ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
山崎元のマルチスコープ

金融庁がダメ出しする運用商品ワースト3

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第444回】 2016年9月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
5

 付け加えるなら、外貨建て資産の売買の際の為替手数料や、債券の売買価格などを使って、実質的な手数料をさらに仕込むことができ、ラップの手数料と信託報酬以上の手数料をむしり取られることが、対面営業型の証券会社ではあり得るようなので、ご注意されたい。

 また、金融庁は、ファンドラップについて、運用対象の投資信託が、系列の投資運用業者によって設定されたものであることを指摘し、加えて、「当該助言会社の大半が系列会社となっている等、選定プロセスの透明化に向けた取り組みはいまだ途上にある」(p63)と述べている。

投資家は、ファンドラップは、コストが高いし、プロセスが不透明だから近づかない方がいい運用サービスだ、と認識するのが素直で適切だ。

金融庁が推進する
分散・積立・長期投資

 毎月分配型投資信託、外貨建て一時払い保険、ファンドラップのいずれも、「買った(あるいは、契約した)」とか「勧められた」と頻繁に聞く商品・サービスであるが、いずれにも一切近づかない方がいいとはっきり述べておきたい。

 なお、金融庁は、レポートを見る限り、分散投資、積立投資、長期投資を推進しようと考えており、積立投資を前提として非課税期間20年を設ける「積立NISA」を構想中だとも報じられている。

 長期投資でリスクが縮小する、あるいは、積立投資が有利だと認識しているとすれば、金融論的には間違いだが、運用益非課税の制度を使って、国民、特に資産形成世代に対して幾らかまともな投資を普及・啓蒙しようという意図は前向きに評価したい。

 ただ、金融レポートでも挙げられている通り、金融資産の大きな部分を保有しているのは高齢者であり、彼らを適切に保護するための対策には、もう一歩以上の踏み込みが必要だろう。

金融庁の一層の頑張りに期待したい。

世論調査

質問1 記事中でワースト3に挙げられた金融商品に投資したことがある?



>>投票結果を見る
previous page
5
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


山崎元のマルチスコープ

旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。

「山崎元のマルチスコープ」

⇒バックナンバー一覧