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基準地価、全用途なぜ下落 公示地価と異なる動き

2016/9/20 18:00 (2016/9/21 1:07更新)
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 国土交通省が20日発表した2016年7月1日時点の基準地価は、全国の商業地が9年ぶりに上昇に転じたものの、全用途は0.6%の下落だった。今年1月1日時点の公示地価や路線価は8年ぶりの上昇だったが、わずか半年で下落に転じたのだろうか。

高層ビルが並ぶ名古屋駅東口側だけでなく、西口側も地価上昇が著しい(名古屋市中村区)

 公示地価が上昇、基準地価が下落となったのは調査地点の違いが大きい。今回、基準地価を調べた2万1675地点のうち、公示地価と同じなのは1割未満の1627地点にすぎない。

 公示地価は基本的に都市計画区域内を対象とするのに対し、基準地価は都市計画の区域外の地点が多く含まれる。今回の調査地点では約3500カ所が区域外にあたる。都市計画区域外はもともと大規模な開発を想定していない場所が多く、地価が上がりにくい。実際、今回の基準地価を都市計画区域内の地点に限ると0.2%の下落、区域外だと2.4%の下落と大きな違いがある。

 ここ30年ほどの推移をみると、基準地価に比べ公示地価の振れ幅が大きいことが分かる。バブル期に公示地価は一時、2割を超す上昇率になったが、基準地価の上昇率は1割強にとどまった。ミニバブルと言われた07~08年には、公示地価がプラス圏に浮上したのに対して、基準地価はマイナスのままだった。

 国交省は公示地価について「土地取引や相続税評価の目安として活用されるとともに、金融機関の担保評価や企業が保有する土地の時価評価の基準としても使われている」と説明する。基準地価は調査時点や対象区域で公示地価を補完する役割があるという。

 1月から半年間の変化を知るには、公示地価と基準地価の共通地点の変化を見るのがいい。国交省によると、住宅地は0.4%、商業地は1.3%の上昇だった。昨年7~12月の上昇率をみると住宅地は0.4%、商業地は1.1%だった。商業地の上昇ペースが加速していることが見て取れる。

 このほか国交省が四半期ごとに発表する地価動向報告もある。主要都市の中心部の地価を先行して把握するための指標で、調査地点は少ないが速報性に優れている。最新の調査では、訪日客消費の伸び悩みで上昇率が縮小した地点が出た。

 基準地価は訪日客拡大による都市部の地価上昇が目立ったが、すでに変調のサインが出ているのかもしれない。(木原雄士)

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