2016-09-21

なぜ自業自得透析患者を殺してはいけないのか

長谷川豊執筆記事

自業自得人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステム日本を亡ぼすだけだ!!」を読むと、彼の主張は

人工透析患者を殺せ」

ではなく

生活習慣を帰院として糖尿病罹患し、人工透析に到った患者は全額自己負担医療を受けさせろ。それを拒否するなら死んでもらっても仕方ない」

であろうと思います。なのでここで

人工透析必要とする人はすべてが自業自得なのではない」

という反論をしてもきっとかの御仁の胸に響くことはないでしょう。なので反論すべきは

「なぜ自業自得透析患者を殺してはいけないのか」あるいは「なぜ自業自得透析患者を全額自己負担にしてはいけないのか」です。

自業自得とは


まず自業自得による糖尿病ってなんなの? という問題があります

糖尿病生活習慣病ですから、食べ過ぎ飲み過ぎ、体重増加、運動不足によって病気にかかるリスク高まることが知られています

糖尿病 | 生活習慣病 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

「まあ食べ過ぎ飲み過ぎは不摂生だし、自業自得だよね」

と思いがちですが、どこからが食べ過ぎ飲み過ぎになるのでしょう?

毎日、ご飯3合と焼肉400g、ビール1リットルを飲んだら自業自得

ケーキが大好きで毎日ショートケーキを1ピースずつ食べている人は自業自得

・一日おきに牛丼を食べてる人は……?

食べ過ぎ飲み過ぎの線を引くだけでもこれほどあいまいで、境界などありはしないのに、糖尿病遺伝などによっても発症やすい体質か否かの差が生じます毎日ケーキを食べて糖尿病になる人もいればならない人もいるわけです。

長谷川豊氏は一体どこに「自業自得」の線を引けというのでしょうか?

「ああ、あの時、ビール一杯ガマンすれば保険治療できたのに、あなたお酒飲みすぎラインを越えちゃったから今後は全額自己負担ね」

国民皆保険制度を壊し、こんな医療制度を実現することが可能だというのでしょうか。

自業自得の線を引けたとして


100歩ゆずってみんなが納得する自業自得の線が引けたとしましょう。けれど、その線を引けたからといって、やはり自業自得患者医療を全額自己負担にするわけにはいきません。

我が国国民皆保険制度の下で、どんな人も低額で医療サービスを受けることができるようになっています。これは日本国憲法第25条の第1項に

『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』

規定され、第2項には

『国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない』

規定されていることによります

国民に認められたこの「社会権」の下、医療保険制度国民保険料負担し、健康機能がおびやかされるに至った別の国民は低額で医療サービスを受けることができる「相互扶助」の精神運営されています

まり、「全員が健康文化的な最低限の生活ができるように、みんなでお金を出し合って支え合っていきましょう」と決められているわけです。病気発症する原因を問うことなく、「みんなで病気になった人を助けましょう」というのが日本医療保険制度です。

人工透析の話に戻れば、長谷川豊氏はこの制度否定し、「助け合える人間だけで助けあえば良い」「助けたい人間かどうかは助ける側(保険料を支払っている側)の人間評価すべきだ」と主張されているわけです。

「自堕落生活病気になった奴を我々の金で助けるなんて不愉快だ」という感情ベースに人が人の生き死にを左右しようという考え方に見えます

あいつは不愉快から保険を使えないようにしよう」

その考え方で医療システムがまっとうに機能するのでしょうか。

議論すべきは……


これほどに極端な記事掲載した彼の思惑を察するに、「これを起点に医療保険制度議論が活発になれば」ということなのでしょうが人工透析医療財政を圧迫していると考えるのであれば、透析医療の値段(診療報酬)を引き下げることを議論すれば良いのです。

あるいは腎臓移植特に死後移植の活発化を訴えるべきなのです。

彼の極端な記事を読んで

人工透析患者はすべて自業自得なわけではない」

反論するのは有効ではありません。その反論を前にしても彼は

「俺はそんなこと言ってないし、やっぱりネット民バカばっかりだな」

となお一層調子に乗るだけでしょう。そうではなく、

国民皆保険制度がなぜ今の日本存在し、それを破壊することがどのような影響を及ぼすのか

・人が人の生き死にを決めることはどれほど危険な考え方かなのか

人工透析医療費を下げる方法にはどのような方法があるのか

を主張し、反論とすべきかと考えます

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