「ア、アスラン?!」
 なんだか、アブナイ雰囲気だ。ともかく、ここから逃げないと・・・・・・そう思い、腕の中でもがいてみた。
しかしあいつは、くすっと笑いながら「逃げるなよ」と、更に抱き締める腕の力を強くする。
 ヤバイ!このままじゃ流されるっ!!
 思わず、ギュッと目を閉じた。こんな事で何かが変わる訳でもないって事、分かってるのに。
でも、今の私には、そうする事しか出来なかった。
 すっと、アスランの右腕が私の背中から離れた。どうしたのかと思い、ふと目を開けて、恐る恐るアスランを見上げてみる。
そこに見えたのは、先程のカクテルグラスを口にしているアスランの姿。
 次の瞬間、ぐっと顎を引き上げられ口付けられた。そして、アスランが口にしていたあのカクテルが、私の喉に流し込まれる。
「んっっ・・・・・・!」
 むせそうになりながらも、カクテルをコクリと飲み下した。
 その様子を満足げに眺めたアスランは、再びカクテルを口にすると、先程同様に口移しで私に飲ませる。
そしてそのまま、私の口の中を味わうように、執拗に舌を絡めてきた。
「んっ・・・・・・んふっ・・・・・・」
 アスランに絡め取られた舌から徐々に、頭の中が真っ白になっていく。
 息が・・・・・・出来ない。

 どれくらいの間キスされていたのか分からない。
でも、私にとっては、酷く長い時間のように感じた。
「んはっ・・・・・・」
 唇が離れ、やっとの思いで息をする。
目の前にある翡翠色の瞳を見つめていると、だんだんと身体の奥から火照ってくるようだった。
「カガリ、真っ赤だ」
 フッと微笑みながら、私の耳元に顔を近づける。
ツツーッと首筋を舐めあげられ、途端に身体中の力がガクッと抜けた。
「あっ・・・・・・」 
 もう、立っていられないっ!!
 アスランは、力の抜けた私の身体を抱き締めて支えてくれた。
「もっとカガリを知りたい」
 そう耳元で囁くと、私の返事を聞く前に抱き上げてしまった。
とは言え、もう返事もできる状態ではなかったけど・・・・・・。

気付けば、そのままベッドまで運ばれていた。
「ア、アスラン……」
 あいつの名を呼ぶのも精一杯。とてもじゃないが、いつものような強気な言葉は、到底出て来そうにない。
「カガリの全てを抱き締めていたい。だから……」
 そう言い、顔を近づけてきたが、寸前のところでアスランの肩を押し返した。
「あのっ……わ、私……そのっ……こういう事は、は……じめてだし……」
 あいつの顔をまともに見て言える訳ないだろ、こんな事……。
「うん、分かった」
 その言葉で、再びアスランと向き会う。
 ゾクッとするくらい艶っぽい笑みを浮かべて、そう答えてくれた。
「大丈夫。お前は、俺の事だけを考えていてくれればいいから。
 俺も、カガリの事だけしか考えられないからさ」
「アスラン……」
 そのまま、軽く触れるだけのキス。
「心配しないで。優しくするから」
 目の前でそう告げられると、もう私は、黙って頷くしかなかった。

 そして、更に深く口付けられる。舌を絡められ、時に強く吸い上げられる。
と同時に、アスランの右手が、私の服の中に侵入してきた。
脇腹を撫で上げられ、そのまま胸元までやってくる。
そして、やわやわと揉みしだかれているうちに、身体中が熱くなってくるのを感じていた。
「うっ……んふっ……」
 自分の口から漏れた声は、いつもとは違う甘い吐息。
なんでこんな声が出るんだ?……そう思った私は、唇をグッと噛んでいた。
こんな声を漏らさないように……と。
 その時、アスランの手が下着の中に入ってきた。
ずり上げられたブラジャーからこぼれ出た胸に、アスランの顔が近づく。
「……っっ!!」
 片方の胸に顔を埋め、時に軽く、時には強くキスを繰り返している。
と同時に、もう一方は、優しく揉みしだかれ続けていた。
 あぁ、もう、恥ずかしいとかそういうレベルを超えた感覚だ。
ただただ緊張して、声を出すまいと唇を噛み締める事しかできない。
「……んっっ」
「カガリ、声を殺さなくていいから」
 その声でゆっくりと目を開けると、いつの間にか目の前にアスランがいて、そう告げる。
「声が聞きたい。カガリの感じてる声が聞きたいから。素直に口に出して、ね」
 そう囁かれた途端、身体中に今まで感じた事のない衝撃が走った。
「っあぁ……はあぁぁぁ……」
 露になっていた胸の先端を、アスランが指や舌先で転がすように愛撫する。
あぁ、もうダメ……私の中に残っていた僅かな理性が、脆くも崩れ去った瞬間だった。


