GREAT VACATION
今を遡る事、3ヶ月前……。
久しぶりの2人一緒の休日にショッピングモールへとやって来た事が、この夏の予定を決定付けたのだ。
その日、買物をする度に押してもらったスタンプカードが、福引をする為の引き換え券だと知った2人は、帰宅前に福引会場へ足を運んだ。
「スタンプ6個ですから、福引は3回ですね」
そう店員が言ったのを聞いたムウが「マリューが引けばいいよ」と言うと、マリューは「せっかくだから、ムウも1回引いて」と微笑みかける。
「だって、あなたの方がくじ運ありそうだもの」「えぇ〜?そぉかぁ?」
ムウは遠慮しようとしたのだが、マリューの「ねぇ、お願い」という上目使いの懇願顔に、思わず「は〜い」と返事をしていた。
「んじゃ、マリューからどうぞ」
そう促されて、マリューは目の前の箱に手を入れ、三角に折られたくじを2枚取り出す。
彼女が引いた2枚のくじを店員が開封すると「……2枚とも5等ですね」という結果。
店員から差し出された5等の景品であるオレンジジュースの缶をマリューが受け取ると、今度はムウが箱の中に手を入れた。
ガサガサと中をかき混ぜるようにしてから、ムウは迷う事無く1枚を取り出す。
それをマリューと同じように、目の前の店員に手渡した。
端をペリペリと破り開封した途端、店員の表情が一遍したのだ。
突然カランカランと目の前で鐘を振られて、その行為と音の大きさに2人が驚いていると、店員が「おめでとうございます!」と大きな声で言う。
「えっ?!」
何のことだか訳の分からないといった表情の2人に店員が「特賞のプライベートビーチ付きコテージの宿泊券です!」と拍手をする。
「と……特賞……なの?!」
「宿泊券?!」
「やっぱりムウの方が、くじ運あったわね」
帰宅途中の車中で、手にした宿泊チケットをまじまじと眺めながら、マリューが嬉しそうに呟く。
「いやぁ、たまたまだよ」
照れくさそうに笑いながら答えたムウに、マリューは「今度からは、こういうくじはムウに引いてもらわなきゃね」と微笑む。
その言葉にムウは「まぁ、また機会があったら……な」とクスッと笑っていた。
「まだ夏休みの予定は何も考えてなかったし、せっかくだから8月に泊まりに行くか?」
信号待ちでブレーキを踏んだムウは、助手席を振り返りながらそう訊ねると、マリューの表情がパッと明るくなる。
「そうね。今年のサマーバケーションは、コテージでのんびりって言うのも良いわね」
その提案に、マリューも嬉しそうに答えた。
そして2人は、8月の休暇希望を提出したのだった。
オノゴロ島から少し離れた、以前は無人島だったその小島に今年オープンしたばかりだというリゾートホテル。
自然を残す形で作られたそのホテルは、港側に建てられた本館とは別に、島の裏手に広がる砂浜に面した離れのコテージとで成り立っている。
2人が引き当てた宿泊券は、そのコテージの1棟だった。
連絡船から港に降り立った2人は、そのまま目の前のホテルのロビーへと向かい、手早くチェックインを済ませる。
「では、コテージの方へご案内いたします」
荷物を手にしたベルボーイが2人の前で軽く会釈をすると、再び玄関へと案内された。
そこに待機していたコテージ専用のエレカの後部座席に乗り込むと、荷物を積み終わったベルボーイが運転席に乗り込んだ。
「コテージまではエレカで5分ほどかかりますので……」
そう告げると、緩やかにエレカが滑り出す。
生い茂る深緑色の森のトンネルを潜り抜けると、赤い屋根が印象的なこじんまりとしたコテージが点在する通りに突き当たる。
