付け加えるなら、外貨建て資産の売買の際の為替手数料や、債券の売買価格などを使って、実質的な手数料をさらに仕込むことができ、ラップの手数料と信託報酬以上の手数料をむしり取られることが、対面営業型の証券会社ではあり得るようなので、ご注意されたい。
また、金融庁は、ファンドラップについて、運用対象の投資信託が、系列の投資運用業者によって設定されたものであることを指摘し、加えて、「当該助言会社の大半が系列会社となっている等、選定プロセスの透明化に向けた取り組みはいまだ途上にある」(p63)と述べている。
投資家は、ファンドラップは、コストが高いし、プロセスが不透明だから近づかない方がいい運用サービスだ、と認識するのが素直で適切だ。
金融庁が推進する
分散・積立・長期投資
毎月分配型投資信託、外貨建て一時払い保険、ファンドラップのいずれも、「買った(あるいは、契約した)」とか「勧められた」と頻繁に聞く商品・サービスであるが、いずれにも一切近づかない方がいいとはっきり述べておきたい。
なお、金融庁は、レポートを見る限り、分散投資、積立投資、長期投資を推進しようと考えており、積立投資を前提として非課税期間20年を設ける「積立NISA」を構想中だとも報じられている。
長期投資でリスクが縮小する、あるいは、積立投資が有利だと認識しているとすれば、金融論的には間違いだが、運用益非課税の制度を使って、国民、特に資産形成世代に対して幾らかまともな投資を普及・啓蒙しようという意図は前向きに評価したい。
ただ、金融レポートでも挙げられている通り、金融資産の大きな部分を保有しているのは高齢者であり、彼らを適切に保護するための対策には、もう一歩以上の踏み込みが必要だろう。
金融庁の一層の頑張りに期待したい。