午前零時 食堂にて


 最初に、その異変に気付いたのは、チャンドラだった。

「なあなあ!で、出たんだよっ!」
 午前0時のシフト交代で10分前に部屋に戻ったはずのチャンドラが、真っ青な顔で艦橋に飛び込んできた。
「はぁ?」
 そこにいたのは、チャンドラと交代したばかりのノイマンである。
「出たって、何が?」
 システムチェック中だったノイマンは、その画面から顔を上げる事なく訊ねた。
「今、士官食堂の前を通ったらさ、声が聞こえたんだよっ!「恨めしい……」って!」
 慌てて話すチャンドラに対し、ノイマンは興味なさげに「誰かが食堂にいたんじゃないのか?」とため息を付く。
「だからぁっ!俺も誰かいるのかと思ってさ、食堂を覗いてみたんだけど……」
 そこまで口にしたチャンドラは、ゴクリと唾を飲み込む。
 その様子に、さすがのノイマンも画面が顔を上げ、チャンドラの方を見る。
「食堂は真っ暗で、誰もいなかったんだよっっ!」
「……お前、疲れてるんじゃないのか?」
 はぁ……と、再びため息をついたノイマンは、チャンドラに「分かったから、早く休めよ」と言うと再びシステムチェックを始めた。
「本当にはっきりと聞こえたんだよっ!女の声がっっ!」
 ノイマンの態度が納得行かないとばかりに、チャンドラが声を荒げる。
「分かったから。また後で俺も見てみるから……」
 仕方ないなぁという表情でノイマンが答えると、チャンドラは「まさか……幽霊じゃないよな?」と小声で問いかけてくる。
「このご時世、幽霊なんて非科学的な事はありえないと思うが……」
 苦笑しながらノイマンが答えると「そりゃ、そうだけど……」と、チャンドラの語尾が曖昧になっていく。
「とにかくだ、俺もシフト明けに見てみるから。早く休憩に入った方がいいよ」
 ポンポンとチャンドラの肩を叩くと、ノイマンはくるりと背を向け、再び仕事に戻った。
「……本当に聞こえたんだよ〜」
 未だにブツブツと言いながら、それでもチャンドラはトボトボと自室に戻って行くのだった。



 二番目の目撃者は、マードックであった。

 同じく、深夜0時のシフト上がりで自室に戻ろうとして、たまたま士官食堂の前を通過した時に聞いたのだと言う。
「いや、まさかそんな深夜に、食堂から話し声がするなんてなぁ〜」
 驚いた様子でその時の状況を話している相手はミリアリアである。
「で、どんな声だったんですか?」
 以外にも、そのテの話に興味津々と言った様子で、ミリアリアがマードックに詰め寄った。
「若い女の声でな、確か「悔しい……」って言ってるように聞こえたんだ」
 ミリアリアに耳打ちをするかのように、小声でそうマードックが告げる。
「それで……食堂の中は確認したんですか?」
 手にしていたドリンクパックをギュッと握り締めながら、ミリアリアはその身を乗り出していた。
「いやぁ、疲れてるから空耳だと思ったもんでな。そのまま部屋に戻っちまったんだよ」
「なぁ〜んだぁ」
 頭をボリボリと掻きながらガハハハと笑うマードックに対し、ミリアリアは少々残念そうな表情を浮かべている。
 かと思ったら、急に何かを思いついた表情で顔を上げ「ところで……」とマードックに質問を投げかけた。
「やっぱり、こういう戦艦だと……そう言ったのが出る事ってあるんですか?」
 怖がるかと思っていたマードックは、逆に目を輝かせて問いかけてくるミリアリアに、少々驚いていた。
「まぁ、絶対に無いとは言い切れねぇみたいだがなぁ〜。でも、ワシだってこんな経験、実は初めてだぞ」
 幽霊だとか妖怪だとかさ、そんなの信じちゃいないがな……と、マードックは豪快に笑いながら話す。
「じゃあ、今度の深夜シフト交代の時に、私も確かめに行ってみなきゃ」
 カメラ持参で、バッチリ証拠写真撮るわよっ!と、妙に意気込んでいるミリアリアに、マードックは「さすが、元ジャーナリストだな」と心の中で感心しているのだった。