まるで絵本のような可愛らしい建物を目にしたマリューの口からは「素敵ね」と思わず嬉しそうな声が上がる。
その通りを右折すると、道路の突き当りまでエレカは進んだ。
そして一番端のコテージの玄関で停車すると、ベルボーイが丁寧に後部座席のドアを開ける。
「こちらがコテージ・サンセットレインボーになります」
胸ポケットから取り出したカードキーでベルボーイが玄関の扉を開け、2人を中に案内する。
「うわぁ〜、素敵〜!」
ナチュラルカラーの家具と白い壁。
落ち着いた内装の室内に、ムウも「本当だなぁ」と笑顔を浮かべる。
スーツケースをリビングの片隅に置いたベルボーイは、コテージ内を一通り案内すると「こちらはコテージ専用のエレカのキーです」と、虹のキーホルダーが付いた鍵を渡す。
「これで自由に移動してもいいのか?」
その鍵を手にしたムウがベルボーイに尋ねると「はい。それぞれのコテージに1台ずつエレカがございますので、ご自由にお使い下さい」と笑顔で返される。
「何かございましたら、内線99番にご連絡下さい。コテージ担当コンシェルジュに繋がります」
マリューがありがとうと告げると、ベルボーイは「失礼します」と一礼し、コテージを後にした。
「んじゃ、早速どうしますか?」
ベルボーイに運んでもらった荷物を手にしたムウに、マリューは「とりあえず、2階の寝室にその荷物を運んでもらいましょうか?」と笑っている。
「いや、それはするけど……その後の事だよ」
少し困ったように笑いながら、ムウはリビング奥の階段を登って行く。
その後ろに付き添いながら、マリューは「そうねぇ〜」と思案顔になる。
「だって、たった2泊3日だし。俺としてはやりたい事がいっぱいあるんですけど?」
2つ並んだドアの片方を開けると、そこは海に面した大きな窓が印象的な寝室。
その中にムウはスーツケース運び込む。
「私はとりあえず、荷物を整理しなきゃ……」
そう言いつつ、マリューは手早くトランクの鍵を開けると、綺麗に畳まれた2人分の洋服を手際よくクローゼットに掛けていく。
てきぱきと洋服をクローゼットに掛けながら、マリューは「で、ムウは何をしたいの?」と逆に質問を返した。
「まず、マリューと一緒に海に行って泳ぎながらイチャイチャして、その後はジャグジーでイチャイチャして、ディナーはマリューから「あ〜ん」ってしてもらって……」
躊躇する事無く次々とムウの口から出てくる願望に、マリューは思わず「はぁ……」と溜息を漏らす。
「何で溜息なんてついてんのさ?」
さも当たり前かのようなムウの言い草に、マリューは苦笑しながら「なんだか、ずーっとイチャイチャしてるだけみたいなんですけど?」と聞き返す。
「誰にも邪魔されないで2人っきりなんて機会、そうそうあるもんじゃないでしょ?」
だったら、これでもかってぐらいイチャイチャしなきゃなぁ〜と嬉しそうに微笑むと、スーツケースの蓋を閉めたマリューを後ろから抱きしめる。
突然の事に少しビクッとしたマリューだったが、特に嫌がる様子もなく大人しくムウの腕の中に納まっている。
「でも……ムウは仕事中でもこうやって私の事を突然抱きしめたりするじゃない?」
後ろを振り返りながらマリューが問い掛けると、ムウはその白い首筋に顔を埋めて「あれは、マリューさんに付く害虫退治の為」と言いのける。
「じゃあ、今は何の為なの?」
チュッとその首筋に軽いキスを落すと「マリューを愛する為しかないだろ?」と耳元で囁く。
その甘い声にほんの少し目まいを覚えたマリューは「い、いつもじゃないですか!」と反論を口にした。
「いや、あれは愛する人への当たり前の行動だよ。それに……」
「それに?」
