映画「サスペクツ・ダイアリー」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
人気作家が自身の作品の朗読会に出席、そこに現れたのはかつて酷い暴力を振るわれた父親だった。しかし父親はそれを否定し、また作家は父が鬼籍に入っているとしていた事から信用を失ってしまう。
TIMES紙の記者の女性と付き合うようになった作家は彼女のツテで自分を調べると、自分の記憶と父親の記憶に相違があることに気付く…。
ストーリー・ネタバレ
スティーヴン・エリオットは今を時めく人気作家である。『A Part』と題した彼の“虐待と喪失の体験記”が店頭に並ぶと、スティーヴンはサイン会を開いて販促に努めた。
そんなスティーヴンの編集者を務める女性ジェンが大きな仕事を仕入れてきた。大企業であるベンギン社との契約が成立したという。その契約金はスティーヴンの希望額の倍…もうスティーヴン・エリオットに怖いものなどないのかも知れない…。
他に、ジェンは朗読会の仕事もとってきた。その仕事は少し先のことなので、スティーヴンがバーで一服をしていると、テレビに“ソフトウェア業界の大物逮捕”というセンセーショナルな見出しが躍り、その人物ハンス・ライザーの公判が来週開かれることを伝えていた。罪状は、失踪した妻ニーナ・ライザーの殺人容疑…。逮捕される前、ハンスは妻から離婚調停を起こされており、それにより二人の子供の親権を奪われていたのだ。恨みによる犯行なのか…!?ハンスは只、妻の失踪という“事実”をテレビカメラの前で語るだけだった。スティーヴンはこのニュースを観ると、幾分か興味を抱くのであった。
もうすぐジェンの持ってきた仕事=朗読会。その前にスティーヴンは収監中のハンスを訪ねた。“本を書きたい”と話すものの、まだハンスの興味を得られないスティーヴンだった。
スティーヴンは子供の頃からの友人ロジャーを訪ねた。幼い頃を知る親友だけに、ロジャーの下品な言動なども心地よいスティーヴン。ロジャーには妻と2人の娘がいて、スティーヴンは娘たちと戯れるのであった。
ハンス・ライザー・ケースの初公判を傍聴に来たスティーヴン。検察側は事件を立証する以前にハンスの人間性を堕とす冒頭陳述を行った。この時、スティーヴンは後ろで傍聴していた女性に気付いた。初公判が終わり、外に出るスティーヴンにその女性ラナが話しかけてきた。スティーヴンが忘れた裁判メモを届けに来てくれたのだが、もしかしたらスティーヴンは“ソレ”を目当てにワザとメモを忘れたのかも知れない。真実は分からないが、自分のメモを見たというラナのメモを見せて貰うとビッシリ!…そう彼女はかの有名なTIMES紙(タイムズ紙)の記者だったのだ。そしてモチロン人気作家であるスティーヴンの存在も知っていたので、裁判・事件のことを本にするのかと聞いた。スティーヴンは“迷っている”と話すと、昼間なのにバーに誘うが断られた。ラナはバイクに乗ってきていたので、ラナ運転の二人乗りで、警察がハンスの妻の遺体の在処を調べている海岸へとやって来た。スティーヴンが昔の失恋の話をした“意図”は…!?そしてこの日の夜に開かれる自身の朗読会へ招待したスティーヴンであった。
会場。朗読会というか、自身のスキャンダラスな過去を話しているスティーヴンがいた。虐待や育児放棄をされて、いかに父親が酷い男だったのかを語るスティーヴン。そして父が死んだことまで語ったあとで、客席の男が立ち上がった。クズみたいな話だと罵り、スティーヴンが自身の息子であると語った男。そう彼はスティーヴンの実の父親ニール・エリオットであった。怒りを語ると去ったニール。スティーヴンも狼狽してとりつく島もなく会場を去った。スティーヴンを心配して後を追いかけるラナの姿があった…。
スティーヴンはラナに説明した。父親とは7年会っていなくて死んだと思いたくて死んだことにしていたと。だが、嘘をついていたことがバレたのだ。しかもその嘘の自伝的小説により有名になったスティーヴン。世間はこのままでは彼を許さない。その事を心配するラナがいた。
時が過ぎてスティーヴンとラナは恋人関係になっていた。ラナも又、家族に良い思い出はなく、継父に虐待をされていたと告白した。スティーヴンとラナは同じ様な境遇なのか…!?