 その翌日。今度は、アスランがその現場に居合わせたのだ。

「キラァ〜ッッ!!」
 夜も更けて来たというのに、ものすごい叫び声で部屋に飛び込んで来たアスランは、ベットでウトウトしていたキラの元に駆け寄った。
「ア、アスラン?」
 その尋常ではない様子に目が覚めたキラは、その眠そうな目をこすりながら身を起こす。
「お、俺……閉じ込められた……んだ」
「閉じ込められたって、どこに?」
 真っ青な顔をしたまま、ハアハアと肩で息をするアスランに、キラは「落ち着いて説明してよ」と声を掛けた。
 そして、簡易冷蔵庫からドリンクパックを取り出すと「ほら、これ飲んで」とアスランの手に握らせる。
 受け取ったアスランは、それを一気に飲み干すと「実は……」と話し始めた。

 夕食を食べる事も忘れてジャスティスの調整をしていたアスランは、部屋へ戻る前に士官食堂に立ち寄り、簡単に食事を済ませた。
 そして、食器を片付けようとした時、突然、部屋の電気が消えてしまったのだ。
 驚いたアスランが薄暗く光る非常灯を頼りに、慌てて室内灯のスイッチを押したのだが、何度押しても室内灯に明かりは灯らなかった。

「配線か電気系統のトラブルだと思って、整備班に連絡するつもりで通信機のスイッチを押したんだけど……そっちも反応しなかったんだ」
「うん……」
 時々出そうになる欠伸をかみ殺しながら、キラは必死な形相で説明するアスランの話に耳を傾けていた。
「それで……とりあえず食堂から出てみようって思って、扉の前まで行ったんだけど……」
「だけど??」
 その次の言葉を飲み込んだアスランに、キラは問いかけてみた。
「……食堂の扉、開かなかったんだよ……」
「えっ?」
 きょっとんとした表情のキラに対し、アスランは彼の肩をガシッと掴み「非常開閉ボタンを押しても、開かなかったんだよっ!」と興奮気味に話す。
「じゃあ、どうやって食堂から出られたの?」
 キラの問いかけにアスランは拍子抜けし、その場でへたり込んでしまった。
「ア、アスラン?」
 目の前に座り込んでしまったアスランの肩を、不思議そうな表情をしたキラが、ゆさゆさと揺らす。
「……いや……だから、外にも連絡出来ないし……どうしようかって困っていたら……」
 キラを見上げたアスランの顔は、再び青ざめていた。

 点かない室内灯に、使えない通信機。そして、開かない扉……。
 どうしようもなくなったアスランが、思わずその扉をドンドンと激しく叩くと「だ、誰かいないかっ!」と大声をあげていた。
「どなたかいらっしゃるのですか?」
 その時、その扉の向こうから涼やかな声が響いた。
「ラ、ラクス?!」「はい?」
 いつものように、落ち着いた話し方のラクスが「どうかされたのですか?」と扉の向こうから声を掛ける。
「突然、食堂の電源が落ちたみたいで、内側から扉が開かないんだ……非常開閉ボタンも反応しなくて……」
 扉越しにそうアスランが説明すると、ラクスは「では、こちら側のボタンを押してみますわ」と言うと、壁のパネルを操作する。
 すると、ピーッという音と共に、扉のロックが外れる音が響いた。
 慌ててアスランがその扉を手で開くと、その向こう側から普段と変わらぬ笑顔のラクスの姿が現れる。
「……ありがとう、ラクス」「いいえ」
 そうアスランが礼を述べた時、暗かった食堂内に明かりが灯る。
「あら、戻りましたわね」「……あ、あぁ」