抱きしめる腕に少しだけ力を込めたムウは「普段のマリューは時々そっけないからさ。ココにいる間ぐらい俺に甘えて欲しいし、俺をめいいっぱい愛して欲しい」と再びその耳元で囁く。
「そっけないのは、ほら……仕事場で公私混同しない為よ」
無理矢理身体を捻り、ムウと見詰め合う形になったマリューが反論をする。
が、それはムウの一言で終演となった。
「マリューが甘えてくる時って、酔っ払った時だけだからな」「うっ……」
なんとなく身に覚えがあるマリューは、思わず口ごもる。
「そりゃ、毎日マリューをベロベロになるまで酔っ払わせて、思う存分甘えさせるのもいいけど……それって素のマリューじゃないし」
いや、あれがマリューの本質なのかもな〜とクスッと笑うと、ムウは目の前の恋人に触れるだけの口付けをした。
何も言い返せずにいるマリューに、ムウは言葉を続ける。
「だから、ココにいる間くらいは、素直に甘えて欲しいんだけど?」
そのままのマリューを愛したいから……と、再びムウはギュッと彼女を抱きしめる。
どう答えようかと口ごもるマリューに、ムウはポツリと一言漏らした。
「俺はマリューに自分の全てを曝け出してるつもりなんだけど、マリューは俺に全てを見せてくれていない気がする」「えっ?」
その表情を見られまいとしてか、マリューの後頭部を抱え込み自分に密着させる。
「俺は……マリューの望みも欲望も全部受け入れたいし、それを叶えたいと思ってる……」
少し淋しげな感情をその声色から感じ取ったマリューが「ムウ……」と愛しさを込めて名を呼び、その腕を恋人の背中に回した。
「別に、私の全てを見せていないつもりはないの。ただ、この歳になって甘えるなんて……恥ずかしいと思って……」
赤くなった頬を隠すようにムウの胸元に顔を埋めたマリューに「バカだなぁ、マリューは……」と微笑んだムウは、彼女の髪を優しく撫でる。
「マリューの望みは俺の望みだからさ。俺の前でだけは、我儘言っていいんだぜ」
君の全てを受け入れるだけの器は持ってるつもりなんだけどな……先程とは違い、少し悪戯な少年っぽさを含んだ声でそう告げたムウに、マリューは「分かったわ」とクスリと笑みを漏らした。
「んじゃ早速だけど……この後、マリューは何がしたい?」
ようやく腕の中から解放されたマリューが開けっ放しだったクローゼットの扉を閉めると、ムウがニコニコしながら聞いてくる。
「そうねぇ〜。ビーチを散策するのもいいわね」
その答えを聞いたムウは、閉めたばかりのクローゼットの扉を開けると「せっかくだから、着替えて泳ごうよ」と、2人分の水着が入った袋を取り出す。
「……もぅ、気が早いんだから……」
その行動の早さに苦笑しながらも、マリューは差し出された袋を受け取っていた。
水着に着替えた2人は、パーカーを羽織った状態でウッドデッキからプライベートビーチに降り立つ。
真っ白い砂浜はさほど広くはないが、それでも2人が泳ぐには十分すぎる広さだ。
気になっていた隣のコテージとの境を見ると、岩場が海まで突き出している。
更に、その岩場の周囲には南国特有の木々が生い茂っており、近付いてよく見なければ、それが人口の岩場だとは気付かない作りになっていた。
「コテージごとのプライベートは、完全に確立されてるって訳か」
岩場の方を見ていたムウが感心したように「さすが、高級リゾートホテルだねぇ」と笑う。
「本当に、2人だけのプライベートビーチって感じね」
辺りを見渡して、自分たち以外誰もいない事を確認したマリューも、しみじみとつぶやく。
「誰もいない事だし、のびのびと泳ぎますか?」