 カガリの胸の、一番感じるであろう場所を口に含んだ途端、彼女の口から漏れ出たのは
今まで聞いた事がないような甘い声だった。
 打ち寄せる快楽の波に飲まれまいとしてか、彼女の両手は、シーツを硬く握り締めている。
「カガリ……可愛いよ」
「んっ……はぁぁっっ……ア……ラン」
 切れ切れの声で俺の名を呼ぶカガリの表情が、あまりにも眩しい。
 そのまの勢いで、カガリの上半身から衣服を剥ぎ取り、更に履いていたパンツにも手を掛けた。
「あぁっ……や……っ」
 更に顔を赤くして俺を見上げ、腕を掴んできた。でも、その手に力は入っていない。
「大丈夫だから。これ脱がないと、何もできないよ」
 俺は再び、カガリに深く口付け、その間にパンツとショーツも脱がせてしまう。
そして、硬く閉じている太ももに手を這わせた。
 一瞬、彼女の身体がビクッとするが、構わずに足から腰を撫で上げる。
そのままゆっくりと、彼女の中心に指を這わした。
「ふぅあぁぁっっ……はぁっっ……!」
 途端に高くなる声。
 彼女の中心は、予想以上に濡れていて、指を動かすたびに湿った音が響く。
「カガリ、すごいよ。溢れてる」
「やぁっっ……はぁんっ……」
 もう言葉にはならないような声しか出せないらしい。
 彼女がこんなに感じてくれている……そう思うと、俺はとても嬉しくなり、そのまま彼女の中に指を沈めてみた。
もちろん、できるだけゆっくりと。
 それと同時に、親指で彼女の一番敏感なポイントを、ゆっくりと撫で上げつつ口に含む。
「んぁっ……!」
 思わず腰を浮かせたカガリの身体を抱き締め、もう1本指を増やしてやる。
すると、徐々に彼女の両足が開き、緊張し始めるのが分かった。
あぁ、限界が近いかもしれない……そう思った俺は「いいよ、イッても」と囁く。
「ア……ス……ン……あぁぁっっ!!」
 俺の名を呼んだ次の瞬間、大きく背中を仰け反り、身体はベッドに沈んだ。
肩で息をしているその身体は、全身が紅く染まっていた。

 俺は、着ていた物を全て脱ぎ捨てると、カガリの足を持ち上げる。
「カガリ……いくよ」
 短くそう告げると、彼女はぼーっとした表情のまま「え?」と一言だけ発した。
そして、熱くなっている俺自身を、まだ軽く痙攣しているカガリのそこにあてがう。
そのまま、ゆっくりと彼女の中に入って行く。
「ああっっ……!やぁ……っ!イタ……っ」
 一際高い声が部屋に響いた。
初めてだからだろう、まだ力の入ったままのその入り口は、やはり狭く感じる。
 このままじゃ、スムーズに入らないかもしれない。
「カガリ……力、抜いて?」
 そう言いつつ、空いている手を彼女の胸の先端に伸ばす。
「はぁ……んっっ」
 一瞬、力んだようだったが、すぐに全身の力が抜けたようで、あっと言う間に俺は、
彼女の奥深くまで行きついた。
「……っあぁっ……」
「大丈夫か?」
 少し心配になり、動かないように注意しながら、彼女に訊ねてみた。
「ち、ちょっとだけ……この……ままで……いて?」
「分かった」
 辛そうに顔を歪めながら、息を整えているカガリ。
 しばらくして、落ち着いたのか「アスラン……いいよ」と、小さな声で告げると、俺の首に腕を回してきた。
「じゃあ、ゆっくり動くからな」
 そう囁くと、俺はゆっくりと前後に動き始める。
「ん……っ、はぁ……ん……いっ……」
 ひっきりなしに彼女の口から漏れる声は、更に甘く艶を帯びていた。無論、その表情も艶を増していた。
「辛くないか?ダメならば、動くのをやめるけど」
 ちょっと心配になって、そう声を掛けた。
しかし、返ってきた答えは、俺の予想を超えていた。
「ダメぇっ!アスラ……ンも……イカなきゃ」
 その時、俺の理性は吹っ飛んだ。
 そのまま大きく腰を動かすと、どんどんと彼女の中が熱くなっていくのが分かった。
もう、止められない。ただ、カガリの事だけしか感じられない状態だ。
「あぁ……っっ……はぁぁ……んっ」
「カガリっ!」
 ゾクゾクするような白い光が、俺の下半身から頭へと付き抜けていく。
 そして、キュッと吸い付くような感覚の後、俺は全てを彼女の中に吐き出した。
「うっっ!」「はぁっ……あっ」
 俺の下で力なく横たわるカガリが愛しくて、そのままギュッと抱き締めた。
「あっ……アス……ラン……」
 うつろな表情で俺を 見上げる彼女に、何度も何度も口付けをしていた。


