日銀総裁 マイナス金利政策の副作用に配慮

日銀総裁 マイナス金利政策の副作用に配慮
日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、金融緩和策に長期金利を目標とする新たな措置の導入を決めたことについて、「緩和の仕組みをさらに強化した」と述べるとともに、マイナス金利政策の副作用に配慮したという認識を示しました。
この中で、黒田総裁は今回の新たな措置について、「従来の緩和の仕組みをさらに強化し、金利の低下による経済への刺激効果を確保しつつ、心理面の悪影響が出る可能性を排除する必要があった」と述べ、マイナス金利政策の影響で金融機関の収益が悪化するなどの副作用に配慮したという認識を示しました。

また、大規模な金融緩和を続ける時期を「安定的に2%を超えるまで」と改めたことについて「人々のデフレ心理を抜本的に転換し、物価が上がって行くと人々が予想するようになる必要がある。そのためには金融緩和を継続すると強力に約束することで、物価安定の実現に向けた日本銀行の揺るぎない姿勢を改めて示すことが必要だと考えた」と述べました。

一方、大規模緩和の導入からおよそ3年半がたっても、2%の物価目標が達成できなかった点について、黒田総裁は「原油価格の大幅な下落や消費増税後の消費の低迷、そして、新興国経済の不透明さを背景とした国際金融市場の不安定化というのは、金融政策でコントロールできない外的な要因だ。そういうことがなければ2%の物価目標に達していただろうと言えると思う」と述べ、今回の措置によって物価目標は達成できるという自信を示しました。

官房長官「政府・日銀が一層連携し目標達成を」

菅官房長官は午後の記者会見で、「一部に『市場との対話が不十分だった』という指摘がある中で、今回はマイナス金利政策のメリットやデメリットを十分に総括・検証し、丁寧な説明をしたと思う。金融緩和を強化するための新たな枠組みとして、長・短金利の操作や、物価上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースを拡大、継続していくことを決定したことは、政府として歓迎したい」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府・日銀共通の重要な政策課題だ。日銀には2%の物価安定目標に向けた必要な措置を取ってもらうことを期待しているし、政府・日銀はより一層緊密に連携しながら、その目標に向けて取り組んでいきたい」と述べました。