スティーヴンを訪ねる彼の編集者ジェン。多くの抗議が来ており、ペンギン社の件もポシャるかもしれないと話すジェン。そうならないためにも、マスコミへの声明文を書くように強く言うジェンだった。
父親ニールが酷い暴力を振るう場面が頭にこびり付いているスティーヴンは声明文や、ペンギン社に提出する原稿が捗らないでいた。しかし興味を持っているハンス・ライザー・ケースにはラナと共に出かけていき事件の真相を読み取ろうとする。この回の公判でハンスの子供が父親であるハンスのことを名前=ハンスと呼んでいることが分かった。初めて父親のことをハンスと読んだ公的記録はかなり前からあり、母親のことを名前=ニーナと呼び始めたのはそれよりも大分後であった。この事=家裁の記録を、TIME紙の社内図書館で調べたラナとスティーヴン。ついでにスティーヴンは、イリノイ州シカゴ出身の自身の記憶・記録=父親ニールが息子スティーヴンへの虐待と育児放棄の罪で刑務所送りになり、自身が保護をされたという記録を探して欲しいと頼んだ。この記録をマスコミに話せば、自身への名声は戻ると考えたスティーヴン。確かに記録は見つかったが、マスコミへの声明文が書けないと話したスティーヴン。記録をそのまま提出して、注釈だけを付けることを薦めるのであった。
ラナとのバーでの戯れの後、親友ロジャーに会ってボクシングの練習を行うスティーヴンの姿があった。ロジャーがいつも通り下ネタを話す中、見つけたというペンダントをロジャーに差し出したスティーヴン。そのペンダントは“スティーヴンの記憶ではロジャーから貰ったモノ”だったが、ロジャーは盗まれたと話したのだ。“お前の記憶は都合良すぎる”とスティーヴンを批難するロジャー。“終わりだ”と話したロジャー、この意味は二人の友情の終わりを意味するのであろうか…!?
夜。ベッドで戯れるスティーヴンとラナの姿があるが、スティーヴンの身体は傷だらけであった…。
ラナと恋人として過ごしていると、編集者ジェンが書くように言う声明文やペンギン社への原稿が進まないスティーヴン。それをジェンが電話で催促してきたのだが、電話が終わると自宅に貼られたというメモを見せたラナ。“会話が必要だ”と自分が泊まっているホテルのルームナンバーまで書いてあった、スティーヴンの父親ニールの…。
スティーヴンはそのホテルへと出向いていった。息子を出迎えるニール。ニールはスティーヴンがドラッグ依存症であり、救うために少々手荒なことをしてしまったと話すがスティーヴンにそんな記憶などない。スティーヴンの母親=ニールの妻は亡くなっており、ニールは新しい妻と妻の連れ子を引き取ったのだが、その生活をスティーヴンがメチャクチャにして勝手に出て行ったと話したが、スティーヴンの記憶では、父親に追い出されたことになっていた…。埒が明かない押し問答、スティーヴンは捨て台詞を吐いて去って行った…。
そして売春婦と、身体を痛めつけることによって快感を得るハードなプレイをするスティーヴンの姿があった…。
ハンス・ライザーの公判。ハンスの言葉がまるで自分の語る言葉のように感じ、いたたまれなくなったスティーヴンは裁判所を後にする。そして洗面所でアデロール、クロノピン、バイコディンと言った精神薬を飲もうとしたところ、ラナが現れて自分も欲しいと話した。薬の服用後、性的関係を持つスティーヴンとラナ。そして、スティーヴンはラナの手を自分の首に回して絞めるように言った。あの時、売春婦との快感と同じ、痛みによる快感…それも首を絞めて失神…というエスカレートした行為。失神したスティーヴンを心配したラナ、直ぐに意識を取り戻したスティーヴンだが、この一件で、ラナの心はスティーヴンから離れ、別れを告げられてしまうのであった。
この電話の直ぐ後、編集者ジェンから電話があり、余りに不誠実な彼に対し、編集者を辞めるとジェンは話すのだった。
傍聴できなかったライザー裁判の最終判決のビデオを観るために裁判所を訪れたスティーヴン。その後、久しぶりにロジャーと会うことが出来たが、無神経な言葉を吐いてしまい、再び距離を置かれてしまうのであった。