「あの時、ラクスが助けてくれなかったら……」
 はぁ〜っと大きなため息を付きつつ、アスランが安堵の表情を浮かべた。
 するとキラが「それってさ……もしかして、今ウワサになってる話と同じなのかな?」と首を傾げる。
「え?ウワサって」
 何も知らないと言った様子のアスランがキラに問いかけると「うん、やっぱり調べる必要があるかもね」とニッコリ微笑んだ。
 そして、ここ数日起こっていた出来事を手短にアスランに説明する。
「ちょうど、ミリアリアからも相談受けててさ。早速、明日の夜にでも調べてみようよ」
「し、調べるって……」「士官食堂の幽霊騒ぎの真相をだよ」
 もちろん、アスランも付き合ってよね……と微笑むキラに「イヤだ」と断れなかったアスランであった。



「午前0時の士官食堂に、何かが出る」というウワサは、チャンドラが遭遇した翌日には艦内中に広まっていた。
 そういった怪奇現象を信じる者と信じない者との間で「いる」「いや、いない」と、静かな論争も巻き起こっている。

「なぁ、艦長さん」「はい、なんですか?」
 その後姿を追いかけてきたネオは、うーんと唸りながらマリューに声を掛けた。
「そのぉ、何だ……あのウワサって、本当なのか?」
「はぁ?」
 突然の問いかけに、マリューは首を傾げながらネオの方を振り返った。
「何ですか、そのウワサって?」
 その仕草にドキッとしながらも、ネオは「ほら、午前0時の士官食堂に出る……って話だよ」とマリューに詰め寄った。
「あぁ、チャンドラ君が騒いでいた話の事ね」「そうそう、それ!」
 少し上目遣いでマリューがそう答えると、ネオは更に彼女に近付く。
「あの話、艦長は本当だと思うか?」
 ものすごく真剣な目で自分の顔を覗き込みながら訊ねてくるネオに、マリューは少しだけたじろいだ。
「え……あの、わ、私が直接遭遇して確認した訳じゃないですから……真相は分かりません」
 そう言うと「よろしかったら、お茶でもいかがですか?」と到着した艦長室のロックを外す。
「サンキュー」と嬉しそうに答えると、すかさずマリューの腰にその腕を廻し「きゃぁ」と小さく叫ぶ彼女と一緒に部屋に滑り込んだ。

 2つのマグカップを手にしたマリューが、それを目の前のテーブルに置く。
「どうぞ」「ん、ありがと」
 コーヒーを味わいながら、ネオは改めて口を開いた。
「でさ、さっきの話の続きなんだけど……」
 そう訊ねられたマリューは「はい?」と首を傾げながら手にしていた書類から顔を上げる。
「この艦は、昔からそんなウワサがあったのか?」
「いいえ。今回が初めてですわ、こんな事は」
 そう答えながら、マリューはクスリと笑みを漏らす。
「やっぱり、こういうのって、真相をはっきりした方がいいんじゃないのかな?」
 艦長としては、どうお考えですか?と、やたらと真面目な顔でネオが問いかけた。
 そんな彼に対しマリューは、ニッコリと微笑んで「では、今日の深夜、お付き合いしていただけます?」と、逆にネオへ問いかける。
「あぁ、俺でよければお付き合いいたしますよ」
 そういうの、俺は信じてないんでね……とウィンクをすると、マリューは「お願いしますね」と、意味深な笑顔を見せるのだった。



 艦内の時計が、午後11時55分を指した頃、キラを先頭に、カメラを持ったミリアリアとその後ろから少し顔色の悪いアスランが、足音を忍ばせながら士官食堂の前までやって来た。
「今日は、チャンドラさんもマードックさんも、この時間はオンだから、アスランだけが頼りだよ」
 にっこりと微笑んだキラが小声でそう言うと「えっ?……あぁ……」とアスランが小さく返事をする。
「もしかして、怖いの?」
 ミリアリアがクスクスと笑いながらアスランに問い掛けると「そ、そんな事はない!」と慌てて言い切る。
 その様子が可笑しくて、ミリアリアもキラも思わずプッと噴出していた。
「……な、なんだよ……」
 少しだけ拗ねたアスランがプイッとそっぽを向くと、キラが「ごめんごめん」と笑いながら謝った。

