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日立鉄道トップ、英国外移転「考えていない」

日本企業に及ぶBrexitの余波

2016年9月21日(水)

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 英国がEU(欧州連合)からの離脱(Brexit=ブレクジット)を決めた国民投票から3カ月が経った。英国とEUとの正式な離脱交渉は今も始まっておらず、政治は膠着状態が続いている。悪化が懸念された英国経済は堅調だが、先行きに対する不透明感は解消されていない。

 このため、英国に拠点を持つ日本企業も動くに動けない状態にある。多くは、短期的なビジネスへの影響は限定的と見るが、離脱交渉の結果次第では長期的な戦略の見直しを迫られる可能性を否定しない。その中で動向が注目されているのが、日立製作所の鉄道事業だ。英国を拠点に約20年かけて欧州の鉄道ビジネスを積み上げ、特にここ5年で事業を大幅に拡大してきた。

 2012年に総事業費57億ポンド(当時の為替レートで約7000億円)で英都市間高速鉄道計画(IEP)を受注。2015年9月には、英ニュートン・エイクリフに鉄道車両の新たな製造工場を開設した。2015年11月には、イタリアの防衛・航空大手フィンメカニカから車両製造事業のアンサルド・ブレダの買収も完了。現在、世界各国の部品メーカーなどと協力し、部品調達から車両製造までを日米欧の3地域をまたいで手掛けるサプライチェーンを構築中だ。2014年には鉄道事業の本社機能を英国に集約し、世界の鉄道市場の約5割を占める欧州での事業を広げてきた。

 そんな矢先に起きた、英国のEU離脱。予想外の事態にどう向き合おうとしているのか。日立製作所の鉄道ビジネスユニットCEO(最高経営責任者)を務めるアリステア・ドーマー氏に、事業の進捗とBrexitの影響を聞いた。(聞き手は 蛯谷 敏)

アリステア・ドーマー(Alistair Dormer)氏
日立製作所執行役専務、鉄道ビジネスユニットCEO(最高経営責任者)。1963年8月生まれ。英国グロスターシャー州出身。英ブリティッシュ・エアロスペース、仏アルストムなどを経て、2003年に日立ヨーロッパ入社。鉄道部門の事業開発責任者として、英国鉄道の受注獲得プロジェクトを指揮してきた。2009年、日立レールヨーロッパ社長に就任。12年に会長兼CEO、14年に日立の鉄道事業のグローバルCEOに就任。2016年4月から現職。(写真:永川智子)

日立の鉄道事業の現状を教えてください。

ドーマー:ビジネスは非常に順調です。昨年買収したイタリアのアンサルド・ブレダは「日立レールイタリア」に社名を変更しました。同社が保有しているイタリアの車両生産工場は、日本や英国工場との人材交流も始めており、日立の鉄道ビジネスに既に大きく貢献しています。

 鉄道信号システムを手掛けるアンサルドSTSとも、事業連携を進めています。我が社は、アンサルド・ブレダの買収と同時期にアンサルドSTSの買収を予定していました。残念ながら100%の株式を取得することはできませんでしたが、過半を握る最大株主になっています。

両社を傘下に収めることで、どのようなメリットが生まれましたか。

ドーマー:大きく2つあります。1つは、車両製造に必要な部品などの購買力が増したことです。鉄道システムの生産規模が拡大したことに伴い、購買において規模のメリットが出るようになりました。サプライヤーとの交渉力も増し、結果として製品に価格競争力がつきました。

 その成果の一つが、今年6月にイタリアで受注した案件です。イタリアの鉄道運行会社最大手のトレニタリアから、新型2階建て車両195両を約380億円で受注しました。この案件は、今後さらに追加発注が見込める案件で、受注額は約3000億円に拡大する予定です。入札には、多くの競合メーカーが参加しましたが、最終的に我々の車両の価格競争力が決め手となり、選ばれました。

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「日立鉄道トップ、英国外移転「考えていない」」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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