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自民総裁の任期 「1強」前提の延長では

 自民党は党則で連続2期6年までと定める総裁任期の延長に向けた議論を始めた。検討にあたる党・政治制度改革実行本部は来年党大会での党則改正を目指している。

     時代の変化に応じて政党が党首の任期のあり方を考えること自体は理解できる。だが、今回の見直しは2年後の9月に2期目を終える安倍晋三総裁(首相)の続投問題と一体化している。十分な議論も経ずに結論を出すような問題ではない。

     自民党は1980年の党則改正で総裁の連続3選を禁止した。現在、総裁の任期は3年で、党則に従えば首相は2年後に総裁の座を降りなければならない。

     一方で、首相は2020年の東京五輪や在任中の憲法改正、さらにロシアとの北方領土交渉の本格化などを見据えているとみられる。こうした事情から、任期延長論が浮上している。

     86年に中曽根康弘元首相が衆参同日選で圧勝した際は、党への功績をたたえ総裁任期が1年間延長された。今回は多選制限そのものを撤廃するか、「3期9年」まで続投を認めるかが焦点になるとみられる。

     大統領制を取る国は過度の権力集中を防ぐため、多選を禁じるケースが少なくない。ただ、議院内閣制で首相の多選は通常、制限されない。

     自民党が総裁任期を議論することにはそれなりの背景がある。かつて連続3選を禁じたのは派閥全盛時にトップが総裁に就く機会を広げることで、派閥と党全体の活性化につなげる思惑があった。現在は派閥の力が衰え、党首を半ば強制的に代える意味は少なくなっている。

     また、日本政治はむしろ政権の不安定さが弱点だった。他の主要国では長期政権も少なくないだけに、政党が事実上政権の期限を切ることが妥当かも論点となろう。

     だが、「1強」状態の首相の続投を前提とするような状況には疑問を感じざるを得ない。首相が3選してさらに3年の総裁任期を満了した場合、政権は今から5年間続く。12年の第2次安倍内閣発足からは通算約9年となる。

     仮に党則改正で3選出馬ができても、総裁選で勝たなければ続投できないのは確かだ。それでも任期を2年残しての議論が「ポスト安倍」の動きを封じ込める可能性は否定できない。石破茂前地方創生担当相が「いま議論するのは違和感がある」と指摘するのもこうした空気の反映だろう。

     毎日新聞の世論調査では首相の総裁任期延長に「必要はない」との回答が53%と過半数を占めている。政権の行方にかかわる課題だけに実行本部は幅広く党内の声を聞き、慎重な意見集約に努めるべきだ。

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