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 ブレーキをかけた時に「ブレーキ鳴き」と呼ばれる異音が発生するバスは危険だとして、京都市バスの男性運転手が市を相手取り、異音の出る車両を運転させないことなどを求めて京都地裁に提訴した。運転手は21日に会見し、「怖い思いはしたくないし、乗客に迷惑もかけたくない。問題のバスを直すか、使わないでほしい」と述べた。

 訴状によると、運転手は昨年6月4日、京都駅近くでバスを運転中、赤信号でブレーキをかけたところ、車両全体が振動し「ゴー」という異音が発生。ペダルを戻して踏み込む動作を2度繰り返すと音は消えて停車したが、停止線を越えて交差点に進入した。同年7~12月にも同型のバスで同じ現象が3回起き、事故には至らなかったが、停止線を越えて横断歩道上で停車したり、前の車に追突しそうになったりしたことがあったという。

 異音が発生したのは国内メーカー製の2002~04年式の車両で、この運転手が勤める市交通局烏丸営業所には、同型のバスが15台ある。原告側は異音が原因で事故を起こす可能性があるとして、同型バスでの乗務を避けることを求め、8月31日付で提訴した。

 運転手は会見で「異音が鳴ると、ブレーキを踏む時に恐怖を感じる。踏み続けると音や揺れが大きくなり、最後まで踏めなくなる。同じように怖い思いをした同僚はたくさんいる」と主張。代理人の弁護士は「音が出るブレーキを踏むのは怖い。いつ起きるかと思うと、他の操作にミスが出る可能性もある」と訴える。

 これに対し市交通局は、取材に複数のバスで異音が発生すると認めたうえで、安全上の問題はないとしている。21日にはホームページに「市バスの車両整備に万全を期すとともに、(異音がする)一部車両のブレーキの制動力についても、問題なく機能していることを確認している」とのコメントを出した。

 国内の自動車整備を管轄する国土交通省自動車局整備課の担当者は、取材に「ブレーキを踏んだ時に異音が出ることは、珍しくない。それ自体に安全上の問題はなく、法定の点検基準もない。大きな音がしても、点検してブレーキに不備がないのであれば、運行することができる」と述べた。(波多野陽、足立耕作)