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売却の旧本社地区ビル、買い戻しへ

シャープ旧本社地区のビル。左下が今回買い戻す田辺ビル=大阪市阿倍野区で2016年2月4日午後2時47分、本社ヘリから貝塚太一撮影

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で経営再建中のシャープは21日、今年3月に売却した旧本社地区のビルを今月中に買い戻すと発表した。戴正呉社長が同日、社内専用サイトで発表した信頼回復に向けたメッセージの中で明らかにした。欧州でのテレビ事業への再参入も発表し、経営難で手放した「失地」を回復し、再建に向けた士気を高めたい考えだ。

     シャープは、大阪市阿倍野区の旧本社地区に、旧本社ビルと向かい側にある田辺ビルを保有していたが、旧本社ビルは大手小売りのニトリに、田辺ビルはNTT都市開発に、計188億円で売却した。今回買い戻すのは田辺ビルで、NTT都市開発と合意した。戴社長は4月にシャープと鴻海が買収契約を結んだ際の記者会見で、旧本社地区を「シャープの第二の創業の地」と持ち上げ、ビル買い戻しの意向を表明していた。

     旧本社のあった場所は、1924年に創業者の早川徳次氏がシャープ前身の「早川金属工業研究所」を設立した場所で、社員の愛着も強い。買い戻した後は、商品開発や新規事業の拠点とし、創意の精神を重んじる同社の象徴的な場所にしたい考えだ。メッセージで戴社長は「なんとしても成し遂げたい、強い願いだった」と心情をつづった。

     また、生産と販売から撤退した欧州のテレビ事業に再参入することも発表した。シャープは液晶事業の採算悪化などを受けて、この数年で欧米のテレビ事業から相次いで撤退し、液晶テレビ「アクオス」などのブランドは現地企業などに供与していた。戴社長は海外事業の強化を経営改革の柱に据えており、就任直後から「欧米のブランドを取り戻す」と表明していた。今回は供与先のスロバキアのメーカーとの資本提携を視野に、共同で液晶テレビの販売拡大を目指すことで合意した。

     戴社長は、これらの施策を含めたテコ入れで、今年度下半期は黒字転換を達成する方針を打ち出した。2016年3月期は2559億円の最終(当期)赤字で、下半期だけを見ても1368億円の営業赤字、1723億円の最終赤字だ。その後もスマートフォン販売の落ち込みや円高などの影響で主軸の液晶パネルを巡る環境は厳しく、16年4〜6月期も営業赤字25億円、最終赤字274億円と赤字から抜け出せていない。戴社長は「ここ数年のシャープは、計画や施策を立案しても実行が伴わないケースがほとんどだった。事業環境は一段と厳しさを増しているが、言い訳にはならない」として、販売強化やコストカットを強く推し進め、何としても“言行一致”で黒字化を達成させたい考えだ。【土屋渓】

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