拘置所にやって来たスティーヴン。そこにはラナもいて、テレビ画面に流れるハンスのインタビュー、彼は妻殺害を語っていた。その後、ラナと仲直りをしようとしたスティーヴンだが、彼が捜していた裁判記録を手渡すとラナは去った。その記録を見たスティーヴン。記録には“息子はドラッグ依存症の状態で自殺願望があり、自傷を防ぐために保護した”という父親ニールの言葉があった。そしてこう付してあった“父親は悲嘆に暮れている”…。
スティーヴンが自宅に戻ると、父親ニールが鍵を開けて部屋の中にいた。スティーヴンの母親とスティーヴン、そして自身が映るビデオを観ているニール。彼は病気で後がないことを告げに来たのだ。そして和解したいと話す父親。説教のようなことを言うと激怒したスティーヴン、罵りあいとなった親子…だがその最中に父親は倒れ、スティーヴンは最低の父親だと言いながら救急車を呼んだ。
結末・ラスト
病院で、父に託されたビデオを観るスティーヴン。ビデオの中で、父親ニールはこう語った。スティーヴンの記憶にある、父親に髪の毛を剃られたり、手錠をかけられたりしたという事、これは二つの記憶がごっちゃになったもの。金に困っていたために家を手放すことを考えたニール、買い手が見つかり綺麗にしたところでスティーヴンがメチャクチャにした。何千ドルも損したことに頭にきてしまい、スティーヴンを殴って髪の毛を剃ってしまった。そして、路上生活をしていたスティーヴンを見つけたニール、息子はこれから自殺すると話し、連れて帰ると手首を切ろうとしたから暖房パイプに手錠で腕を繋いだ、自殺を防ぐために。警察を呼べば、スティーヴンが捕まってしまう。悩んだと…。
スティーヴンは刑も決まり囚人として刑務所で過ごしているハンス・ライザーを訪ねた。ハンスは、有罪は確定したも同じだったのであのような発言をしたと話した。彼は妻殺しなどしていないのだ。ただ、父親として子供たちを守るために、自分を貶めた。そのことを、父親ニールのビデオもあり理解していたスティーヴンは、ハンス・ライザーの為になにがしかの活動を考え始めた。
そして自宅に戻ったスティーヴンはタイプライターに向かい思いの丈を記述した。2日で書き上げた原稿をジェンに見せると、彼女は“一緒に立ち直れる”と話して、再びスティーヴンの編集社として働くことにした。
スティーヴンの親友ロジャーは彼に対してまだ怒っている。スティーヴンが訪ねるとホースの水でびしょ濡れにさせるが、スティーヴンが一皮むけた態度を示すとロジャーの心は晴れていった。そして昔のように水遊びをする関係に戻れた親友の二人だった…。
退院した父親ニール。彼は最初、文句を言うために他の州からやって来たのだが、その父親を車で送ることにしたスティーヴン。自分の記憶が間違ったものだと知っても、そう簡単に父親への思いは変えられるものではない。もしかしたら二人は口論になるかも知れない。なら、黙って走ればいいじゃないか、黙っていても通じるものがあるのだから…。
一方、ハンス・ライザーの証言により、林にスコップを持った警官達が集まっていた。そしてそれを見守るラナの姿があった。
結局、スティーヴンが支援しようと考えたハンス・ライザーは、彼に嘘をついていた。
助かるために嘘をつくもの、記憶が事実とは違っているために嘘をつく意志がなくても語る言葉は嘘というもの…。
レビュー・感想・解説・評価
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自分の都合がいいように記憶を改竄するという病気の病名はあるのかなぁ?自己愛性人格障害なんて言葉が出てきたのだが、toikunは分かりません…。
「127時間」のアカデミー主演男優賞ノミニー、ジェームズ・フランコと名優エド・ハリスを親子として撮ったスリラー要素のある親子のヒューマンドラマ。
監督を務めたパメラ・ロマノウスキーにとって本作が初めての劇場用長編映画監督作品となった。彼女は脚本も担当している。
