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庵野秀明対樋口真嗣「シン・ゴジラ」撮影現場ルポ&山内章弘プロデューサーインタビュー

2016年9月21日 10時00分

ライター情報:木俣冬

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公開からもうすぐ2ヶ月、いまだに盛り上がる「シン・ゴジラ」。
公開前も公開後も厳重な情報統制が行われていて本丸・庵野秀明監督はほぼ沈黙している状態。すべては公式記録集のロングインタビューで語られるらしいと期待していたら、9月20日に発売される予定だったものが11月に延びてしまい、真実はまた遠のいた。がくり。

となると、謎多き庵野監督と伴走し、「シン・ゴジラ」のスポークスマンのような存在になっている東宝の山内章弘プロデューサーを頼るしかない。物腰柔らかで人当たりのいい山内は、「トリック」シリーズで奇才・堤幸彦監督ともいい関係性を築きヒットに導いてきた重要人物だ。

とかく奇才の考えることは規格外。だからこそ実現したらサプライズがある。「シン・ゴジラ」も奇才も奇才の庵野秀明を招くことで、タイトルをはじめスタッフやキャスト選び、宣伝方法に関して掟破りを次々行うことになった。
そうしてでも「ゴジラ」を生き延びさせたプロデューサーの思いを聞く。

と、その前に、取材の内容を補完するため、撮影現場見学したもようを紹介したい。
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

ルポ「シン・ゴジラ」の撮影現場に感動した!


撮影現場を見学に来た自衛官の方がマスコミの取材に応えたとき「シャツの袖のまくり方がくしゃっとたくしあげず、きちんとした感じに見える(いわゆるミラノまくり)になっているところなど、よく調べている」と感心していた。そうか、自衛官ってミラノまくりしてるのか、おしゃれだな。

現場を見学させてもらったのは、災害特別室場面など。緊張感あふれるこの場面では、あらゆる場所からカメラをまわし、起っていることをすべて抑えたい欲望と物理的なものが追いついていかない葛藤に現場が熱気を帯び、テンションがあがって激しく動き回る庵野秀明に対して、モニターを観ながら樋口真嗣が「何が足りないんだろう。足りないものがある気がしない?」と冷静につぶやいている姿が印象的だった。庵野と樋口、ふたりのバランスは絶妙だし、なにより画を撮ることに取り憑かれたかのような姿は魅力的だ。

カメラの画角を決めるとき、庵野監督が何度も何度もモニターに定規を当ててミリ単位のズレも修正しながら決めていたことには驚いた。

現場のふたりのことを俳優たちはこのように語っている(シネマスクエア85号より引用)。

“――庵野さんが総監督で、樋口さんが監督で…ある意味、ふたり監督がいる現場の感じはどんな風なのですか?
長谷川博己(矢口蘭堂役)「最初、僕もそういう状況がよく分からなかったのですが(笑)、いざやってみたら、樋口監督が前に出て指示している時もあれば、庵野監督が前に出て指示している時もあって。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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