◇新方針が決まり次第、もんじゅ廃炉を正式決定へ
政府は21日、首相官邸で原子力関係閣僚会議を開き、日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)に代わる新たな高速炉の開発方針を年内に策定することを決めた。使用済み核燃料を再処理して使う核燃料サイクルを「もんじゅ後」も維持する方策を検討するもので、日本のエネルギー政策の転換点となる。新方針が決まり次第、政府はもんじゅの廃炉を正式決定する。
【もんじゅをめぐる動き】
閣僚会議では核燃料サイクルを堅持する方針を確認。新たな高速炉開発に関し、世耕弘成経済産業相を中心とした官民の「高速炉開発会議」を設置し、検討に入ることを決めた。
フランスが計画する新型高速炉「ASTRID(アストリッド)」の共同研究を軸に議論が進む見通しだが、世耕氏は記者団に「ASTRIDのみに頼るわけではない。(1世代前の実験炉)常陽(茨城県大洗町)も再稼働していく。知見を持つ人を集めて開発を進める」と語った。
一方、もんじゅの再稼働を求めてきた松野博一文部科学相は「再開には10年程度かかる。合わせて運転終了まで5000億円以上の追加投資が必要だ」と語り、廃炉はやむを得ないとの考えを示唆した。
廃炉決定に向けては関係自治体への説明が課題だ。菅義偉官房長官は閣僚会議で「関係自治体や機関への丁寧な説明と調整をお願いする」と述べ、反発する福井県などへの配慮を求めた。【大久保渉、岡田英】