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7つの知性を磨く田坂塾

紋切り型のメールや電話をやめれば才能は開花する

田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]
2016年9月21日
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拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第9回の講義では、前回に続き「技術」に焦点を当て、拙著、『人は、誰もが「多重人格」 − 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

「仕事のできる人」から学ぶべきは
「人格の切り替え」

 今回のテーマは、

紋切り型のメールや電話をやめれば才能は開花する。

 このテーマについて語ろう。

前回、一流のプロフェッショナルは、意識的、無意識的を問わず、自分の中に「様々な人格」を育て、それらを状況や場面に応じて、適切に使い分けるという「多重人格のマネジメント」を身につけているということを述べた。

 では、どうすれば、自分の中に「複数の人格」を育て、それを適切に使い分ける「多重人格のマネジメント」を身につけることができるのか?  その具体的な技法について、日々の業務の中で行える二つの技法を述べよう。

 第一は、「仕事のできる人」が、仕事でどのように「人格」を切り替えているかを、観察するという技法である。

 具体的には、もし、企画プロフェッショナルで「仕事のできる人」から「人格の切り替え」を学ぼうと思うならば、その人が主宰する企画会議などに参加し、その人が「人格」を切り替える瞬間を、注意深く観察することである。

 例えば、発散気味に進んできたアイデア出しの会議を、後半、まとめモードに切り替えるときの「人格の切り替え」などを観察することである。もし、この観察をするならば、その企画プロフェッショナルが、前半で表に出している人格と、後半で表に出す人格が違っていることに気がつくだろう。前回語った、「始め民主主義、終り独裁」の人格切り替えである。

 それ以外にも、「そのアイデア、面白いね」といった激励モードの人格と、「うーん、こんなアイデアしか出ないのか…」という辛口モードの人格の切り替えなど、一流の企画プロフェッショナルを見ていると、実に、色々な人格が出てくることに気がつくだろう。

 このように、企画であっても、営業であっても、「仕事のできる人」と一緒の会議や商談に出て、その人が「人格の切り替え」を行う瞬間を、注意深く観察することである。

 これが、第一の技法であるが、実は、その学びをするためには、「一緒の会議に出る」という以上の技法がある。

 それは、優れたプロフェッショナルの「かばん持ち」をすることである。

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田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]

1951年生まれ。74年、東京大学卒業、81年、同大学院修了。工学博士(原子力工学)。87年、米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。同時に、米国パシフィックノースウェスト国立研究所客員研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。戦略取締役を務め、現在、同研究所フェロー。2000年、多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。同年、シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2003年、社会起業家フォーラムを設立。代表に就任。2008年、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーに就任。2010年、4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブダペストクラブの日本代表に就任。2011年、東日本大震災に伴い、内閣官房参与に就任。原発事故対策、原子力行政改革、エネルギー政策転換に取り組む。2012年、民主主義の進化をめざすデモクラシー2.0イニシアティブの運動を開始。代表発起人を務める。2013年、全国から3000名を超える経営者やリーダーが集まる場、「田坂塾」を開塾。「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」への成長をめざし、塾生とともに研鑽を続けている。著書は、知のパラダイム論、未来予測論、地球環境論、複雑系社会論、情報革命論、知識社会論、民主主義進化論、資本主義進化論、産業政策論、経営戦略論、マネジメント論、リーダーシップ論、戦略思考論、プロフェッショナル進化論、社会起業家論、社会的企業論、仕事論、人生論、詩的エッセイ、詩的寓話など、様々な分野において国内外で80冊余。(所感送付先:tasaka@hiroshitasaka.jp
◇主な著書 『知性を磨く - 「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社) 2014
『人は、誰もが「多重人格」 - 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社)2015
『人間を磨く - 人間関係が好転する「こころの技法」』(光文社)2016

 


7つの知性を磨く田坂塾

多くの問題が山積する21世紀、目の前の現実を変革するために、我々は、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という「7つのレベルの知性」を、垂直統合して身につけ、磨いていかなければならない。知性を磨き、使命を知り、悔いのない人生を生きるために、いま、我々は何を為すべきか。現代の知の巨人が語る。

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