ジェームズ・フランコ主演、製作の映画「サスペクツ・ダイアリー」をWOWOWで観た。
作家スティーヴン・エリオットによる実体験を綴った回想録を映画化。
父に虐待された経験を本にしたことで売れっ子になった作家が、その虐待が本当にあったことなのか自信を疑い、父との仲を回復させていく話。
劇場未公開の作品を、どこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
思っていたよりも面白く引き込まれた作品だった。
特に、「人の記憶は都合の良いように上書きされる」というのは、私も日頃感じていたことなので共感しながら観た作品だった。
出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・ハード、クリスチャン・スレイター、エド・ハリス
監督:パメラ・ロマノウスキー 2015年製作 アメリカ映画
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◆「The Adderall Diaries」サウンドトラック
◆原作本「The Adderall Diaries: A Memoir」【洋書】
作家のスティーヴン・エリオット(ジェームズ・フランコ)は、過去に父親(エド・ハリス)に虐待されていた実体験を綴った回顧録で売れっ子作家となっていた。
次回作の出版社も決まり、順風満帆に歩み始めた頃、ある裁判に興味を持ち始める。
大手IT企業の天才プログラマーのハンス・ライザー(クリスチャン・スレイター)が、妻を殺害した罪に問われた裁判。
その妻は失踪し行方が分からない中、状況証拠でハンスが有罪だと思われていた裁判だった。
裁判を傍聴し、ハンスへの取材を続ける中、スティーヴンはハンスの家庭に起きている出来事と、自分の過去を照らし合わせて考えるようになる…。
20年ぐらい仲良くしている友人たちと久しぶりに会って、昔話に花が咲いた時、お互いの記憶が一致せず、実際に何があったのかはっきりないことがよくある。
その多くは楽しい思い出話なので、「記憶っていい加減だなぁ」と言いながら、笑い合って終了してしまう。
しかし、もしもそれがケンカの話だった場合。
それは、「言った」「言わない」で平行線になり、その2人の間の平行線は距離が縮むどころか、広がるばかりになってしまう。
この映画は、そんなもつれてしまった大昔の親子喧嘩を、どうやって修復させていくのかという話である。
大抵の人は、昔起こった出来事を自分に都合の良いように書き換えている。
だから、悪意のある人に対する記憶は、より悪意のあるものに。
好きな人の記憶は、より美しいものに上書きされてしまう。
この映画の主人公、作家スティーヴンの場合。
嫌いだった父親のしたことを全て虐待ととらえ、記憶を上書きし、それを生き延びる糧にして生きていた。
当然、彼の父親も気性の荒い人で、心優しい人ではなかった。
父は口が悪く、すぐカッとなるタイプだったため、割とおとなしめで心優しいスティーヴンは、そんな父親がとても嫌いだった。
だから、父が彼にすることなすこと気に入らず、虐待されていると思うようになった。
ところが、その一方で父は妻を亡くし、意気消沈しており、あらゆることにイライラしていたとその時の状況を語っている。
そして新しい妻を迎え、彼女の子供たちとスティーヴンで新しい家族でやり直そうとしていたところ、スティーヴンは思春期を迎え荒れ放題。
ドラッグにも手を出すようになっていた。
そんなスティーヴンをなんとかしようと思ってしたことが、スティーヴンにとっては虐待のように感じ、さらに月日を重ね、その思い出は父に対する悪意に満ちたものに上書きされていった。
それが、スティーブンと父の実情であり、その全体像を本人が把握するまでが、この映画の物語の全てである。
スティーヴンが、自分の過去と向き合うようになったきっかけは、ある囚人の裁判を傍聴するようになってからである。
お金持ちで、一見平和そうな家庭。
しかし、その裏側で夫婦が殺し合う実情。
ハンスが裁判では平気で嘘をつくが、スティーヴンは彼が最初から嘘をついていると見抜いていた。
ハンスもスティーヴンと同じように家庭に問題を抱えていると感じたからなのか。
その一連の出来事がきっかけで、スティーヴンは過去を振り返るようになり、自分の体験の裏側にあった真実を知りたくなってくる。
自分が記憶している家庭での出来事、実際にあったことは違うのではないか…。
スティーヴンのその行動を観て思ったのは、「第三者の冷静な判断」がとても必要だということ。
事件になれば、裁判官や陪審員が冷静にお互いの状況を分析するように、人と人の間でも、その2人の関係を冷静に判断する人間がいると光が見えてくる。
スティーヴンの場合は、それが恋人のラナであり、親友のジョシュだった。
特に、ジョシュがスティーヴンの義母の子供たちの前で暴れたことは良く無かったと認めた時。
その告白は、父と息子の間の関係が一歩前進するぐらい大きなものだったように思う。
本当は暴れたのは彼らだった。
しかし、スティーヴンには彼を叱った怖い父親の記憶しかなく、それは辛い虐待の思い出の一つだった。
人の記憶なんて、そんなもんなんだと思うし、いい加減なものだと思う。
だから、自分の記憶が絶対だと思ってはいけない。
もちろん、本当に両親に虐待され、酷い思いをしている人たちもたくさんいる。
でも、中には、ちょっとした思い違いですれ違ってしまって、こじれてしまった家族や友人たちもいるんじゃないかと思う。
関係を修復するには、互いに歩み寄って、その時にいた第三者に話を聞くのが一番良いんじゃないかと思う。
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作家スティーヴン・エリオットによる実体験を綴った回想録を映画化。
