近年、静かに広がりつつある多剤耐性菌スーパーバグ。全く新しい抗生物質の開発はなかなか難しいですが、スーパーバグと戦う武器は実は我々の身体の中にあったかもしれません。
Acinetobacter baumannii
Acinetobacter baumannii(A. baumannii)は病院で感染症を引き起こす病原菌である。
健康な人の皮膚にも、また動物の排泄物からも分離されるように、自然環境中に広く存在している。
健康な人にとっては、A. baumanniiはなんら影響しないが、免疫力の低下した人にとっては、骨髄炎や菌血症、敗血症などを引き起こし、重篤な状態に陥ることも多い。
この菌の特徴として、外からDNA断片を取り込み、自らの染色体DNAに取り込む能力があるため、変異を起こしやすく、抗生物質に対する耐性を獲得しやすい。
そのため現在使われている抗生物質全てに耐性をもつ菌も確認されている。
このように現在使われている抗生物質の多くに耐性をもつ菌をスーパーバグと呼び、院内感染やパンデミックへの影響が懸念されている。
病原菌の代謝を阻害し、自身の免疫系を活性化させる!
モナシュ大学の研究チームは、ゼブラフィッシュをモデル生物として、A. baumanniiの感染と免疫細胞の関連性をリアルタイムで検討する研究を行っている。
彼らはこの菌の代謝経路を阻害すると、感染したゼブラフィッシュの免疫系が活性化されることを明らかとした。
免疫系が活性化されることにより、感染した菌の除去や促進され、症状の重症化が抑えられるという。
また免疫系の活性化は、さらに代謝副産物を蓄積し、その代謝産物が白血球の一種である好中球に病原菌を直接的に誘引させる働きをするという。
この彼らの結果は病原菌の感染に対して、新しい治療法を切り開く一手となるかもしれない。
これまで人間が病原菌の治療において頼ってきた抗生物質。使いすぎだったのか、正しく使えていなかったのか、原因は色々あるとは思いますが、その影響により抗生物質が全く効かない菌というものが出現し、広がりつつあります。
今回の菌はまだそれほど我々に影響の無い菌ですが、それでも免疫系が落ちている人にとっては命取りになります。またもしこの耐抗生物質の遺伝子が他の人にとって害の大きい菌に移ったとしたら、多くの犠牲者が出るかもしれません。スーパーバグへの対抗手段の確保は結構急務なのかもしれません。また私たち自身もできる限り健康に過ごし、免疫系を高く保つという自衛手段を心がける必要があるかもしれませんね。
元記事はこちら(Boosting immune response may pave way to combat superbug)