開示請求者情報を議員に漏らす 富山と金沢
政活費資料の情報公開で
政務活動費に関連する資料を情報公開請求した人物の属性などについて、富山市議会と金沢市議会が議員に漏らしていたことが21日分かった。請求者の個人情報を秘匿することは情報公開制度の根幹といえ、両市議会事務局は「不適切だった」と認めた。
富山市議会事務局によると、今年6月ごろ、事務局内で1人で仕事をしていた職員が、自民会派前会長の中川勇氏(69)=議員辞職=と同会派の谷口寿一氏(53)=同=に「何をしているのか」と聞かれ、「地元テレビ局から情報公開請求があり、その仕事をしている」と伝えたという。中川氏はこれを受け、印刷業者に口裏合わせを頼むなど、不正請求に関して隠蔽(いんぺい)を図ったとみられる。
富山市議会の久世浩事務局長は「明確な守秘義務違反。あってはならない行為で市民の信頼を損ねた」と陳謝。情報漏えいの常態化については否定した。職員の処分などは今後検討するとしている。
金沢市議会では、事務局の森沢英明総務課長が今月1日に開かれた各会派の代表者会議の場で、「(政活費で購入した)書籍に関して毎日新聞から公開請求があった」と説明したことを毎日新聞の取材に認めた。
森沢課長は「社名を出したことは不適切だった。政活費の適正執行のため議員への啓発につながると思った」と釈明した一方で、公開請求があった場合、その事実は個人情報を伏せたうえで今後も議員側に伝える考えを示した。
「市民オンブズ富山」代表理事の青島明生弁護士は「情報公開請求の権利が脅かされ、今後、市民が請求しようとしなくなる恐れがある。個人情報や情報公開に対する認識を改めてほしい」と話した。【大東祐紀、古川宗、金志尚】