 その時だった。
『うふふふふふっ……』という、女性の笑い声が3人の耳に届いた。
「……聞こえたよね!」「うん」「……」
 キラリと瞳を輝かせたキラが、ミリアリアと顔を見合わせてうなづくと、1歩後ろに下がっていたアスランの腕をしっかりと掴む。
「いくよっ!」「あ……」
 そのキラの声に合わせて、3人が……と言うより、そのうちの青くなっている1人は引っ張られてではあるが……食堂の扉を開けた。

「……キラ?」
「……えっ?!ラクス?」
 開いた扉から勢いよく食堂の中に飛び込んだキラ達が見たものは、エプロン姿でキッチンに立っているラクスとマリューの姿。
「おいおい、お前ら何してんだ?」
 口をポカーンと開けたまま立ち尽くしているキラ達に、テーブルから立ち上がったネオが声を掛ける。
「あのっ、私達……例の幽霊騒ぎの真相を突き止めようと思って……」
 未だに状況を理解出来ずに固まったままのキラに変わって、ミリアリアが慌てて口を開いた。
「で……こんな夜更けに、3人仲良くココに来た訳かぁ」
 クククッと楽しそうに笑いながら、ネオはバシバシとキラの肩を叩く。
 その行為で、やっと我に返ったキラが「あの……どういう事なんですか?」と、ネオに訊ねる。
「艦長が、お姫さんに料理を教えてたんだよ」とキラにウィンクすると「このぉ、妬けるなぁ〜」と今度は優しくキラの肩を叩いた。
 ようやく状況を把握し落ち着きを取り戻したアスランは、初めて部屋中に溢れている香ばしい香りに気付いた。
「この香りって、何ですか?」
 それは、アスランの今までの生活では、経験したことがない香り。
「キラに食べさせてあげようと思っていたんですの」
 ピンクの髪をなびかせながら、ラクスが1枚のお皿を持ってキラの前にやって来ると、それを目の前に差し出した。
「これって……」
「お好み焼きですわ」
 キラの大好物だって、カリダさんからお伺いしておりましたのよ……と微笑むと、それをテーブルの上に置く。
 そして、鰹節をその上にパラパラと散らす。
「ほら、ちょうど焼きあがったばかりですの。温かいうちに食べていただけませんか?」
「あ、ありがとう、ラクス。頂くよ」
 そう答えたキラは椅子に座ると、湯気を出しているお好み焼きを口に運ぶ。
 ちょうど良いキャベツの歯応えと、ふわふわの生地。そして、懐かしいソースの風味がキラの口いっぱいに広がる。
「美味しいよ、ラクス。昔食べた、あの味と一緒だ」
「そうですか?……良かったですわ」
 満面の笑みで美味しいを連発しているキラの姿を、隣に座ったラクスは、微笑みながら見つめていた。

「よかったら、みんなの分もあるわよ」
 私が焼いた物ですけどね……と笑いながら、マリューが大皿でお好み焼きを運んでくる。
「えっ?!私も食べていいんですか?」
 マリューの言葉に、ミリアリアが嬉しそうな顔で「みんなの分のお皿、運びますね」と小皿を取りに行く。
 そして、テーブルを囲むようにして座ると、一斉に「いただきまーす」とお好み焼きに箸を伸ばした。

