>  >  > 沖縄の2紙は“偏向”などしていない

「琉球新報」「沖縄タイムス」は「偏向」しているのか? ヘイトと闘ってきたジャーナリストが見た沖縄基地問題とメディア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
okinawanoshinbun_160921.jpg
『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)

 名護市辺野古の新基地建設をめぐり、沖縄県の埋め立て承認取り消しを「違法」と断じた福岡高裁那覇支部の判決。敗訴した同県の翁長雄志知事は「(裁判所が)政府の追認機関であることが明らかになった」「民意が一顧だにされないことが他の都道府県であり得るのか」と厳しく批判し、上告を決めたが、沖縄の民意を伝える地元紙の報道もまた怒りに満ちていた。

「異常な恫喝と決めつけ」と社説に見出しを掲げたのは沖縄タイムス。「これほど、得るところのない判決は、めずらしい。裁判官の知的誠実さも伝わってこない」と痛烈に批判した。琉球新報は「県民世論を踏みにじり、県益を守る地方自治の知事権限を否定する判決であり、承服できない」と反発。「国益」をタテに沖縄を無視する政府と司法の姿勢に、両紙揃って地方自治の危機を訴えている。

 基地負担や安保政策をめぐって政府与党とことごとくぶつかり、その意を受けた政治家や文化人から「偏向報道」「事実を捻じ曲げている」「基地賛成派の意見を封殺している」などと攻撃を受けてきた2紙。安倍政権になって以来、「嫌沖」言説を背景とした圧力は強まる一方だが、沖縄の民意に立脚した論調はいささかも揺らいでいない。

 その報道姿勢がどういうものであり、新聞の作り手は何を考えているのか。どこに原点があり、なぜそれが守られてきたのか。記者や編集幹部、OBへのインタビューと沖縄のメディア史を掘り起こして明らかにしたのが、ジャーナリスト安田浩一の近刊『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)である。

 安田が本書の取材を始めたきっかけは、昨年6月に自民党の「文化芸術懇話会」で作家の百田尚樹が発した「沖縄の2紙はつぶさなあかん」発言だった。本書は、百田と出席議員の発言内容を詳細に書き起こし、反証するところから始まる。たとえば、百田のこの発言だ。

「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。周りに何もない。基地の周りが商売になるということで、みんな住みだし、いまや街の真ん中に基地がある。騒音がうるさいのはわかるが、そこを選んで住んだのは誰やと言いたくなる」

この記事に関する本・雑誌

沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか

リテラのSNS

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

関連リンク

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 SMAPベストアルバムの裏事情
2 稲田朋美、南スーダン視察中止の無責任
3 福原愛の活躍の裏に父母との決別が
4 「暮しの手帖」に「政治的すぎ」と批判
5 TBS山内アナが二重国籍のヘイト攻撃
6 盛り土で慎太郎の責任にテレビが沈黙
7 『とと姉ちゃん』を「暮しの手帖」が批判
8 SMAP解散報道のタブーにミタパンが
9 蓮舫“二重国籍”報道は卑劣な差別攻撃だ!
10 SMAP解散は香取慎吾のせいじゃない
11 豊洲問題で石原良純が慎太郎擁護の茶番
12 辺野古判決の裏に裁判所の露骨人事!
13 SMAPファンがジャニーズの嘘を暴露
14 奴隷労働を強いられるベトナム人留学生
15 キムタク最大のタブーとは?
16 林真理子がなんとキムタク批判!
17 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
18 稲田朋美も富山市議と同じ不正を
19 香取慎吾がキムタクに激怒報道の裏側
20 ジャニーズでSMAPとキスマイいじめ!
PR
PR
1盛り土で慎太郎の責任にテレビが沈黙
2稲田朋美も富山市議と同じ不正を
3辺野古判決の裏に裁判所の露骨人事!
4『とと姉ちゃん』を「暮しの手帖」が批判
5TBS山内アナが二重国籍のヘイト攻撃
6安倍の側近・北村内閣情報官の危険思想
7蓮舫“二重国籍”報道は卑劣な差別攻撃だ!
8稲田朋美、南スーダン視察中止の無責任
9また統計が証明!アベノミクスの嘘
10新潮が天皇の生前退位を“暴走”と攻撃
11マキタスポーツ「安倍は何の魅力もない」
12新潟県知事不出馬はやはり原発ムラ圧力
13北朝鮮への先制攻撃論と悪夢のシナリオ
14「暮しの手帖」に「政治的すぎ」と批判
15奴隷労働を強いられるベトナム人留学生
16Kダブシャインが日本の音楽状況を批判
17百田『カエルの楽園』は新潮社内でも…
18ディズニーからバイトが次々逃げ出し!
19豊洲問題で石原良純が慎太郎擁護の茶番
20「高畑裕太=発達障害」説にひそむ偏見
PR
PR

カテゴリ別ランキング


人気連載

政治からテレビを守れ!

水島宏明

テレ朝とNHKの"失態"につけこむ安倍政権とほくそえむ籾井会長

政治からテレビを守れ!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」