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【いま読む日本国憲法】

(26)第36条 「絶対」禁止 強い決意

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 警察官や検察官が、被疑者や被告人から自白を得るため、肉体的・精神的な苦痛を与える「拷問」を禁じた条文です。

 ポイントは「絶対に」という強調表現。現憲法の中で「絶対に」という言葉が出てくるのは、この一カ所だけです。旧憲法下で、思想統制を目的とした逮捕・拷問が横行したことへの反省からで、拷問や残酷な刑を禁止する強い決意が感じ取れます。

 しかし、なぜこの条文だけに「絶対に」があるのか、説明しづらいのも事実です。例えば、一八条の「奴隷的拘束」や「意に反する苦役」は、否定しているものの「絶対に」とまでは書かれていません。改憲論者は、しばしば今の憲法について「日本語としておかしい」と指摘します。その延長線上で、この「絶対に」が話題になることがあります。

 自民党改憲草案では「絶対に」が削除されています。草案のQ&Aには、削除の理由は書かれていません。憲法の専門家からは「『絶対に』を外せば、当然、守るべき規則としての力は低下する。一定の条件があれば例外が認められるとの解釈につながる可能性がある」と、問題視する意見が出ています。

 この条文に関して議論になるのは、死刑制度との関係です。人権団体や、超党派国会議員による「死刑廃止を推進する議員連盟」などの廃止論者は、死刑が三六条の定める「残虐な刑罰」に当たると指摘。死刑廃止が国際的潮流になっていることや、死刑が犯罪抑止につながらないとも主張しています。

◆自民党改憲草案の関連表記

 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する。

 

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