 顔に当たる一筋の光で、俺は目を覚ました。腕の中には、一糸纏わぬ姿のカガリがいる。
そろそろ起きないと、色々と準備もあるしな……。そう思い、彼女の唇に軽くキスをする。
「んっ??」「おはよう」「あ……おはよ……う」
 まだ目が覚めきっていないのか、うつろな瞳で俺を見ている。
「そろそろ起きないと、お前は式の準備で俺よりも忙しいんだろ?」
 そう笑いながら告げると、一気に目が覚めたようで「えっ?!あっ!本当だ!」と、慌ててガバッと身を起こす。
と、同時に「うわあ〜っっ!!」と叫んで、毛布の中に潜り込んだ。
「どうしたんだ?」
「いやっ、あの……昨日、あのまま寝ていたんだって事、すっかり忘れてて」
 頭だけを毛布からちょこんと出すと、真っ赤な顔でそう言った。
「と、とにかくだ!、服を着たいから、アスランは向こうを向いててくれないか?」
「別にいいじゃないか」
 ちょっとイジワルく、笑いながら答えてみた。
「こんな明るい所で、着替えるの恥ずかしいだろっ!!」
 と、叫びながら、俺の胸をポカポカと殴ってくる。
「あははははっ。分かったよ。向こう向いてるから、早く着替えろよ」
 そう言い、俺はベットに転がったまま、カガリに背を向ける。
 床に散らばっていた服を順に身に付けていたカガリが突然
「な、なんだぁ?!この紅いのは??」と大きな声を出した。
 思わず振り返ると、まだ上半身裸のままのカガリが、自分の胸元についている紅い痕を、マジマジと眺めていた。
「あぁ、それ……俺が夕べ付けた、キスマークだろ」
「えぇっ??なんだってぇ?!」
 身を翻し、俺の上に馬乗りになると「何て事すんだよっ!」と、またもやポカポカと俺の胸を殴ってきた。
「何だ?いいだろ、それぐらい」
 まだ殴ろうとしていた彼女の腕を捕まえると、そう言ってみた。
「この位置だと、ドレスを着ても見えちゃうだろっ!!」
 カガリがちょっと目に涙を浮かべて、そう言い放つ。
 ……あっ、そうなのか。見えるのか……。ちょっとマズかったかな?
「ほ、ほら、化粧で隠してもらえよ」
 ちょっと苦笑しながらカガリをなだめようとした。
「マーナ達に変に思われるだろっ!第一、何て説明するんだよっ!」
 またもや顔を赤くして、俺を睨みつけているカガリに
「お前……それより、早く服を着ろよ。でないと……また襲うぞ」
 と、クスリと笑いながら言ってみる。
「えっ?!……あーーっっ!!バ、バカッ!バカッ!アスランのバカヤローッ!」
 更に顔を真っ赤にして叫ぶと、両腕で胸元を隠して背を向けていた。
「ウソだよ。ほら、早くしないと、マーナさんが探しにくるぞ」
「分かってるっ!」
 そして、大慌てで服を身に付けたカガリは、いつものように凛々しく振り返ると
「じゃあ、式場で待ってる」
「あぁ、分かってる。お前のドレス姿、楽しみにしてるからな」
 そのまま、軽く触れるだけのキスをして、カガリを送り出してやった。
 
 さて、あのキスマークの言い訳、カガリはマーナさん達になんと説明するのだろう?
……しかし、きっと今晩、あいつに怒られるかもしれないな。

そうだなぁ、カガリへの言い訳は……これから考えるとするか。

あははははは、載っけちゃいました〜(核爆)
まぁ、こんな色っぽいアスランも、たまにはいいんじゃないかと?!
今後、裏モノを書くかどうか……全くの未定です(^^ゞ

まあ、楽しんでいただけたのならば幸いですが(苦笑)



最初で最後の夜