父に虐待された経験を本にしたことで売れっ子になった作家が、その虐待が本当にあったことなのか自信を疑い、父との仲を回復させていく話。
劇場未公開の作品を、どこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
思っていたよりも面白く引き込まれた作品だった。
特に、「人の記憶は都合の良いように上書きされる」というのは、私も日頃感じていたことなので共感しながら観た作品だった。
出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・ハード、クリスチャン・スレイター、エド・ハリス
監督:パメラ・ロマノウスキー 2015年製作 アメリカ映画
「サスペクツ・ダイアリー」予告編 動画(日本語字幕まし)
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あらすじ
作家のスティーヴン・エリオット(ジェームズ・フランコ)は、過去に父親(エド・ハリス)に虐待されていた実体験を綴った回顧録で売れっ子作家となっていた。
次回作の出版社も決まり、順風満帆に歩み始めた頃、ある裁判に興味を持ち始める。
大手IT企業の天才プログラマーのハンス・ライザー(クリスチャン・スレイター)が、妻を殺害した罪に問われた裁判。
その妻は失踪し行方が分からない中、状況証拠でハンスが有罪だと思われていた裁判だった。
裁判を傍聴し、ハンスへの取材を続ける中、スティーヴンはハンスの家庭に起きている出来事と、自分の過去を照らし合わせて考えるようになる…。
感想(ネタバレあり) 人は自分の都合の良いように記憶を上書きする
20年ぐらい仲良くしている友人たちと久しぶりに会って、昔話に花が咲いた時、お互いの記憶が一致せず、実際に何があったのかはっきりないことがよくある。
その多くは楽しい思い出話なので、「記憶っていい加減だなぁ」と言いながら、笑い合って終了してしまう。
しかし、もしもそれがケンカの話だった場合。
それは、「言った」「言わない」で平行線になり、その2人の間の平行線は距離が縮むどころか、広がるばかりになってしまう。
この映画は、そんなもつれてしまった大昔の親子喧嘩を、どうやって修復させていくのかという話である。
大抵の人は、昔起こった出来事を自分に都合の良いように書き換えている。
だから、悪意のある人に対する記憶は、より悪意のあるものに。
好きな人の記憶は、より美しいものに上書きされてしまう。
父への悪意で記憶を上書き
この映画の主人公、作家スティーヴンの場合。
嫌いだった父親のしたことを全て虐待ととらえ、記憶を上書きし、それを生き延びる糧にして生きていた。
当然、彼の父親も気性の荒い人で、心優しい人ではなかった。
父は口が悪く、すぐカッとなるタイプだったため、割とおとなしめで心優しいスティーヴンは、そんな父親がとても嫌いだった。
だから、父が彼にすることなすこと気に入らず、虐待されていると思うようになった。
ところが、その一方で父は妻を亡くし、意気消沈しており、あらゆることにイライラしていたとその時の状況を語っている。
そして新しい妻を迎え、彼女の子供たちとスティーヴンで新しい家族でやり直そうとしていたところ、スティーヴンは思春期を迎え荒れ放題。
ドラッグにも手を出すようになっていた。
そんなスティーヴンをなんとかしようと思ってしたことが、スティーヴンにとっては虐待のように感じ、さらに月日を重ね、その思い出は父に対する悪意に満ちたものに上書きされていった。
それが、スティーブンと父の実情であり、その全体像を本人が把握するまでが、この映画の物語の全てである。
ある死刑囚への取材が過去の自分を呼び覚ます
スティーヴンが、自分の過去と向き合うようになったきっかけは、ある囚人の裁判を傍聴するようになってからである。
お金持ちで、一見平和そうな家庭。
しかし、その裏側で夫婦が殺し合う実情。
ハンスが裁判では平気で嘘をつくが、スティーヴンは彼が最初から嘘をついていると見抜いていた。
ハンスもスティーヴンと同じように家庭に問題を抱えていると感じたからなのか。
その一連の出来事がきっかけで、スティーヴンは過去を振り返るようになり、自分の体験の裏側にあった真実を知りたくなってくる。
自分が記憶している家庭での出来事、実際にあったことは違うのではないか…。
裁判のように、過去の記憶にも第三者の冷静な判断が必要
スティーヴンのその行動を観て思ったのは、「第三者の冷静な判断」がとても必要だということ。
事件になれば、裁判官や陪審員が冷静にお互いの状況を分析するように、人と人の間でも、その2人の関係を冷静に判断する人間がいると光が見えてくる。
スティーヴンの場合は、それが恋人のラナであり、親友のジョシュだった。
特に、ジョシュがスティーヴンの義母の子供たちの前で暴れたことは良く無かったと認めた時。
その告白は、父と息子の間の関係が一歩前進するぐらい大きなものだったように思う。
本当は暴れたのは彼らだった。
しかし、スティーヴンには彼を叱った怖い父親の記憶しかなく、それは辛い虐待の思い出の一つだった。
人の記憶なんて、そんなもんなんだと思うし、いい加減なものだと思う。
だから、自分の記憶が絶対だと思ってはいけない。
もちろん、本当に両親に虐待され、酷い思いをしている人たちもたくさんいる。
でも、中には、ちょっとした思い違いですれ違ってしまって、こじれてしまった家族や友人たちもいるんじゃないかと思う。
関係を修復するには、互いに歩み寄って、その時にいた第三者に話を聞くのが一番良いんじゃないかと思う。
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