本作の基になったのは監督・脚本家などで活躍するスティーヴン・エリオットの回顧録“THE ADDERALL DIARIES”(日本語訳はされていないが、原著はコチラのAmazonにある)である。現状、彼が関わる映画作品で日本で観られるものは無いようだ。どの様な脚本を書き、どんな演出をするのか観てみたくなった。
挙げるべきキャスト紹介です☆
・回顧録の著者スティーヴン・エリオットと同名の男を演じるのは前述したがアカデミー賞ノミニーのジェームズ・フランコ。2000年代前半からの「スパイダーマン」、「スパイダーマン2」、「スパイダーマン3」の敵役として大ブレイクした。他、オールスターなロマンス映画「ホリデイ」では本人役でカメオ出演。
・名優エド・ハリスは「アポロ13」など4作品でアカデミー賞にノミネートしている俳優さん、苦悩する父親役が似合っているが、どこまで手を上げたのかなど、途中まで分からず、“悪い父親じゃね?”なんて感情移入しづらい面があったのも事実。出演作品として「ザ・ファーム 法律事務所」、「摩天楼を夢みて」、「レイジング・ブレット 復讐の銃弾」などをレビューしている。先日は「ザ・ロック」というアクション映画をリレビューしたが、悪役の彼の人間性に感嘆!
・TIMES紙の記者を演じるのは本年は「リリーのすべて」に出演するなどスター街道を驀進するアンバー・ハード。T's Theaterへの出演作の記載は本作が初めてとなるが、「マチェーテ・キルズ」を鑑賞している。
・主人公の親友として、これまた複雑な心情を吐露するロジャーに扮するは、本年大ヒットの「スーサイド・スクワッド」や2014年の「フューリー」などのジム・パラック。彼も又、成長著しいのではないか、これからが楽しみだ。
・編集者…って言うと2016年10月公開の実在の編集者と作家を描いた「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」を思い出すが、女性編集者ジェンに扮するはゴールデングローブ賞ノミニーでもあるシンシア・ニクソン。「ペリカン文書」など。
・少し、本作の彼の事を理解できていません…逮捕されるプログラマーに扮するのは、ヤングジャック・ニコルソンと呼んでいたのが懐かしいクリスチャン・スレーター。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のインタビュアーが印象的。他に「カフス!」をレビューしている。
さて。
回顧録が基になっている映画と言うことでその通りに作られているのであろう、うん、難しく受け容れがたい面もある。これはオーガステン・バロウズの原作を基にした「ハサミを持って突っ走る」にもそういう面はあった、ただ作品として大好きだが。
本作がtoikunの中でイマイチって理由は混乱させられちゃったからかな。劇中、幾度となく主人公が青年だった時の暴力シーンがあるし、どれが本当で嘘か後になるまで判断できず、また父親も疑わしいので誰にも感情移入できなかったのだ。まぁスリラー要素的にはそれで良かったのかも知れないが…。
アンバー・ハードはちょーっと無駄ってか可哀想だったなぁ、もう少し関われる役で出て欲しかった。だって会ってまぁ直ぐに恋人関係だしネ、納得はいっていない。
クリスチャン・スレーターに関しては、このオッサンは最後のシーンで多分遺体が掘り起こされるのだろうから、犯人なんだよね?で、スティーヴン・エリオットを騙しちゃったと。難しかったけど、スレーターは実力者なので単純に本作では“魅せてくれた”という印象を持った。髪の毛が増えていることには言及するつもりはない!?
まぁ何だ、低予算映画であり佳作を上げてよい作品。何かしらのすごいスリラーを感じようとして観ると、ツマラナイ映画だが。
2016/09/22
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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