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【投資本】投資家が「お金」よりも大切にしていること

お勧めの投資本

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こんにちは、せみけんです。

 

いよいよ明日は日銀の政策決定会合の結果が発表されますね。報道からはマイナス金利を深堀するような印象を受けており、市場と対話してこれを織り込ませているなら、良いんですが。また悪い意味でもサプライズがないことを願います。

 

本日は、藤野さんの本のご紹介。

 

1.目次

2.日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目

3.世の中に「虚業」なんてひとつもない

 

 

1.目次

 

 

第1章 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目

(8割の学生が「お金儲け=悪」;日本人は世界一ケチな民族 ほか)


第2章 日本をダメにする「清貧の思想」

(バットマンはなぜ「かっこいい」のか?;日本のヒーローは…公務員 ほか)


第3章 人は、ただ生きているだけで価値がある

(経済って、よくわからない…;残業250時間の「ブラック企業」 ほか)


第4章 世の中に「虚業」なんてひとつもない(日本人は仕事も会社も同僚も、あまり好きではない;「会社」とは何か? ほか)


第5章 あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ(投資は、「お金」ではなく「エネルギー」のやり取り;エネルギーの8要素 ほか)

 

 

2013年2月初版なので、藤野氏の本の中でも比較的新しい本です。お金について考えさせられる本です。ファンドマネージャーとして「お金」と向き合ってきたからできる主張が論じられています。

 

私も国外に行ったから気づいた部分もあるんですが、若い時はお金は汚いということが心の奥底にあり、投資するなんて10代のころは思いもつかなかったです。

 

今ではすっかり投資にどっぷりと浸かっていますが、この本は大学生ぐらいに読めたら価値観が変わるのはもっと早かったなと印象に残る本です。

 

2.日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目

自分でお金をため込んでいるということは、人にお金を出したくないということ。それは、人を信じていないことでもあります。

 

この前段に、アメリカでは年間で、成人1人あたり約13万円のお金を寄付しています。それに対して、日本では成人1人あたり、いくらのお金を寄付しているでしょうか?というクイズがあります。

 

いくらでしょうか??

 

 

答えは、たったの2,500円だそうです。アメリカの52分の1。。少ないですよね。これ平均なので、中央値でみればもっと低そうです。

 

あえて断言しますが、日本人ほどケチな民族はいません。(中略)日本人は、自分の事、すなわち、自分のお金のことしか考えていないのです。

 

これは日本の教育が問題なのも一つだと思っています。

 

基本的に「お金」のことって習わないですよね。学校では。

 

もっと「投資」や「金融」について教えればいいと思います。少なくともインデックス投資で有名なジェレミーシーゲルの本で、投資の有効性と複利のすばらしさは教えてもいいんじゃないでしょうか。

 

社会に出て、投資を始めようという人は周囲にいますでしょうか?私は社会人になって、すぐに投資をスタートしましたが、周囲にはそんな人がいなかったです。だいたいギャンブルとひとくくりにされてしまいますね。

 

もう一点は、国民性がありますね。非常に保守的なので、何かあったら困る→お金を貯めておこう。もしくは、何かあったら困る→保険に入っておこうという考えです。

 

お金を貯めることは大事だと思います。ただそれに加えて少しでも投資することで経済に影響を与え、さらに「増やす」ことが可能だということはさらに大事だと思います。

 

先日、ある投資家と話をしたのですが、「損したくないひとが多いので、投資を始められないひとがたくさんいるんだよな。」と言ってました。私は、長い間やっているので、投資して損することなんて山ほどありますが、長期的な収支はプラスになると信じているからこそ、投資できるんだと思います。

 

損もしますが、資本主義である以上は、株式投資は資金が増えるはずですし、トータルで見ればプラスにすることができると思います。

 

 

3.世の中に「虚業」なんてひとつもない

 

どんな会社も一人一人の社員が働くことで利益を生み出しており、いろんな人の集合体です。投資家だと株価に注目してしまいますが、こんなことを言っています。

 

私たちは、ふだん会社の価値を株価で測ってしまいがちですが、株価は単なる数字ではありません。その中身を覗いてみれば、笑顔と汗と涙、そしてサボリや妬みも全部含まれています。それらが、時価総額として表れているんですね。

 

DCF、EVITDA/EV、PER、PBRなど数値ではいくらでも評価できるんですが、その前提となる会社を動かす人のことを考えようということ。

 

バランスシートにも人の価値はでてこないですしね。でも会社は人が動かす。よくある例ですが、M&Aして買った会社の従業員がいなくなると収益が稼げなくなるような話はいくらでもあります。

 

また虚業についてこんなことも述べています。

ITだろうと金融だろうとメーカーだろうとサービス業だろうと、あらゆる業種の社長さん、約5,700人と直接あって話をしてきた私は、世の中のすべての仕事や会社は理由があって存在していることを自分の目で確認してきました。

 

虚業なんてどこにもありませんでした。

 

(中略)

 

うつろな仕事だと言って、その存在自体をバッサリ切り捨てるような人は、そこにいる血の通った人間のことを想像できないのでしょう。

 

ほかの業界を「虚業」、何の役にも立たない仕事ということで自分の仕事を正当化したいのでそういったことを言うのかもしれません。

 

人のことを悪く言うとダークなエネルギーが溜まって世の中が明るく見えないともいっています。これはその通りだと思いますね。ダークなエネルギーのあるところには、良いことはない!! その場から遠ざかるようにしています。

 

虚業なんてない。自分には関係ない仕事でも、誰かの役に立つからその仕事はある。そうだと思います。

 

 

この本の最後の章にこんな言葉があります。

投資というのは、自分以外の存在にかけることだと言えます。

エネルギーを他人や他人の活動や他人の会社に投入することで、世の中を良くしていこう、明るい未来を創っていこうとするわけですから。

そして、投資家としての私にとって最終的に大事なのは、「人を信じること」です。

 

私は数値が好きなので、定量的な分析から入り割安だなという会社を中心に投資を考えますが、大きく投資するときは、必ず経営者と社員の情報を集めます。

 

可能ならばセミナーなどで、実際に話を聞きます。できれば社長の話が一番いいですね。それがだめならIRの人と話をします。忙しいとは思うので質問項目を手短に聞くようにしていますが、どんな会社の雰囲気かを知るのには有効だと思っています。

 

もう一つは、新入社員向けの採用ホームページも大事にしています、どんな会社なのか、自分も入ってみたいと思えるか、そんなことを考えながら生の声とデータの両方で最後は、「人を信じて」投資するように心掛けています。自分以外の存在に賭けてみて、損したなら自己責任ですし、もし投資したお金が増えたならそれは「感謝」です。

 

一度、「お金について考える」ならお勧めの本だと思います。文庫本で読みやすいですし、藤野氏の「お金に対する思い」が詰まっています。

 

 

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)