「俺、こういうの食うの初めてだけど……美味いもんだな」
 口の端にソースが付いたままのネオが、マリューに話しかけると「一佐、ソースが付いてますよ」と笑いながら、紙ナプキンを差し出す。
 それを「サンキュ」と受け取り、自分の口元を拭うネオの様子を、少しうらやましそうな視線で見つめていたミリアリアが「そうだ」と急に口を開いた。
「どうしたの?」
 その声に真っ先に反応したマリューが、彼女に声をかける。
「結局、あの幽霊騒ぎの真相って、一体何だったんですか?」
「あ……それは……」
 苦笑しながらマリューが説明しようとした時、変わりに説明を始めたのはラクスであった。
「実は、チャンドラさんやマードックさんが聞いたという声は、私やマリューさんの声なんです」「えっ?」
 状況が飲み込めていなかった3人が、声をそろえて驚く。
「キラに……お好み焼きを作ってあげたかったんですが、私1人では上手く焼けなくて……」
 少しだけ顔を赤らめたラクスがそう説明すると、隣に座っていたキラが驚いた顔をする。
「それで、マリューさんにお願いして、教えて頂く事にしましたの」
 恥ずかしそうに笑うラクスに変わり、今度はマリューが説明を始めた。
「キラ君には内緒にしたかったそうだから、深夜の食堂で練習する事にしたのよ」
 食堂内の明かりもキッチン周りだけにして、2人だけでこっそりとね……と、笑いながらマリューが話す。
「じゃあ、最初にチャンドラさんが聞いた「恨めしい」っていう声は?」
 キラがそう訊ねると、マリューが「それはきっと……」と笑いながら答える。
「私がラクスさんに「裏面もしっかり焼くのよ」って言った、その最初の部分だけが聞こえたのだと思うわ」
 すると、ミリアリアがブツブツと「恨めしい……裏面もしっかり……」と口に出して言うと「確かにそんな風に聞こえなくもないですね」と苦笑しながらマリューを振り返った。
「じゃあ、そのチャンドラさんが食堂の扉を開けた時に、室内が真っ暗だったのは?」
「それはね……」
 と、マリューが手短に、その続きを説明し始めた。

 お好み焼きの作り方の説明をしていた時、廊下を歩く足音にマリューは気付いた。
 その足音が扉の目の前で止まった事を確信したマリューは、誰かに見られてはいけないと思い、慌ててキッチンの明かりを消し、ラクスと一緒にカウンターの隅に姿を隠した。
 その直後、扉が開いたかと思うと「ひぃぃぃ〜っっ!」という叫び声と共に、ものすごい勢いで走り去る足音が、息を潜める2人の耳にも届いたのだ。

 その翌日は、お好み焼きを焼いていた時に、マードックが食堂前を通りかかったらしい。
 そしてマードックが聞いたという「悔しい……」という声は、上手くお好み焼きをひっくり返す事ができなかったラクスの「悔しいですわ」と言う嘆きだったようだ。

「じゃぁ、昨日……俺がココに閉じ込められたのは?」
 もぐもぐとお好み焼きを頬張っていたアスランが、首を傾げながらラクスに訊ねた。
「昨日も、その練習をするつもりでココに参りましたの……」

「少し遅くなる」というマリューよりも先に士官食堂にやって来たラクスは、いつものように誰もいないと思い、この時間にはいつもオフになっている食堂の主電源ボタンを押した。
 ところが、その日に限ってアスランという先客が中におり、すでに主電源がオンになっている状態だったのだ。
 それを知らなかったラクスのおかげで、食堂の室内灯はおろか、通信機器や扉まで動かなくなり、アスランが閉じ込められる形になったという事であった。

「中にアスランがいるなんて、全く想像しておりませんでしたの。それで主電源ボタンを押してみたら、中から叫び声が聞こえますでしょ」
 それに扉は開かないし……と、ラクスは至っていつものペースでニコニコと説明をする。
「……アスラン……叫んだんだ」
 そうポツリと呟いたキラは、声を殺し肩を震わせて笑っている。
「いやっ、あのっ……突然、部屋の明かりが消えたら、誰だってびっくりするだろ?!」
 そりゃ、叫び声だって出るよ……と、顔を真っ赤にして言い訳をするアスランに対し、ミリアリアまでもが「その叫び声、私も聞きたかったなぁ」と笑っている。
「意外とアスランって、幽霊とかに弱いんだね」「キ、キラッ!!」
 ほら、さっきも、部屋に入ろうとしてたら腰が引けてたしね……と、笑いながら詳しく状況を説明するキラに、アスラン以外の全員が声をあげて笑ったのだった。

なんとなく書いていくうちに、キララクテイストになっていました(笑)
そして気付いたら、やっぱりアスランはヘタレに……(核爆)
結局、不思議でもなんでもない、普通のお話になっちゃいました(^^ゞ


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