このうち、神奈川県の黒岩知事は「障害者である前に人間だ」というメッセージを書いた色紙を見せながら「差別や虐待をなくすことは非常に重要なことだ」と話していました。また、21日の追悼集会では、Jリーグの横浜F・マリノスや、プロ野球のDeNAの選手からも寄せられた動画などが披露されました。

この団体では、今後、一般の人からも広くメッセージを集め、インターネットを通じて発信していくことにしています。