残業するな。仕事持ち帰るな。でも、昨年より1.5倍の業務量をこなせ。一体どうすりゃいいんだ、という嘆き。
最近、いろいろな企業の方と話していると、どこも人を減らして(少数精鋭にしている)ので、一人当たりの業務量が10年前くらいと比べて格段に増えているとおっしゃる。
コンプライアンスだのなんだのの絡みで、出す書類、ふむべき手続きも増えて一つのことをこなすのにも、やることいっぱい。
ミスが及ぼす影響範囲も広くなりすぎて、チェックも厳しいし、失敗は許容される社会じゃないし、何もかも大変、と。
生産性を上げるといっても、人間が100mを8秒台で走れないのと同じように、そうそう急激に生産性が上がるわけでもない。
だから、残業してなんとかこなしているのだけれども、ここへきて、本社や人事総務などから「残業規制」という話がきた。
コスト削減の意味もあるが、労務管理上、WLB上好ましくないから、定時で帰りなさい、と言う。
じゃあ、家に持ち帰ろうと思って、自宅でメール読んだりしていると、翌日、上司に呼ばれ、「自宅から会社にアクセスしたでしょう。ダメだよ」と注意される。
PC持ち帰りはもとより、遠隔でメール読むというのもダメで、書類も持ち帰ってはいけなくて、会社出たら何もやってはいけない。
9時5時で片付く仕事じゃないけれど、持ち帰りもダメ、かといって、残っていると怒られる。
どうやってこの処理をすればいいんだろう、というのは、もちろん、マネジメントの問題ではあるのだけれど、働く人も悩んでいたりする。
もちろん、野放図に残業するのも良くないし、残業をつけずに「サービス残業するからいいよ」というのもおかしいし、仕事を自宅に持ち帰らずに済むならそれに越したことはないわけなのだけれど、・・どうすりゃいいのか、と考えていくと、「何かを削る」しかなくなってくる。
何を削るか。
「余計なこと」と思われることを「削る」
たとえば、ちょっとした会話(すぐには何かに繋がるわけではないけれど、情報交換しているとか、ちょっとした体験談を共有するとか)は、辞めちゃう。そこに時間使うくらいなら書類の3枚でも処理したほうがいい。
そうやって、
●同僚との雑談はやめる
●他部署からのちょっとした相談ごとを聴くこともシャットアウトする
●周囲で話されていることに耳をダンボにしていて、あ、それなら解決方法を知っているけど、というと、また自分の時間がなくなるから、聴かなかったことにする
●耳を閉じている内にだんだん周囲に無関心になる
●一人ひとりが孤立して仕事する
●相談もしない
●助けもしない
●自分も助けてももらえない・・
なんてなっていって、世知辛い世の中、居心地の悪い空間が作られたりするのかな。
・・
ブラック企業と呼ばれるような働き方は絶対に良くないのだけれど、何もかも規制、規制でも、息苦しい気もする。
どこかに線引きは必要なのだということはわかる。
でも、じゃあどうしたらいいの?
考えても考えても、簡単には答えが出ない、禅問答のようだ。
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会社に起こる数々の「ジレンマ」について紹介されている。
働かないおじさんの給料はなぜ高いのか、とか、
産休でも人員補充がないのはなぜなのか、とか。
新規事業はなぜ梯子がはずされるのか。とか。
上記の「残業するな」「仕事持ち帰るな」「業務量は1.5倍」も「ジレンマ」だよねと思う。
そういえば、この本、最後の数十ページを残している気がしてきた。読了しなければ。
コメント
TETSU
日本のホワイトカラーは生産性が伸びてないってよく言われているし、そろそろ何か対策を考えないとダメかも?
まぁ効率的にやれと言っても限界あるし、それで生産性が伸びるならみんなやってるんだよね。
と言って根本的なやり方を変えろと言われても・・
日本のホワイトカラーの人たちは、根本的な変化なんて普通経験してないし、一番苦手な分野かも?
製造業での改善は事例たくさんあるんだけど、そこが日本の弱点なんでしょうね。