そう言うが早いか、ムウはマリューの手を引っ張ると海辺に走りだす。
「ちょ、ちょっとムウ!!」
驚いたマリューがそう声を上げるのとほぼ同時。
走りながらサンダルを脱ぎ捨てたムウは、一足早く海に足を浸すと、その冷たい水をマリューに浴びせる。
「冷たいっ!」
いきなり海水を顔に浴びたマリューは、慌てて着ていたパーカーとサンダルを脱ぎ捨てると、自分も海の中に走り出した。
「うひょぉ〜!!マリューさんの水着姿、絶景!!」
パーカーの下から現れたマリューのビキニ姿に、思わずムウがひゅ〜と口笛を吹く。
「もぅ、何言ってるのっ!」
ムウの一言で顔を真っ赤にしたマリューは、お返しとばかりに手ですくった海水を彼に浴びせる。
「うわっ、ちょっと待った!パーカー濡れちまう」
マリューの早い反撃にムウも慌ててパーカを脱ぐと、それをひょいっと砂浜に投げ捨てる。
そして「お返しだ!」と、マリューに大量の海水を浴びせた。
「きゃあっ!……お返しするのは、私の方だわ!」
頭から海水を被ったマリューは、髪の毛から滴る水滴を手で拭うと、笑顔でムウに駆け寄った。
プライベートビーチの中に響き渡るのは、2人の楽しそうな声と寄せる波の音だけ。
誰にも邪魔されずに、2人は辺りが夕焼けで赤く染まるまで海辺で過ごした。
コテージに戻り着替えを済ませた2人は、迎えに来たエレカに乗り込み、コテージ専用のレストランに向かった。
そのレストランは、コテージの並ぶ通りの中央に位置する管理棟の最上階にある。
夕日が沈み、水平線が薄紫に染められるのを眺めながら、2人はゆっくりとディナーを味わう。
「こんな風景を見ながら食事が出来るなんて素敵ね」
鯛のカルパッチョを口に運びながら、マリューは嬉しそうに微笑む。
その視線の先には、キラキラと輝き始めたオノゴロ島の夜景がある。
「ウチも海岸沿いだけど、こんな夜景を眺めながらの食事なんて出来ないしな」
マリューの言葉に賛同したムウも、その表情をほころばせながらワインを口にした。
普段では考えられないようなゆったりとした時間を楽しみ、辺りがすっかり暗闇に包まれた頃、2人はコテージに戻った。
一旦はリビングのソファーに腰を下ろした2人だったが、ここに来てまでテレビを見るのも勿体ないという意見が一致し、そのままウッドデッキのテラスに出た。
月明かりが蒼黒い海面を白く照らす様子をテラスのデッキチェアーに座って眺めていると、おもむろに立ち上がったマリューが冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを手にして戻ってきた。
ふわりと黒いワンピースの裾を翻しながらムウの隣に座り「飲むでしょ?」と、そのボトルを差し出す。
「サンキュ」
そう答えるとムウはボトルに口をつけ、ゴクゴクと喉を鳴らしながら水を飲む。
ボトルのキャップを閉めようとしたムウは、彼女の手には何も飲み物がない事に気づき「マリューはいらないのか?」と訊ねた。
「少しだけ飲みたかったんだけど……2本もボトルを開けるの勿体ないから……」
そう苦笑するマリューに、ムウは「じゃあ、コレ……飲むだろ?」と妖艶な笑みを浮かべると、手にしていたボトルに再び口をつけた。
「え?」
マリューが戸惑った瞬間、その後頭部に右手をまわしてホールドすると、落ちかかったルージュの唇に自分のそれを重ねる。
ムウの舌先がマリューの唇をくすぐると、抵抗することなく彼女の口元が緩む。
そのまま舌を差し入れると同時に、口にしていたミネラルウォーターを注ぎ込んだ。
ゆっくりとマリューの喉元が動くのを感じ取ったムウは、彼女の口内をゆっくりと掻き乱す。
