認知症が進み始めケアホームに入所した義父に面会に行き、気付いたことがありました。それは、義父が私の名前を呼ばなくなったことです。
名前を忘れてしまったのかな?とも思ったのですけれども、もしかしたら、この人は誰かな?って思っているような感じがしたのでした。
それで、ケアホームに義父に面会に行く時、私は軽装で行くのをやめて、オシャレしていくことにしました。何故ならば義父はいつも私達家族を一流のお店に食事に招待してくださったので、私が義父と会う時は当然のことながらオシャレをして行ったからです。
ケアホームというところは、作業しやすいポロシャツとスラックスをはいているスタッフさんか、入所しているご年配の車椅子利用者が多いので、見た目バリっとオシャレしている人が全くいないということに気付きました。
義父は90まで会社経営者だったので、それこそ毎日スーツを着て出勤していたし、オフィス内で働く人も一応はバリっとしていたと思います。ところが、ケアホームは、くつろげる空間づくりをしているので、そこに入所している人も働くスタッフも、また訪問する人までもが、皆ほとんどがラフな格好をしているのです。
そんなところに、バリっとした格好でお嫁さんが面会に来たら刺激の少ない単調な毎日を華やいだ気分にさせてあげることが出来るのではないか、そう考えた私は、義父とデートに行くような気分でオシャレして訪問することにしました。
義父は言ったそばから忘れてしまうので、その日は何度も何度も繰り返しほめてくれたのでした。帰りがけに、夫も「君の戦略は正しかったね。君の名前も呼んでたし。それに、今日のお父さんはものすごく嬉しそうだった」
いい意味での刺激は大事。
大好きな義父に忘れられないように、これからもオシャレしてデートファッションで面会に行こうと思います。