そんな行為にマリューが反応し始めた途端、ムウはスッと唇を離した。
「……ムゥ?」
いつもとはちょっと違う行動を不思議に思ったマリューが声を掛けると、ムウはにっこりとほほ笑みながら彼女の手を取り立ち上がる。
「夜の海っていうのも、ロマンチックだよな」「え?」
彼が何を言いたいのかイマイチ理解出来なかったマリューが首をかしげると、ムウはその手をひっぱり海へと誘う。
「……裸足のままじゃ……」「夜は砂浜も熱くないから大丈夫」
よたよたとしながらムウに引っ張られるようにして、マリューは波打ち際までやって来た。
「一度、こうやって泳いでみたかったんだよ」
そう言うが早いか、ムウは着ていたものを脱ぎ捨てると、唖然として立ち尽くしているマリューを残して海の中に入ってしまう。
「ちょっと、何してるのっ?!そんな格好で泳ぐなんてっ!」
突然のムウの行為に、顔を赤くしながらマリューが叫ぶ。
が、当の本人はどこ吹く風といった表情で気持ちよさそうに泳いでいる。
そして胸の辺りまで海に浸かった状態でこちらを振り返ると、濡れた前髪を片手で掻き上げた。
「マリューも泳がないか?気持ちいいぞ!」
波に揺られながらそう手を振ると、再び泳ぎだす。
「いくら夜でも、そんな姿では泳ぎませんっ!」
水しぶきを上げながら泳ぐ相手の姿に向かって、マリューはそう叫ぶ。
その次の瞬間、今まで普通に泳いでいたはずのムウの姿が突然、彼女の目の前から消え失せた。
「ぇっ?……ムゥ?!」
あまりにも突然の事で、マリューは茫然とその場に立ち尽くしている。
そして1歩ずつ海に近づくと、暗い海をじっと見渡した。
が、そこにはムウの泳ぐ姿は見当たらない。
そうして彼の姿が見えなくなった海は、とたんに静けさを取り戻して行く。
「うそっ……でしょ?!」
溺れた……そんな言葉が頭に浮かんだマリューは、無意識のうちにワンピースを脱ぎ捨てると、ザブザブと海の中へ入る。
そして先ほどまでムウが泳いでいた場所めがけて泳ぎ始めた。
マリューの足が届くか届かないか……という辺りまで泳いで来た次の瞬間、彼女の目の前にひょっこりとムウが姿を現した。
「マリュー」「ムウッ!!」
ぴったりと張り付く前髪を掻き上げるムウに、泳ぐのをやめたマリューがホッとした表情で声を掛ける。
「大丈夫なの?」
「俺が溺れる訳ないだろ」
ちゃんと軍で着衣泳法もマスターしたでしょうが?と、くすくす笑うムウに、やっと状況が理解出来た様子のマリューが「驚かせないで!」と文句を言う。
「でも、こうでもしなきゃ、マリューと2人っきりで夜の海を泳ぐなんてコト出来ないしさ」
そう言いながら、ムウはマリューを抱きしめる。
ほんのりと冷たい海水の中で抱きしめられると、ムウと触れた部分が異常に熱く感じられ、マリューの思考がかすかに揺らぐ。
思わずマリューがギュッとしがみつくと、その変化を見逃さなかったムウは、耳元で「もう少し泳ぐだろ?」と囁く。
「でも……」
少し戸惑いの残る声で答えるマリューに、ムウは「ほら昼間に確認しただろ?ここならば、誰にも見られないってさ」と優しい声色で告げる。
「それに、こんな機会は滅多にないからさ……月明かりに照らされて泳ぐマリューを見てみたい」
マリューの答えを聞く前に、ムウはその唇を自分のそれで塞いでしまう。
気が遠くなる程長く、ほんの少ししょっぱい口付けを終えると、マリューの口から小さな甘いため息が漏れる。
「羽目を外すのは……今日だけよ……」「わかってる」
波音しか聞こえない夜の海を心行くまで泳いだ2人は、ウッドデッキの片隅にあるジャグジーで冷えた身体を温めてから眠りについた。